2016-07-20

雑感 ~ α7RII、オールド・レンズ、α7S

   最近になって知ってしまった。 ソニーのα7RIIが、「オールド・レンズ」(ここでは後玉が突出傾の設計のレンズの意)に強いという話。 α7RIIの発表は2015年6月26日、発売は同年8月7日だったので、実に遅い気づき。
   オールド・レンズ・ファンというわけではないが、手元にあるレンジ・ファインダー機用の広角レンズが周辺の偏色なくほぼ普通に使えると訊き、にわかに興味が湧いてきた。

CAMERA fanに掲載されていた、α7R(左)とα7RII(右)の比較サンプル。レンズはBiogon 2.8/21mm ZMとG-Biogon 2.8/21mm。

   α7RIIは、35mm判フルサイズで4,240万画素という高密度なセンサーを積んでいる。
   この前身であるα7Rが、3,640万画素センサーを積んで世に出た2013年、「なるほどキレイだけど、これだけの高画素は要らない」と思った。 が、その画のリアルさ、「要らない」と言いつつ捨てがたく、一方で広大なダイナミック・レンジを誇るが僅かに物足りない1,220万画素のα7Sの存在もあり、この微妙なアンバランスさは大いに困惑した。
   3,640万画素とは、当時の他社のカメラから比較するとほぼ倍の画素数であり、生成されるファイル・サイズはかなり大きなことは想像に難くない。 高画素ゆえの、シャッターの先幕機構ゆえの手ブレ・機構ブレも心配だった。 結局は、小さく軽い35mm判センサー・カメラに機動性を期待したいところを、三脚を据えてMamiya RZ、RBを持ち出す気分を思い起こさせ敬遠したのだった。
   2代目のα7RIIとなって手ぶれ補正機構を積みシャッターも改善。 更に新センサーで「オールド・レンズ」にも強いという、不安解消どころか朗報付きで、「身近な高画素カメラ」へと変化していた。

Steve Huff Photo、dppreview、ePhotozineに掲載されたα7RIIによるサンプル。

   レンズ事情を見てみると、この1〜2年で各社のレンズの性能が格段に上がって見える。 ただ、せっかく機動性の高い小型軽量なα7シリーズのボディに対し、発表されるのは見るからに重そうなレンズが次々と。 そしてどれもが懐加減にも重い。 それでも高性能なレンズが現れる度にその緻密な画作りに気持ちは踊り、思うのは --- 「α7R/α7RIIのコンセプト、なるほどド真ん中。」

   ソニーのFEレンズも、50mm F1.7や、ZEISS 1.4/50mm ZA、24-70mm F2.8 G Master、85mm F1.4 G Master。 他社からはLoxia 2.8/21mmなど新たな充実も。 欲を言えばレンズはもうふた声は小型化を望みたい。 ライカのレンズが小さく高画質なのを思うと、高解像度・低収差のため必ずしも前玉を大きく取る必要には疑問が残る。 ただ、小型化ゆえに価格がトテツもなく嵩むとしたら、それはちょっと...。

   こうしたレンズの進化のなかにあってα7RIIは、今の世にあっては収差の大きい「オールド・レンズ」をまんま楽しめるボディであり、新世代の高精細なレンズ描写を、やはりまんま楽しめるボディでもある。 時代を繋ぐようなポジショニングの面白さを思う。

   と言いつつ昨年、手に入れたのはα7S。 ダイナミック・レンジへの興味と、「オールド・レンズ」に向いているという話に期待してのこと。 当時、α7SIIの発売に期待を寄せていたが、サブ・カメラとして考えていたこともあり、その価格故にα7Sに落ち着いた。 α7RIIは、α7Rがあまりに「オールド・レンズ」に不向きだったため視野に入っていなかった。 結局のところ、α7Sは言うほど「オールド・レンズ」に強いわけではなく、それで今更のようにα7RIIが気になったのだが、α7RIIの画力(エヂカラ)がライカのそれを超えるでもなく、今はまだ、α7Sの広ダイナミック・レンジな存在感が頼もしい。
   さて高画素と高感度。 この2つの機種が「mk III」となるとき、元々が異なる性質でありながら、その性能はオーバー・ラップや凌駕してしまう部分も出てくるだろう。 それぞれどのような味付け・方向付けになるのかが実に楽しみ。

Steve Huff Photoより、α7RII(左)とα7S(右)の比較サンプル。ISO6400、12800、25600、64000、102400。

   雑感の雑感 --- α7RIIの価格を思うと、最近やや出番が減り、シャッター・ユニットが僅か35,000ショットほどで壊れ、世の販売店からバッテリーが軒並み在庫切れな不安なLeica M8が、いよいよ修復不能となった日のため「Leica M型資金」を貯めておくという選択肢が意外に現実的かもと思う今日このごろ。