2015-12-27

雑感 〜 Kodak Film Cleaner (for Motion Pictures)

   至極意外な製品の発表 - と思ったが、古いフィルムからデジタル・データを起こすという需要は、案外多そう。
   テレビは4K・8Kという時代になり、 過去に --- と言ってっも10年は経っていないと思うが、光学式のテレシネで作成した動画データでは解像度が足りないのだろう。 ここに来て映画フィルムをクリーニングする機材が、2015年12月21日にKodakから発表された。

   フィルムは、保管が不十分ならカビが生える。 スキャン中にフィルムに埃が付着すれば、そこには黒く埃の形が映り込む。 例えば「レコード」に埃が着くと、そこをレコード針が通った時に「プッツ」とノイズになって現れる。 念入りにクリーニングしたり、埃の少ない部屋を用意したりと、アナログものには共通してこの手の手間がついてまわるが、手をかけた分、映画フィルムの映像もレコードの音も、不思議と非常に目・耳馴染みはよい。

KODAK Introduces Innovative Film Cleaning System

Easy to Use, Digitally Controlled Method Redefines Vital Process

Rochester, NY, Monday, December 21, 2015 --
Kodak has announced the release of a new, groundbreaking P-200 Film Cleaning System that transforms the traditional film cleaning process. The revolutionary design allows the cleaning solvent to be dispersed on the film surface in a unique way. This economical, compact and digitally controlled system, which uses KODAK HFE 7200 Film Cleaner Solution, makes it ideal for today's archives and libraries.
http://www.kodak.com/ek/US/en/corp/Press_center/KODAK_Introduces_Innovative_Film_Cleaning_System/default.htm

   「フィルム」と言うと時代遅れな響きを感じる昨今だが、例えば35mm(フィルム幅)の映画フィルムは、近年一般化しつつある"4K"よりも概して情報量が多い。 解像度で言えばようやくデジタルがフィルム並の数値になってきたところ。 解像度だけでなく、色も光の強弱も、無段階に情報が焼きこまれている、実は桁違いに広大な世界なのではないだろうか。
   そして、最も画像や音といった情報の「保存性」への可能性を持つ媒体でもある。 デジタルの媒体が、実際的には早ければ記録直後、長くても10年・20年といった寿命と言われるのに対し、保存条件が整えばフィルムの寿命は1,000年と言われる。
   デジタルの記録媒体のなかにも、「M-DISK」のように長寿を謳うものもある。 ガラスや石に記録するという話もあり、材料だけを聞いていると、まるで石器時代に戻るかのよう。 デジタル媒体の競争相手はデジタル媒体ではなく、まだまだフィルムなのだなぁと思う今日この頃。 FUJIFILMもKODAKも、長期保存用フィルムをなるべく長く作り続けて欲しいと願う。