2021-03-11

Nokton Classic #4 - 郷帰り後

   Nokton Classic 35mm F1.4 II MC VM、コシナへの郷帰りから今月上旬に帰ってっきた。 処置内容は、料理でいうと「スパイスとバターで味を整えて」 --- みたいなことだろうか。 コロナ禍の為にこれ迄よりも日数がかかったとの事だが、しっかり煮込まれた感がありレシピ本来の味を堪能できそう。 そしてコロナ禍のためスナップ・ショットですらなかなか撮りに足をのばせず、ようやく何枚か撮ってこれた。

   久々のこのレンズ、さりげない画ヂカラが心地よく、ヌケ感がきれいで心地く、そして絵を程よくまとめてくれるのもありがたい。

   やや絞りを開け気味に。 被写体にぐっと寄ると何とも言えないボケ感と空間が現れるのだけど、今日は数メートルの距離で。

   よく「入門用に」、「作品作りに」と、様々に定評のあるColor-Skopar 35mm F2.5-Cは、「これでいい」と思わせる何かがあるレンズ。 Nokton Classic 35mmも、「フリンジがどうの」、「樽型収差がどうの」と記事を時折見かけたけれど、樽型収差はちょっと気になる時があるにせよ、いろいろな「35mm」が世にあって、あっちかこっちかと時に迷いもするけれど、「やっぱりこれでいいんだよな」と思わせる何かを思う。

   このレンズの面白いところは、ハイライトもシャドーもよく粘ってくれること。 そしてちょっとだけ画に叙情的な一面を感じるところ。 ピントのキレの度合いも程よい細さ、程よい線の存在感。 素直な画作り。

   I型にあった「画面中心と周辺の中間あたりにあった歪み」 (ピント面のうねり?)を抑えたのが II型だという。 VMマウントの場合、もしかしたら、空間の奥行き感や被写体の艶といった視点での「画ヂカラ」 --- 被写体に、さりげなく背景でつつんで息を吹き込む「眼差し力」とでも言えそうな、想像するに「Nokton Classic 35mmの元来の設計思想の1つ」、の現れが、 I型の方が強いのかも。 II型の画は、Eマウントではスッキリ傾向、M8ではごく僅かに まったりした雰囲気が漂う感がある。

   ここを通るとつい撮ってしまう街灯。 よかった、まだあった。 ...と、なぜか安堵する。 さて、「絞り」少しあけ。

   最近でてきたUltron Vintage Line 35mm F2 Aspherical Type-I/II、これも気になる。 幾つか作例を見ると、陳腐な表現で恐縮ながらColor-Skopar 35mm F2.5を数段スッキリ・シャッキリさせた感じがする。 非球面レンズや異常部分分散ガラス (合ってる?) に魅惑の凹レンズ (構成図の見た目で魅了されてます)、想像するに画の隅々まで澄み、一種の清々しさが問いかけてくるレンズなのでは? という期待がある。 小さいし、特にType-IIはデザイン的にも手に馴染みそうだし。

       そうした諸々を思うと、Nokton Classic 35mmは「何でもござれ」レンズではないのかもしれないけれど、自分好みの絵を探しに連れ出すには、妙に愛着を思う。 またどっかいこう。


   (Leica M8 - 6 bit code: Summarit-M 35mm、 w/ UV/IR Filter)

2021-03-10

ちょっと外出 (ちょっとLumix S 20-60)

   ほんの5分・10分さわった限りでの印象だけど、思っていたより使いやすいレンズだった。 何より20mmスタートというのがありがたい。 ピントの合ったところにシャープさの不足はなく、歪みなどもカメラ側で補正しているのだろう気にならなかった。 上の画像はカメラが出力したJPEGに手を加えている。 色味に少し違和感を感じたけれど、それは厚いガラス越しだからだろう。 レンズ操作の印象は「快活」といったところ。 ただ、テレ端60mmというのは短いと感じる。 近く20-70mmあたりが世に出てくるのを期待しつつも、「20mmスタート」という諸々高いハードルを越えて商品化されたであろうこのレンズ、街歩きの普段使い用として十分に「ほしい1本」。
   レンズ正面を覗き込むと、「SIGMA製」を思わせる風貌だった。 最近のSIGMAの画は以前より少しドライ傾向に思えるのだけど、この20-60mmはその感覚にやや合致。 SIGMAもPanasonicもLeica銘のレンズを製造しているようで、特に近年はどちらが製造しても似た傾向になるのかもしれない。 実はそれ「Pana製なんです」--- というのもあり得るけれど...。 いずれにしても製品としては心地よい造りだと思った。

