2014-09-02

雑感 〜 ZEISS 'Loxia'

   フルサイズのSony Eマウント用ZEISSレンズが海外で発表された。
   ここでは細かい仕様には触れずレビューもどこにも見当たらない今なので、詳細を求めて来られた方、悪しからずです。


   "Loxia"というシリーズでのネーミングからすると、"Touit"と同じく「あくまでもZEISSから発売されます」という事なのだろうか。
   とりあえず、ZEISSのウェブ・サイトに掲載されているパンフには作例があり、それを見る限りではあまり触手は動かなかった。 作例の印象は、画面全域に均一ではない冷温調、シアンに変化しながら弱々しく色が抜けてゆく空のハイライト、MID-HIGHに力強さが見られない、ZEISSにしてはなんとなく淡い色調、シャドウにかけての重厚さが物足りない... これってコントラストが弱いという事か!? ... なのだが、フルサイズ用のレンズであるところに、なぜか少し安心感を覚える。 これって、「あなたの心のスキマお埋めします」かも。

   発表された2本は、Planar F2.0/50mmと、Biogon F2.0/35mm。



   Loxia 2/50・Loxia 2/35、両者マニュアル・フォーカスだそうだ。 どうやら値段もTouitと似た感じ。 B&HではBiogon 2/35が$1,299.00、Planar 2/50が$949.00となっている。

   ちなみに... "これ↓"に似てるという記事も。 (Digital Photography Reviewより)



   2015.02.12追記:

   さて"Loxia"についてその後 - ZEISS関係者の話によると「製造はTAMRONでもSIGMAでもありません」とのこと。
   色味についても、気になっていた「中間調が殊に軟らかい印象」のことを尋ねると、LoxiaのボディとなるソニーのEマウント機、これらは総じてフランジバックが短いわけだが、これが意外とレンズ設計で苦労するようで、更に35mm判フルサイズのα7シリーズでは制約が多々あるという。 「中間調に感じるというその特徴は、制約のなかで諸収差を追い込んで行った結果じゃないかと思います」と返ってきた。
   また、「LoxiaはZEISSがやりたいようにやって出来たものです」とも。 となると「心のスキマ」どころかド真ん中な製品ということになる。 どことなく先の口調には、ソニー製 ZEISSはソニーの意向が多分に盛り込まれているといった印象を持った。 ちなみにソニーの関係者曰く -「ソニーのZEISSは、企画の段階からZEISSと一緒に共同開発ですから、まんまZEISSです」と。
   しかし... TAMRONでもSIGMAでもないとなると、「ZEISSが思いっきり仕事できるメーカー」で思い浮かぶのは1社なのだが...。

   "Loxia"、"Touit"、Sony ZEISS - 個人的にはどれも一長一短とも思え、なかなか客観的にどれが良いのかは答えが出ない。 言って見ればどれもZEISSの基準に合致しているし、レンズごとに被写体に対する得意・不得意はあるかもしれないが、どれもモノとしては「良い」のだろう。 「あとは好み」と言ってしまうとそれまでだが、思っていた以上にレンズの立場から見たソニー α7シリーズはジャジャ馬な一面があるようだ。 広角レンズを使用するときの画面周辺でのマゼンダ被りの問題もしかり、その実、なかなか奥深い「規格から発生する制約」の迷路は、まだ入口をくぐったあたりなのだろう。 ただLoxiaにとっては、「迷路」でもなく単純明解な一本道にも見える。 それはおそらく製品の性質が、ボディーのメーカーであるソニーのレンズと焦点距離が大きく被っていながら「挑戦」ではなく、只々Carl Zeissの「答え」だから。
   ソニーの純正レンズも、Mマウントはじめ社外品のレンズも、このボディに対してどうアプローチが展開されてゆくのか興味津々。

   もうひとつ、「Loxiaの特徴としては、Eマウントなのに絞りリングがあるんですよ」と加えてくれた。 絞りリングとピントリングの回転方向の規則性も、他社レンズと違った特徴があるのだそうだ。 なるほど。 言われるまで意識しなかったが、MFレンズとしての作り込みは、こうしたところにもあったのかと感心した。

   ヨドバシカメラのウェブ・サイトにカール・ツァイス社へのインタビュー記事があったので以下にリンク。
   http://photo.yodobashi.com/live/photokina2014/interview/carlzeiss/index.html