2015-02-04

雑感 〜 非テレセントリック

   コシナ製Carl ZeissのC-Biogon T* F4.5/21mm ZMとDistagon T* F4/18mm ZMの2機種の生産終了の案内が2014年12月に発表された。
   ふと連想したのは、最近よく言われる「フルサイズ・デジカメと広角レンズの組み合わせ」での「マゼンダ被り」。 2つのレンズの生産終了とこの現象との関連性は分からないが、35mm判フルサイズ・センサーのカメラでフィルム時代のレンズを使う人口が増えれば無視できない現象ではある。 諸収差のことも含め、これまでフィルム用に設計されていたレンズをデジタル・カメラ用に設計し直すのはそう不思議なことでもないだろう。
   現にZEISS Distagon T* F1.4/35mm ZMの設計や、Voigtlander Super Wide Heliar 15mm F4.5 VM IIからVer. IIIへの再設計は、周辺被りを大いに意識したものと言われる。

Voigtländer Color-Skopar 21mm F4 P + Leica M8にて撮影 (周辺光量など特に補正なし)

   非テレセントリック... 「非 長い焦点(結像)位置」あたりの意味だろうか。
   これまた機材選びの上でどの組み合わせが「吉」なのか、実に悩ましい課題である。

   以下、Impress デジカメWatchの記事: 「ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!?」からの引用(一部省略)
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   特別企画 検証:ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!? (2014.7.18)
   フランジバックの短い非テレセントリックの広角オールドレンズ、端的に言うとレンジファインダー機用の広角オールドレンズをα7/7Rに装着すると、周辺部にマゼンタの色かぶりが発生することが多い。α7は28mm、α7Rは35mmがボーダーラインで、これより焦点距離が短いレンズではマゼンタかぶりと周辺光量落ちが顕著だ。また、周辺像が流れがちで、フルサイズで広角レンズを使えるとは言うものの、画質面で満足とは言い難い状況だった。

   それでは何故α7Sに期待するのか。それは画素ピッチが大きくなっているからだ。画素ピッチが大きくなり、周辺部までたっぷり受光できる可能性を示唆している。これによってマゼンタかぶりが解消されるのではないかと期待されているわけだ。

   もうひとつの理由はα7Sのサイレント撮影モードだ。同機能を有効にすると自動的に電子シャッターに切り替わる。対称型の広角オールドレンズは後玉が突き出るが、α7Sでサイレント撮影モードを使えば、α7/7Rで内部干渉したレンズでも使える可能性が高い。

   今回はα7でマゼンタかぶりが顕著だった広角オールドレンズをα7Sで実写してみた。結論から言うと、大半のレンズはマゼンタかぶりが解消している。 ただし、逆にシアンかぶりが発生し、色かぶりがゼロというわけではない。青系の色かぶりはマゼンタほど不自然さがないため、色がかぶりつつも写真として成立している。特に背景が青空の場合はさして気にならないレベルだ。周辺像の流れは相変わらずだが、それでもショートフランジの広角オールドレンズを「使える」という実感は十分に得られるだろう。
   参照元: http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20140718_658298.html
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   ソニー α7シリーズなら「カメラ内アプリ」の利用で周辺被りの補正が出来る。
   以下はソニーのウェブ・サイトからの案内:
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   レンズ補正ver.2.0(¥952+税)でコントロール可能な項目
   ・動画撮影時も使用できるようになりました。〈NEX-5R、NEX-6、NEX-5Tは非対応〉
   ・プロファイルのインポート、エクスポートができるようになりました。
   ・従来はExifに情報が反映されなかったレンズでも、本アプリのプロファイルに設定した値を
    使ってExif情報に反映することができるようになりました。〈対応機種はILCE-7M2です〉
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   アプリをダウンロードして補正するって、根本的なところは未解決なまま小手先の技で何とかというのは違和感あるなぁと思ったのだが、考えてみれば「レンズごとに6 bit codeで対応させてファーム・ウェアで周辺被りを補正する」のと変わらないじゃないか! と思い直し、更に補正量を自由に変えられるとなれば却ってその方が便利なのかも。
   とは言え、やはり「そもそも周辺被りや画像流れが発生しないレンズ設計」が望ましい。 今後発表される広角レンズは前述の例のように設計にはそれなりの留意が成されるのだろう。