   ちょっと残念だったのは、お借りしたボディ DC-S5のAFがうまく動作しなかったこと。 レンズを交換してくれた後は動き出したけれど(レンズが原因?)、それでもしばしばAFが動作しなくなり不安定で、メーカーの方も「何が原因かわからない」 ということだった。 というわけで「S5」のAFの手応えはいまひとつ。 ボディはエラーを返すでもなく「サクサク」動き続けていたので、AFが不安定がため結果にガッカリする頻度は多そうだと不安を思った。 色味や明暗には気になるところはなかった。 ほか、「ボタン類の感触と操作感はいまひとつ」や「センサー・クリーニングは超音波だとよかった」等々を耳にするが、...確かにそうかも。 「S1の下位機」という位置づけがため? いっそ「ストリート・フォト・モデル」とか謳って新基軸を切り開くのもアリだったのかも。 「DC-S5II」が登場したらまた視に行こう。

   LUMIX GINZA TOKYOは、2021年 3月14日でCLOSE。 替わって青山に移転し、LUMIX BASE TOKYOとして2021年 5月30日OPEN

2021-02-02

Sabattier

    In 1990, I had oppotunities to use the dark room of the University with photography major students. So many photographic papers were prepeared. Developper, stopper and fixer came out at the right temperature when turning on the tap.
   We sometimes tried some effects like pre-flashing and sabattier. Sabattier was so fun at the time. We tried many times on many photos. We found so much enjoyment in sabattier-effect-printing that I can call it a memory.
   Sometimes, I'd like to try just for fun. That's the sabattier for me, not like I'm aiming for clear purpose.

2020-10-02

2020-09-24

些写 ~ Nokton Classic #3 - 実験期間

   
   6 bit code: Summarit-M 35mm F2.5、Photoshop Lens Profile: Summarit-M 35mm F2.5


   
   6 bit code: Summarit-M 35mm F2.5、Photoshop Lens Profile: Summarit-M 35mm F2.5、Barrel Distortion Adjusted


   
   6 bit code: Summarit-M 35mm F2.5、Photoshop Lens Profile: Summarit-M 35mm F2.5


   
   6 bit code: Summarit-M 35mm F2.5、Photoshop Lens Profile: Summarit-M 35mm F2.5

   購入当初は大きな樽型収差が気になって気になって仕方なく、期待と違ったかなぁと思った。 更に画面の中心で、特に近距離での撮影で「芯」の弱さは、以前にcp+で試し打ちしたVer.I の描画に遠く及ばない感触。 何だか困った。 おまけにボディのLeica M8に、これを「何」として認識させるかで画が変わるので、どれを選択したものかこれも困った。 3つも頭痛の種がある。 サクっとサッパリと当たり前のように使い始め、当たり前のようにレンズの素性を楽しめるとよいのだけど、Nokton Classic 35mm、そのクセをどう見出したものかとしばし思案の期間が。
   その点、Color-Skopar 35mm F2.5 Type-Cは、初めてのLeicaボディに初めてのレンジファインダー・レンズだったこともあり、「こういうもの」とまんま受け止め、その画質は廉価なレンズながら当時も今もほぼ不足なく、空間描写の自然な巧みさの恩恵を承けている。

