2014-02-17

Cosina Carl Zeiss T* C-Biogon F2.8/35mm


   ヨコハマ。 雪のなかのインター・コンチネンタル・ホテル。
   20年振りという大雪の降るなかを歩いていたら、なんとなく風圧のようなものを感じた。 傘を少しよけると目の前に丸みを帯びた建物がそびえていた。
   あれは横顔なのだろうか、半月が地上から昇ってくるような姿の写真や実物はよく見るのだが、この角度から意識してこの建物を見たのは初めてだった。
   「ランド・マーク」と呼ばれないながら、しっかりランド・マークたる佇まい。
   もとは「みなとみらい」という博覧会跡地で、駅名にその名を残すそのイベントも既に20年以上も前の出来事だ。 この建物もそれなりの年月、この地を見て来たことになる。
   その存在感からだろうか、それは寒い夕刻だったが、雪で拡散された淡い光に浮かび上がる大きな丸みは、なんとなく暖かそうに見えた。

2014-02-16

Cosina Carl Zeiss T* C-Biogon F2.8/35mm


   雪の積もった中にぽつぽつと色が。
   昨夜(02月14日)からの積雪は、関東平野で30〜40cmほど積もったのだが、この周辺はどこも15cmほど。 この花も、もっと雪に埋もれ、今日の冷たい風に吹かれる悪条件だったはずだ。 そのためか、その色つやは力強く映った。 さすがに「花が開く」という条件ではないのだろうが、この色彩は、白と灰色・黒の多い景色のなかに生命力という光彩を放っているように見えた。

   カメラを持って近づくと、なぜか白黒で仕上げようという考えが浮かんだ。 せっかくの色彩なのにと自分でも意外なことではあったが、そっとレンズを通して構図を決めた。
   ライトのひとつもあればタッチ・ライトを入れたいところだが、後にハイライトを少し強めることで我慢。
   目では強いコントラストを感じつつも、やや眠いトーンに作ってゆく。
   ぱっと見の印象と、写真を作ろうとする手の動きが、なんとなくちぐはぐ。
   たぶんそれは、撮影の時のレンズが持つ視線だったり、カメラの気分だったり。 自分の心象だったり。 写真から勝手に出て来るそれぞれの主観を、一歩引いて眺めてみようかと、ちょっと思った。

2014-02-15

Cosina Carl Zeiss T* C-Biogon F2.8/35mm


   建物の丸みにそって並ぶ照明とベンチ。
   夜の手前の、まだ蒼い景色にどことなく肩の力が抜けてゆく。
   ベンチには雪という先客があり、そのまま写真に収めてみる。

2014-02-14

2014-02-12

Carl Zeiss "C-Biogon"と"C-Sonnar" 〜 展示会にて


   Cosina Carl Zeiss C-Biogon F4.5/21mm on Leica M8

   C-Biogon F4.5/21mm - 試写は数度目。 印象としてはカラー・バランスにクセがなく濃厚、ピント面のシャープさが心地よく、程よい柔らかは独特の雰囲気を描き出していると思う。 どこかのウェブサイトに、周辺のシアン被りがあるとの情報があったが、なぜかこの試写ではスッキリ。 明るい場所でも被りがなければ、この小ささ、街歩きにちょうどよいかも。
   
   (残念ながら2014年12月に生産終了)



   Cosina Carl Zeiss C-Sonnar F1.5/50mm on Leica M8 (2014-02-14)

   初めて使った C-Sonnar F1.5/50mm、これは面白い写りだった。 ただ被写界深度が浅いの云々にとどまらず、背景のボケ味の不思議なこと。 ボケは二線ボケのようなうるささはなく、遠近感・立体感を残しながら溶けるように画面全体の一体感とともにピントを外れてゆく。 程よくコントラストがあり色味は比較的おとなしく、「まなざし」といった風の視線を持つレンズ --- という気がした。