   2021.09.14追記: - - - - - - - - - - - - - - -
   「テレセントリック」、「奥行き方向の倍率誤差を小さくした」を意味するらしい。
   レンズの前、後、その両方と、いくつか種類があるようで、この記事で言う「テレセントリック」は「像面テレセントリック」が該当しそう。 受像素子に対して、ざっくり言うと直角に光線が入ってくる(光軸に平行)ように調整された状態ということになるだろうか。
   参照: Mu Tron Japan

   シアン被りなどは 受像素子に斜めに光が入って起きる現象なので、これをなるべく垂直にすれば問題は起きにくくなるわけで、「ならばぜーんぶそういう設計にしたらいい」と単純に思っていたのだけど、何にだって「あちらを立てれば...」があるようようにこれも例外ではなさそう。
   写真用の撮影レンズにテレセントリック性を持たせると、どうも遠近感が弱まる作用があるらしい。 検査用機器の光学系の場合はここに検査の誤差を少なくする効果があるようなのだが、写真用ではベタッと遠近感のない画になってしまうのではないか? という心配が。
   参照: Edmund Optics

   おそらく写真を相手にするレンズの設計者は、画の立体感(味・個性など)も表現できないといけないしと、この色被り対策がために受像素子に届く光線の寝せ具合など、相反するギリギリのせめぎ合いを詰めているのではないか? と勝手ながら心労を思ってしまう。 特にビオゴンのような左右対称で 受像素子までの距離が短い構成の場合は打つ手があるのだろうか? とまた心配になってしまう。 ZEISSのLoxia 21mmなどは案外「ウルトラC」(古い言い方だけど...)な技の連発なのではないだろうかと ...ただ想像に過ぎないのだけど勝手ながら感動してしまう。 あれ? あれはディスタゴンだから、後玉と 受像素子との距離が取れる分はちょっと手の入れようがあるのかな? というか、だからこそのディスタゴンなのかもしれないけれど、やはり「せめぎあい」は「テレセン」性... 的な諸々.. に限らず多々あったことだろう。

   ある方曰く「テレセントリックと言うと魔法のように思われている方も多いようです。」と。
   写真レンズにとって簡単な話ではなさそう。 と言うよりは、そもそも写真レンズの分野にはあまり縁のない話なのだろう。
   「ある方」による詳しい解説動画へのリンク(この行)。

   追記ここまで - - - - - - - - - - - - - - -


   Leica M (Typ.240)のセンサーはソニー製C-MOS 「ベルギーに拠点を置くCMOSIS社製2400万画素CMOSセンサーを富士通とライカの共同開発による画像処理システム「LEICA MAESTRO」で制御」(MapCamera "THE MAP TIMES"より)、α7も同じ (ソニー製C-MOS)。 両者センサーの造りは大きく異なると言われるが、どちらもRAW現像すれば近似の画質が得られるのではないかとの期待から、現、そして潜在的なライカ・ユーザーにとってα7の存在感はかなり大きい。 しかし、 Leica M (Typ.240)、α7の店頭デモ機を触った感触としては、Leica Mは、CCDセンサーを持つLeica M8・M9シリーズからすると画はやや薄く感じ、α7の画もやはり薄く感じる。 だいぶ大雑把な言い方で恐縮ながら、M8・M9で感じる厚みや瑞々しさは、実は大事な手応えになっていると思う。 その観点から、個人的にはα7の画はどこか物足りない。
   ただ、α7IIに関しては、色のり・シャープネスともに向上との話もあり、その描写にいつか手応えを覚える日がくるのかもしれない。      (2015.08.05訂正)