   「6 bit code」は、まず旧来のSummicron-M 35mmのものを試した。 画面は全体的に生き生きして見えるが樽型収差と周辺の赤みが妙に目立った。 ただ、6 bit codeをSummicron-M 35mmに、PhotoshopでSummilux-M 35mmのプロファイルを充てると、先述の元気さに奥ゆかしさが足され、差し引きうまいこと程よい艶と落ち着く感が出てくる。 好みの画ではあるけれど、都度プロファイルを充て、周辺の赤みを取る手間は「常用」には不向きかも。
   次いでSummilux-M 35mmを試した。 画面はSummicron-M 35mmのCodeとは対照的にぐっと奥行方向に空間が描写される。 しかもしっとりした空気の感触をよく伝え、静かに場面を切り取るにはちょうどよい性質となった。 6 bit codeを充てただけなのに、すっかりNokton ClassicはSummilux-Mになったつもりでいる。 何とも不思議で面白さを思う現象だった。 これで周辺に赤みが出なければこのcodingがベストだとも思った。
   この際なので3つ目、Summarit-M 35mmも試した。 画面はコントラストがやや高く色のりも良い。 最も「現代レンズ」風な描画だったのがこれで、樽型収差も他のプロファイルほどには気にならない。 「現代レンズ」風を楽しむ感が強くなるが、常用という意味ではこれが最も使い勝手が良いと感じる。 わりと色々と素直に写るしメリハリもある。 周辺の赤みも出ない。
   調べてみると、もうひとつSummicron-M 35mm用の6 bit codeが存在するようだが、こちらは試していない。 記憶では「Summicron-M Ver. IV」と書かれていたので、その設計時期から考えると、もしかしたらこれがSummarit-M 以上にしっくり来るのかも。 3つは試す気満々で臨んだのだが、4つ目を見つけたとき、既に複雑さがために「最後にしよう」と考えていたSummarit-MのCodingを済ませた後だったこともあり、「4つ目」がしっくり来なければまたSummarit-M用をマーキングし直すのだろうと考えると、これを試すには腰が重い。 (「4つ目」を試したらこの段落 更新します)

   なので今のところ、Nokton Classic 35mmには、Summarit-M 35mmの6 bit codeが打たれている。 高めのコントラストと色のりが欲しいときに、カメラの設定で「Lens Detect: ON ・ UV/IR Filter: ON」を選ぶ。 では普段は? というと、結局「6 bit code」ナシが案外良く、諸々「OFF」の設定で使うことが多い。
   まだ試していないSummicron-M 35mmのcodeもあるし、必ずしも「諸々『OFF』」が良いかというと、まだそうは言い切れない。
   Coding次第でスッと性質が変わる。 他のレンズでここまで様々なCodingを試したことは無いのだが、その変化の様子を見ていて、このレンズの最も特筆すべきは描画の素直さなのではないかという気がしてきた。

2020-09-22

些写 ~ Nokton Classic #2 - 寸景

   
   6 bit code: Summilux-M 35mm、Photoshop Lens Profile: Nokton Classic 35mm


   
   6 bit code: None、Photoshop Lens Profile: None


   
   6 bit code: None、Photoshop Lens Profile: None


   
   6 bit code: None、Photoshop Lens Profile: Nokton Classic 35mm


   
   6 bit code: Summilux-M 35mm、Photoshop Lens Profile: Nokton Classic 35mm


   
   6 bit code: Summilux-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None


   
   6 bit code: Summilux-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None

2020-09-21

些写 ~ Nokton Classic #1 - 道すがら

   
   6 bit code: Summicron-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None


   
   6 bit code: Summicron-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None、Barrel Distortion Adjusted


   
   6 bit code: Summicron-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None


   
   6 bit code: Summicron-M 35mm、Photoshop Lens Profile: Summilux-M 35mm


   
   6 bit code: Summicron-M 35mm、Photoshop Lens Profile: None

2020-09-15

飛ぶ

   CONTAX N T* F4.0-5.6/70-300mm w/ Sony a7S

   CONTAX T* F3.3-4.0/28-85mm w/ Sony a7S

   CONTAX N T* F4.0-5.6/70-300mm w/ Sony a7S

2020-09-11

DOVES

   腹が減ってそうだった。 前に、エサをやっているおじいちゃんに遭遇したことがある。 元気だろうか。

2020-07-29

ソニー α7S IIIの発表 〜 雑感諸々


   2020年7月29日、ソニー α7S IIIが発表された。(以降「α」は「a」にて表記)
   予約開始が8月4日、販売開始は10月9日とのこと。市場価格は409,000円と予想されている。


