2014-10-15

雑感 〜 「ビデオ」の終焉?


   2014年10月06日、ソニーから「1/2インチ・ビデオ・レコーダを販売終了する」という発表があった。 (以下、ソニーのウェブサイトより)

2014年10月6日
ソニービジネスソリューション株式会社
ソニー製業務用ハーフインチVTRおよびハーフインチカムコーダー販売終了のお知らせ

   平素はソニー製品をご愛用いただきまして誠にありがとうございます。
   現在弊社が販売しております、ソニー製業務用ハーフインチVTRおよびハーフインチカムコーダーの全機種(対象製品は下記をご確認ください)につきまして、2016年3月末を目途として販売終了とさせていただくことになりました。ワークフローの急速なファイルベース化が進んでいる昨今の状況を鑑み、ソニーとしましても今後はよりファイルベース製品の開発・販売に注力していく所存です。長らくソニー製業務用ハーフインチVTRおよびハーフインチカムコーダーをご愛顧いただきまして誠にありがとうございました。
   なお、ソニー製業務用ハーフインチVTRおよびハーフインチカムコーダー向けの補修用部品の提供を含めた保守に関する現行のサービスにつきましては、2023年3月末まで継続する予定です。また、ハーフインチシリーズの業務用ビデオテープは今回の販売終了の対象ではなく、引き続き販売を継続致します。

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   ソニーの「ビデオ」の出発点は、1963年のオープン・リールのビデオ・デッキの発売らしい。 以来、プロ用から家庭用まで、一時はベータとVHSという規格争いの中に市場を拡大し、「ビデオ」・「ビデオ・テープ」・「ビデオ・カセット」はごく身近な存在となったが、気が付くと家庭用「ビデオ」は「ハード・ディスク」への録画であり、業務用カメラも「メモリ」に録るのが普通になっている。
   半世紀以上も当たり前だった「テープに録る」行為を指していた「ビデオ」という感触は、わりと気づかれないまま周囲から消えている。

   元々「ビデオ」は、技術の進歩と共に新たな規格への移り変わりが付いてまわり、なおかつ長期保存が不得意な道具でもあり、この「販売終了」は、ある意味正統進化なのだと思う。 当のソニーにしてみれば「いつ『やめる』って言おうか」だったのではないだろうか。

   あまりこのニュースが目立たないのは、既に世の中がこの「シフト」を十分に予見できていたからだろう。 時代の変わり目が、またひとつやってきた。


以下はソニーのウェブ・サイトにあるHDCAM SRのページの一部。 発表は2003年というから、2016年のデッキの販売終了まで、まずまず長寿命の規格だったと言えそうだ。