2013-02-27

Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 P II


   amana SALTO 久保元幸氏による、プラチナプリント・ワークショップに参加した。
   久保氏は、株式会社アマナサルトのプリント・ディレクターであり「プラチナプリントの魅力を多くの人に知ってもらいたい」と、ワークショップを月1回ほど開催されている。
   今回は約2時間の開催だったため、内容はプラチナプリントに関わる歴史と、暗室の見学、紙に用液を塗布する実演、プリントの紹介のみだったが、プラチナプリントの面白さや、プリント独特の調子には目を見張るもの、息をのむ事がたくさんあった。
   ちなみに暗室は、紫外線のみに感光する薬剤の性質により、紫外線の入射さえ気をつければ上の写真に見るくらいの明るさで作業できるという。 これまで体験してきた、真っ暗な中に赤いランプがぼーっと光る「暗室」のイメージからすると、「直射日光さえ入らなければ大丈夫です」という言葉が瞬間では飲み込めなかった。


   プラチナプリントは通常ネガからの密着プリントとなるため、ネガの原寸通りの大きさのプリントしか出来ないと思っていたのだが、そこはデジタル時代、デジタルの画像データからインクジェット・プリンタでそのネガを出力できるという。 従来の、撮影ネガ原寸大のみプリント可という制約からは、それは自由に感じられた。
   毎月のワークショップでは参加者が持参した画像データでプリントを制作するとの事。 銀塩写真は薬液のなかでふわっと画が現れるが、プラチナプリントは薬液に触れた瞬間に画が現れ、その瞬間は参加者を最も魅了する時だという。


   プラチナプリントの制作では湿度も大事で、60%~70%という湿度がないと黒が締まらないのだそうだ。
   普段アーカイブという分野に浸っているためか写真と接する時には「低温・低湿」がついてまわるのだが、上の写真にあるのはなんと加湿器だ。 最低でも1台は点けたままで湿度を保ち、作業前には更に2台を点けて湿度を増し、安定させるとの事。
   このワークショップには修復の専門家の方の姿もあり、「プラチナプリントの耐久性は群を抜いている」という。 久保氏の言葉にも、元素としてのプラチナの安定性はそのままプラチナプリントの持ちの良さとも言えるという旨が講義にあった。
   階調、色調、風合い、長期保存、デジタル機器を用いたネガ出力。 アーカイヴの触手がうごく...。