   早速、関連記事がネット上に:
   [PRONEWS] https://www.pronews.jp/news/20200729133004.html
   [DC Watch] https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1267920.html
   [DC Watch] https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1268162.html

   「S」の特徴はなんと言っても「高感度」。そして「動画撮影」。

「写真」: 気になること・感想など
期待していた高画素化は成らず → おそらく動画撮影の最適化の結果なのだろう。 高画素化は a7S IVあたりで 8K対応となるのを待つことになるのかな..。 4K→8Kは面積で4倍? ≒ 次期 a7Sは5,000万画素クラスに?
SDカード、又はCF Expressのダブル・スロット化 → これは必須。 以前、データをメモリ・カードにうまく書き込めなかったのか、数枚の写真が記録されていなかった経験あり。 なので「二重化」は大事。
ダイナミックレンジが更に拡張されたらしい → これには期待大。 これが色味に影響する部分があるとしたら、 a9シリーズのように「黒が締まる」傾向になっていると嬉しい。
ノイスの低減 → これは嬉しい。 高感度性能をより活かすためには必須の要素。
手ブレ補正が更に向上したらしい → a7S(I型)を使ってみて、実は手ブレ補正機能が無いと高感度を存分に楽しめないと判明。 (動画は更に残念な場面が多々...) なので「5.5段の手ブレ補正」は歓迎。
裏面照射センサーになった → 裏面照射型センサーの恩恵で、レンジ・ファインダー用の、特に広角レンズでの色被り現象の改善に期待。
AWB(オート・ホワイト・バランス)が進化 → a7シリーズの話になると、「a7S系が最もミックス光を自然に撮れる」という話題が出る。 動画だけでなく写真でも同様に、今回のAWBの進化の恩恵があるのだろうか?
センサーの読み出し速度向上と、画像処理エンジンの高速化 → これはありがたい。人物撮影で、運悪く「目つぶり」のタイミングにハマったきり、カメラのレスポンスが悪いとこれからなかなか抜け出せない。 きっと「速写性の向上 = より意図したタイミングでシャッターが切れるような進化」に違いない...。
メニュー(UI: Use Interface)の変更 → 今までの横に項目が並ぶUIでもよいけれど、縦方向に並んでいるのも良いかも。 問題は、全機種で「基本の並びが揃っている」という方かも。
センサー・クリーニング機能の向上a7S(I型)には無い? あった。メニューの奥の方に。何度か使った覚えあり。 センサー・クリーニング機能の向上はすごくありがたい。
バリアングル・液晶画面 → これは便利そう。
動画の排熱に考慮されている → 結果、防滴・防塵性能が落ちていないかが心配。メーカーのウェブ・サイトでは「防滴・防塵」を謳っているが...。
ファインダーの向上 → これは必須。 a7S(I型)の、手ブレ補正未搭載に続き「残念ポイント」第2位がこれ。 まだまだ「電子っぽいファインダー」の時代だったのだろう。 a7S(I型)では古くて比較対象にはならないかもしれないが...。 以下、PRONEWSの記事より:
  ・a7R IV比約1.6倍の解像度をもつ新開発の約944万ドット(Quad-XGA)
  ・大型0.64型有機ELディスプレイを採用した電子ビューファインダーを搭載
  ・0.90倍のファインダー倍率(対角視野角:約41度)とハイアイポイント(約25mm)
  ・周辺歪み低減設計で、隅々までクリアな映像を映し出す
  ・防塵・防曇性能や表示レスポンス、被写体に応じたモード設定なども採用