Voigtländer Color-Skopar 21mm F4 P + Leica M8にて撮影 (周辺光量など特に補正なし)

   α7には現在、α7、α7 II、α7S、α7Rの4機種があるが、インターネット上に見る作例ではどれも豊かな階調と色再現、質感描写が見て取れる。 そして少しずつ差異が見られ、最もしっとりと見えるα7R、やや重厚感を感じる描写のα7Sというのが感想なのだが、メーカーの関係者曰く「どれも言われるほどの差はないですね」とのこと。 ただ、α7Sが捉えるシャドー部の情報量はズバ抜けているという。 曰く「高感度に目が行きがちだが、ISO400程度の中庸感度を積極的に使い、高精細でなおかつデジタル現像で驚くほど起きて来るシャドー部とで比類の無いダイナミック・レンジを楽しめる」と。 しかも「手ぶれ補正で1/15秒くらいなら十分手持ち撮影は実用的」という。
   α7Sにはもうちょっと画素数が上がってほしいし、α7Rにはプレ・シャッターが不要になって「レリーズ・タイムラグ」に相当する時間が短くなってほしいのだが、α7シリーズの特徴でもある画素数の見た目の差はと言えば、4Kパネルに表示してやっと分かる程度だという。

   充電池がすぐに容量抜けしてしまうライカ、時に「SDカードに書き込みできません」とスネるライカ、気がつくとカバンの中で発熱して電池を使い切ってしまうライカ - 妙なところに手のかかるライカよりも、そうした心配の要らないソニー αがいいと思うのも自然なこと。 でもやっぱり今のところ、Kodak製CCDセンサーのライカの画には代わるものがない...。

   ...悩ましすぎる。

   更に最近、ソニーが、かつてコシナが製造していたZEISS IKONのボディーを使ってか、類似する筐体を用意してなのか、ZEISS IKON的なデジタル・カメラを企画しているという噂もある。


   但し、ファインダーはEVFになりそうだと言うので、残念ながらレンジ・ファインダー機独特の、素通しガラス越しのように被写体との距離感を楽しむ世界観は味わえない可能性が高い。 つまり普通のミラーレス一眼を作る話なわけで、更には「背面液晶画面ナシ」のようで、瞬間 -「レンジ・ファインダー機を作るなら『光学ファインダー + 背面液晶』では?」と延髄で反応してしまった。 けれどもピント合わせの「ピーキング機能」を活用するにはEVFが有利だろうし... と、楽しみだけど、性質がα7と多々重複しそうな分でワクワク度はやや低空飛行。 いつか「噂」ではなくなったら、早くトータルの完成度を見てみたい。


   選択肢... なぜそういたずらに増える...?


   2015.04.16追記:
   Sony Alpha Rumors 4月3日の記事によると、ソニーが新たなセンサーを開発中という。


   従来の「ベイヤー配列」と言われる、平面上にRGB各色の受光素子を並べたものではなく、階層構造状にタテに各色の素子が並んでいるのだと言う。 構想は以前からあったとも聞くが、いよいよ「開発」が噂されている。
   記事には「2つのセンサー革新」とある。 もうひとつは、同じくタテ配置のセンサー表面にレンズを置き、画面周辺部でも、光がセンサー面に直角に近く当たるためシアン被りやマゼンダ被りが改善されるだろうというもの。 記事を読む印象では、"レンズ"はセンサー1枚に対しての設置ではなく、素子1つ1つに付けられる感じ。 レンズによってセンサーへの光の入射角度も違うだろうし、ピントによっても変化するだろうし、これだけ「被り」を言われる今、最適化にはかなり高度な技術を要すると思うが、いつごろ実用化されるだろうか...。

   2015.07.16追記:
   ブログ「エンジニアの嗜み」に気になるソニーのセンサーの記事 ←センサーの記事へのリンク