   "C"とは、"Classic"に由来すると聞いたことがあるのだが、コシナに電話した時に、何気なく「クラッシック・ビオゴン」と呼んだところ、電話の向こうでは少し間をあけ、「シー・ビオゴン、はい。」と言い直していた。 後に目にした物の本には、「"C"はコンパクトの"C"とも、クラッシックの"C"とも言われているが ---」とあった。 「コシナ - ツアイス」の1ユーザーとしては、どちらでもしっくり来る感じがする。
   旧来の名レンズの設計を踏襲していると言われる"C"。 設計も素材もコーティングも新しいので、その意味では「最新レンズ」なのだけど、ほんのり残る「最新レンズらしからなさ」が、シャッターを切るたびにじんわり心地よく滲みてくる。

2014-02-03

Sigma Zoom 18-200mm F5.6-6.3 DC


   まずクルマが目に入った。次にステッカーが。
   錆でところどころ浮いている塗装。 これはこれでいい色だなぁと思いながら、むかーしこういう色のエンピツがあったっけと思い出す。
   もう40年くらい前のクルマだろうが、よく走るものだと感心。
   そういえばスバル360もまだまだ見かける40年もの。 360と初期のR2は空冷エンジンで、たしかどちらもリア置き。 乾いたエンジン音、排気音は独特の小気味よい響きだった。
   このホンダにしても、そのスバルにしても、不思議なものでメーカーごとのエンジンの音は、どの車種も、時に年代を超えて似た響きを持っている。
   旧ホンダ・ライフと現行ホンダ・ライフ、スバル360とスバル・プレオ - 例えば代々水平対向エンジンを載せているクルマであれば、エンジン音や排気音が似るのは分かるが、こうした軽自動車であっても、旧くは空冷2気筒エンジンあたり、今は3気筒や4気筒エンジンだったり、「キャブ車」だったり電子制御の燃料噴射だったりと技術や構成が異なっても、不思議と「メーカーの音」を感じる事ができる。
   クルマが凹凸を越える、その車体の挙動もしかり。
   こうした底流に伝承される特徴を、時に"DNA"になぞらえるのも頷ける。

2014-02-02

Sigma Zoom 18-200mm F5.6-6.3 DC


   以前から気になっていた、屋上のクルマ。
   見た目には朽ちている印象を持ってしまうが、ふた昔前くらいのクルマ作りの楽しさが見て取れる造形。
   そういう感触、日本車には見なくなったなぁ。

2014-02-01

Sigma Zoom 18-200mm F5.6-6.3 DC


   淡いピンクに染まった雲にカメラを向けてみた。
   レンズはシグマ製のAPSセンサー向け18〜200mmで、今から3世代くらい前のもの。 かつてシグマの28-70mm UC(Ultra Compact)は、デザインのみの変更でライカRシリーズ用にOEM供給されていたという実績がある。 近年は和製ライカ・レンズと言えばパナソニックが浮かぶが、ひと昔前のそのエピソードからはシグマの底力が感じてとれる。
   たまたまなのかもしれないが、時にライカ風の描写を感じるシグマのレンズ。 思いがけず質感を捉える時もあれば、立体感の際立つ時もあり、時にElmarit-M 28mm F2.8 Asph.に似たクールな空気感にも。

   細かい事を言えば、色収差や高倍率ズームが故の画の甘さやコントラスト低下など様々あるのは確か。 ピント合わせも、もうちょっとギアの目が細かければ!? と思ってしまう事も多い。 ちなみにピントは、超音波モータを内蔵したタイプのレンズでもややもどかしい。
   そうした弱点が目についてもなお、この手の新しいズーム・レンズが発売される度にワクワクする。 そして今年また、18-200mmが発売された。 マクロ撮影、描写力といったところが強化ポイントだそうだ。

   実はこの18-200mmと同コンセプトのレンズ、フィルム時代の28-200mmから数えると4本目の所有になる。 代を重ねるごとに小型化とコントラストや色のりの向上が見て取れる。 広い焦点距離域をカバーし、常用レンズとして行動範囲を拡げる魅力の大きな機種だけに、その進化には期待も大きい。
   他に、24-135mm、17-70mm、17-50mm、70-210mm UCなどを手にした事もあり、24-135mmのスッキリ感や、17-50mmの質感描写など、心地よいレンズは多かった。 故に単焦点レンズも興味津々。
   興味津々と言えば、シグマのDP1、DP2、DP3の各コンパクト・カメラ。 35mm版換算の焦点距離は、28mm、45mm、75mmとの事。 これらの描写は噂に違わず逸品らしい。