「動画」: 気になること・感想など
4K 120pまで撮れる → a7SIIではたしか30pまでしか撮れなかった。 最低でも60pは欲しかったが。
XAVC-Sだけど、Intraが撮れる → a7S IVになると「-S」が取れるのだろうか? 「-S」なのがちょっと不足感。 とは言え実際、動画ファイルのスペック的には困る感じはしない。
4:2:2 10bitで撮れる → 動画カメラとすれば当たり前のスペックかも。いいかも10bit。
ハイライトの粘りが向上 → a7S IIIはBt.2020の色域に対応しているが、世の中まだまだRec.709の世界。709でも広いダイナミック・レンジ感が出せるのでは? と期待。
H.265も採用 → 大半のワークフローで扱われるのはH.264、現時点でどれだけ需要があるのかは疑問。 上記2項もだが、外部電源、外部レコーダーを繋げば「底力」が出てくるのだろうか?
AFトランジション速度7段階、AF乗り移り感度5段階 → 使いこなせればこれは面白いかも。
ホワイト・バランスのスムーズな変化が可能 → これも良いかも。 ただ、タイミングが悪いと却って気持ち悪い画になりそう...。 ホワイト・バランスの制御全般は、案外 a7Sシリーズの要のようにも見える。
ローリングシャッター動体歪みを低減 → これも良いかも。


   嬉しい進化が多々あるものの、どことなく「帯に短し」な感がある。 もし「グローバル・シャッター搭載!」だったらまた違った存在価値があったようにも思う。
   「写真」目線で、 s7S IIIとの比較と思い、特徴的に目に入ったのは a9/ a9 II、 a7R IVの2 (3?)機種。
   ざっと --- a7S III: 何より高感度。 ミックス光に強い?。 オールド・レンズに強い? (I型は噂されたほど良好ではなかった)。 1,220万画素。 a9 II: 2,420万画素。 黒の締りが綺麗で画作りはKodachromeを思わせる力強さがある。 メーカーの推す特徴は「速写性」。 画像ファイルのサイズも程よく、全体的なバランスが良い。 Quad-VGA OLED Tru-Finder 約369万画素。 a7R IV: 圧倒的な高画素の6,100万画素。 高画素機ゆえにシャッター機構のメカ振動でもブレが少し心配。 UXGA OLED Tru-Finder 約576万ドット。
   と、並べてみると、「写真」的には a9 IIが良さそう。 価格で言えば、基本設計がほぼ同じである a9 (I型)が、ややこなれて a7R IVあたりと並べて検討の範囲になる。
   さて「どれが『買い』か?」と思うと、何だかどれもしっくり来ず。 そして、ならば「2年後」ではどうだろう? とふと思ってしまった。 根拠のない予想だが、その頃には a9 IIIが、 a7R Vが市場を賑わせていそう。 両者、電子的な規格のグレード・アップを経てデータの書き込みの安定性の向上、シャッター機構のさらなる向上、ファインダーの向上、UIのブラッシュ・アップなどが期待できそう。 「目に入った」3機種、「その頃」には (近似する価格帯で考える都合から a9はII型として) a9 II、 a7R V、 a7S III となり、価格的には37〜40万円ほどの範囲で上下しているのではないだろうか。

   ではそのもう少し先、「次なる大きな進化」は? と考えると、動画の8K対応だろう。 思うに a7Sシリーズは既に8K化に向けて企画が走っているような気がする。 a7Rシリーズは既に6,100万画素あるので、とりあえず8K化は問題ない。 a9シリーズは... 高画素化と高写真力化と高価格化? a7Sシリーズは、今後も「動画機として同社の他シリーズと他社の動画が撮れる機種とどのような差別化できるか」という道を進むのだろう。 写真的には、a7Rシリーズも随分と高感度には強くなり、裏面照射センサーのお陰か、レンジ・ファインダー用広角レンズでも色被り耐性が高くなっていると聞くし使い勝手の幅を広げている。 対して a7Sシリーズは、引き続きの低画素機となったこともあり少なからず存在感が薄れてしまった一面も。 あくまで写真的な視点から、もしかしたらいずれ8K化に合わせた機種整理のなかで「a7Sシリーズのディスコン」という選択肢もあるのでは? と、つい考えてしまった。 それは、「写真のカメラ」の形をし続けることに違和感を感じるため。
   「違和感」というよりは、写真のカメラだと思っていた「a7Sシリーズ」が、III型で急速に「写真を撮る人」から遠のいて見える「寂しさ」なのかも。 もっとも「a7S」は、I型から動画に注力した機種だった。 ではIII型で物足りないのは何? と思うと、とりあえず「写真の画素数だけ」、だったりして...。
   8K時代の a7Sシリーズ、5,000万画素 (4096 x 2048 x 4 ≒ 3355万なので、実効で約3,400万画素以上あればよい?)・高感度・高速ロジック・レンジファインダー機用レンズでの極少色被り・高精度ホワイト・バランス・グローバルシャッター・H.266対応・XAVC&外部レコーダーでX-OCN対応 --- というのも悪くないか。

