2014-07-20

Konica Lens 33mm F8

Kodak Kodacolor Gold 400-2 (GC)
   1990年9月下旬、冬がやってくる前にと小さな自転車旅行に出た。
   住んでいた街からは90kmほど西の海が目的地。 そもそも海岸線まで辿りつくのも容易ではない道のりと思っていたので、ココと決めた目的地ではなく「とにかく目指してみよう」と、段階的に辿り着ける地を仮定しつつ走り出した。
   最初は平坦だが、1時間も行くと丘になり山道になり、丘はギアを落として15分近くかかる長い上り坂で、この昇り降りがしばらく続く。 やがて山道に入ると多くが登り。 この半年前、「自転車で海まで行った」という連中の話では片道7時間半。 クルマでは1時間強で簡単に走り過ぎるが、この登坂は随分と体に堪えた。

   結果は、海岸の街まで4時間45分だった。 早めに着いたが足には力が入らなくなっていて、スーパーでパイナップル・ジュースを買い、駐車場にヘタり込んで少しずつ喉を潤した。
   30分は動けなかったが、せっかく早く着いたので先へ進むことに。 また長い坂道を越え、平坦な道では海からの強風でなかなか進めず、それでも3時間も走った頃に次の街に着いた。

   パシフィック・シティーという小さな街で、住人のほかに早朝から船で沖に出て釣りをする人達がぽつぽつ訪れる風なところだった。 街全体が落ち着いた穏やかな印象で、このお店「Fat Freddy's Fast Food」はその少し外れにある。
   夕刻の風も心地よく、寝場所を探してゆっくり自転車を走らせるうち、この日は、釣りに訪れていた人たちの借りているロッジに泊めてもらえることになった。 夕飯は釣り人4人に白い小型犬、合計5人と1匹にて裏庭にせり出した広いデッキでB-B-Q。

   夜、ロッジの屋根裏部屋にベッドと寝袋を用意してくれた。 「どこに泊まるつもりだったんだ?」「来る途中にあった教会の脇で寝ようかと考えてた」「寝袋は?」「持ってない」「この時期に寝袋ナシで外で寝ると死ぬぞ。それくらい冷えるんだ」と。 そして、小さな窓を開けて「波の音が聞こえるか? ... 近くじゃない、ずっと遠くで響いてる音だ。...低くて大きな音だろう? ... 嵐が来るんだ... あさって。」と話してくれた。
   その話どおり、2日後には雲低く、秋にしては粒の大きな雨が地面を叩き続けた。

* コニカ フォト・パイ: 1989発売の小さなプラスチック製のカメラ。 F8、1/125固定、1.2~∞の固定焦点、ストロボ付きと、当時よく見た「使い捨てカメラ」と同様の仕様ながらフィルム交換ができる。