   で、ふとまた我に返り、先の3機種の比較。 じっくりとネット上の作例写真を眺めてみも、残念なことに腕を奮った画像揃いで差異がわかりにくい。 これは「きっと観かたが良くないのだろう」と、「画質」ではなく「しっくり度合い」で捉えてみた。 先の「2年後」を思い描きながら「いま」の画質に見入りながら、今の感想としては --- 「a7R V待ちが良さそうだなぁ」と。 惹かれたのは、 a7R IVの写真に見る「静寂感」。

   2020-08-19追記:
   その後、「では 5〜6年待ったらどうだろう?」も気になり始め、全て推測ながら ---
   その頃おそらく8K一般化時代で、一部では16KがTV放送の配信の世界以外で何らかの実用レベル。 a7Sは"V"あたり、a7Rは"VI"あたりか。 a7Sシリーズの画素数はおおらく4,200万画素くらいで、今回 a7S IIIで強化されたホワイト・バランス始め動画を意識した色づくりは動画・写真ともに良く作用し、かつてEPR・PKRやRDPを常用していたような感覚で「a7S色」がひとつの完成期に? a7Rシリーズは更に写真の画質を追求し、これも画素での話になるが、かつてのKodak Technical Panの35mmフィルムが「4x5の解像度」を謳っていたように4x5の世界感を意識したレベルに? 色味は更なる「自然」さを手に入れて、願わくば白黒写真の領域も追求し、カラーは大判ネガの階調とポジのリアル感と忠実性、白黒はELITEやGALERIEのような実体感・表現力など、フィルムとデジタルの「いいとこ取り」の成熟期に?  2025年の「R」と「S」、...今より更にそれぞれの特徴が突出し、迷う要素は増えているかも。

   2020-08-19追記:
   a7S IIIの動画性能についての「デジカメinfo」の記事 (2020-08-17)が。

   2020-09-08追記:
   【開発者視点で徹底解説】ソニー α7sⅢ 動画だけじゃない、細かいところも愚直に改善 (YouTube)
   The most CREATIVE camera I've ever used. Sony A7SIII (YouTube)

2020-07-16

Leica M10-Rの発表 〜 諸々雑感

   2020年7月16日、Leica M10-Rが発表された。
   「R」と付いた機種名は、「解像度」から来ているという、4,000万画素機。


   早速にヨドバシカメラからもマップ・カメラからもレビュー記事が掲載され、その特徴が見てとれる。
   Leica独特の空気感の表現の妙、色づくりの妙、高画素の繊細さと相まって、たしかにLeicaの言うように「新たな次元」の「M」といった感じがする。
   レビュー記事の写真からは、被写体が話しかけてくるような、「主張する静寂感」を思った。画はしっとり感・瑞々しさが際立っても見える。Leicaのレンズ群の潜在能力を引き出して、新たな描写を見せてくれるのでは? と興味津々。

   [DC Watch] https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/newproduct/1267335.html
   [Steve Huff] https://www.stevehuffphoto.com/2020/07/16/leica-announces-the-m10-r-high-resolution-m-camera-why-i-do-not-want-one/

   一方で、ごく淡々と思いを述べた記事も。
   Steve Huff氏のブログに:「これには興味が持てない。気持ちに直結するような写真を撮るのに4,000万画素機は必要じゃない。M10-Rは、Leicaの伝統や魂からすれば、むしろ後退したコンセプトなのではないだろうか。高画素機が欲しければα7IVを買えばいい。高画素機で撮ればクロップが自在だという意見もよくあるが、それは撮り手の表現力をじわじわ減退させる要因でもある。私にとっては2,400万画素もあればよいし、それがいちばんしっくり来る数値。振り返ると、これまでの思い出深い写真は、M8やM9や、M240で撮ったもの。Leicaは好きだし、これまでフィルムもデジタルも何機種も使ってきたし、「M」の形も好きで、ダイアルやボタンを操作して写真に至る達成感はこの上ないもの。Leicaは世間と競争しなくていいのに..。」と。

   (Steve氏の「クロップ」の指すところは概ね「トリミング」と同義のようだが、氏は、「クロップ」に「より気軽な」「手っ取り早い」といった意味合いを重ねているように感じる。)

   氏の思いの根底には、「高画素」=「クロップで作られる安易な写真の量産」という図式があるのだろう。
   思うに、「『素通しガラス越し』のような被写体との近さを感じられるレンジファインダーこそ、ノー・トリミングでの写真づくりが、またそこに挑むワクワク感が醍醐味なのに、安易に『トリミングしよう』とつい思わせてしまうカメラって、やっぱりレンジ・ファインダー機としては不似合いなんじゃないかな。」-- かな。
   そして「Leicaに期待するのは、Leicaの経験と技術でしか表せない「写真」であって、ハイ・スペックではない」という思い -- かな。 実際にSteve氏が使ってきたM8は1,330万画素しかなく、Sony a7S IIは1,220万画素しかない。 最も好んで使っている機でも2,400万画素でしかない。 ながらそこには手応えを感じている。 だからこそ、Leicaこそ、スペックではないものを追い続けてほしいのに -- かな。 「4,000万画素機 Leica M10-R」にはそうした違和感を感じているのだろう。

さて「4,000万画素」への個人的な感想:
写真の分野によっては高画素機が必要な方もあるだろうし、4,000万画素という選択肢ができたのは良いと思う。 「小さな『S』のような」というイメージかも。
4,000万画素機が発表された時、思っていたほどワクワクしなかった。 Steve氏ではないが、その時、これまで築かれてきた「Leica M」の世界と高画素とはあまり関係がないように思えた。
中判に準ずる価値を見出すなら、この「4,000万画素『M』機」にぐっと存在感が出てくる。 小さな「M」でありながら「645」に似た充足感。 「M10-R」、これなんだろうなぁ。 そう思うと、なんかいいなぁ。
4,000万画素機が更にLeicaのレンズ群の潜在能力を引き出し、また新たな写真の世界が出てきそうなところは楽しみ。
ダイナミック・レンジの拡張 - 実はこれが最も「面白さ」に繋がりそうだと期待してしまう。
今後はこうした高画素機が、2,400万前後の画素数のモデルと共に双璧のように、「M型」のひとつの「標準」になってゆくのだろう。
4,000万画素という大きなデータの取り回しは億劫なこともあるかも。
「主張する静寂」 --- 「静寂」と言っておきながら、どことなく画像に「そわそわ」したものを感じる。 電子のザワつきだろうか? 銀粒子にはない、若干の違和感を伴うざわめき。
インターネット上のレビュー記事を見る限りではさすがのLeica色。「まさに好み」と思いつつ、シャドーの階調に硬さを感じることがあったのが少し気になった。
M10-Pと同様の(「同じユニット」と書いている記事は見当たらなかった)静音シャッターとのこと、撮る度にあの音がするのは好感触。
ボディの革の模様がちょっと大柄かな。
M10-R、どんな持病があるのだろう? やはりここは心配。
M10-R、いつまでバッテリが市場に供給されるのだろう? やはりそれは気になる。

   実機を触ったわけではなくネット上の情報のみをかき集めた結果だが、あえてM10-Rの魅力ポイントを書き出してみると --- 1. 広ダイナミック・レンジ  2. Leica色  3. シャッター音  4. 「中判」を意識しての4,000万画素への期待  5. 多少の高感度撮影も可。
   あえてその逆 --- 1. 電池はいつまで供給されるのだろう  2. 持病や発作は当然のようにある(そしておそらく直らない)のだろう  3. 1ファイルのデータ量が大きい。

   余談 --- 高精細な画像を見慣れてしまうと、案外、画素の小さい方へはなかなか戻れないのかもしれないなぁ。