2015-09-12

雑感 〜 ZEISS Milvusの発表

   「秋の新商品」的な、
   ...時期なのだろう。 写真をまとめて多めにアップ・ロードしたいと思っているところにZeissの新製品(2015-09-11発表) の記事が目に入ってしまった。 ...のでアップ。


   Zeissについては「Loxiaに新しく広角レンズが加わる」との噂に脳みその90%方を因われていたところにキヤノン・ニコン向け新レンズの発表。 興味はもっぱらMマウントとFEマウントなのであまり触手は動かなかったが、Impress デジカメWatchの記事の見出しが気になった。
   それが、「コシナは、カールツァイスと共同開発した...」という言い回し。 レンズのキャラクターとしてより「コシナ色」が強いのか、「コシナが作った」を強調したいのか。 「ZEISSがそう言った」わけではないのでどちらでもよいと言えばそうなのだけど...、と思いながらも軽く違和感。
   Batisシリーズ発表時の「NEW PRO ERA」というフレーズに感じた「挑戦」や「意気込み」とは少し異なり、「ごくスタンダードなライン・アップですよ」といった空気を感じる。
   収差を追い込み、逆光の光源さえも写し取り、コントラストで瞬間を魅せる、ZEISSらしい完成度を持つ「スタンダード」、な、ラインアップである。
   ニコン・キヤノンのボディで当たり前のようにZEISSの世界を体感出来る、これら新設計・または"Classic"シリーズからブラッシュ・アップされた"Milvus"の存在は実に意義深くある。 後にZEISS Milvus 1.4/50のウェブ・サイトへ行ってびっくり。 コンセプトは"More Than a Standard Lens"と。 まさに「標準を超える標準」という堅実さ・精彩さを連想させる語感。
   ちなみにグランド・コンセプトは「AMBITION」。 "Milvus"とは、欧州に生息する「トビ」の一種らしい。

Milvus 2.8/21(20万8,000円) Milvus 2/35(12万4,000円)
Milvus 1.4/50(14万8,500円) Milvus 1.4/85(20万5,000円)
Milvus 2/50M(15万1,000円) Milvus 2/100M(21万4,500円)

   以下の画像はflickerのZEISSのページより。
 

   小さなサイズで観る画像ながら、6K対応という解像度が描き出す緻密さはZEISSの「新境地」を思わせる。 「レンズの味」が売りのひとつであるZEISSだが、案外「味 = 収差」だったりもする。 その収差を極限に抑えつつZEISSらしいトーンをしっかり表現するところはまさに技術力。
   ZEISSと言えば"Planar"や"Distagon"といったレンズ構成ごとの名称だが、Milvusではこれがデータ・シートにちょこっと表記されている程度であまり前に出てこない。 レンズ構成の表示を見ると、例えば「1.4/50」はDistagonなのだが、Planarっぽさが同居し、加えてDistagon 1.4/35 ZMやUltron 35/1.7 Vintage Lineで用いた手法が顔をのぞかせている風で、コシナのアイディアが多分に盛り込まれているようにも感じるが、これは「35mm判フルサイズ・センサー」という時代的な事情を反映した故のレンズ設計なのだろう。 収差を抑える工夫満載であろうそのレンズ構成から、実は"Milvus"は - ZEISSがいよいよ新たな時代に入ったという象徴的なシリーズなのではないだろうか。
   Yashica-CONTAXの頃のCarl Zeissに似た手応えの"Loxia"、新たな挑戦を試みる"Batis"、新時代を拓きはじめた"Milvus"。 そうしたイメージを持った。
   特に新設計だという、Milvus 1.4/50mm (Distagon)、1.4/85mm (Planar) の今後の評判が楽しみ。

    *ZEISS MilvusとSony A7SIIの話題を、両者同日の発表事項だった事もあり本Blogで同日枠で掲載させて頂いておりましたが、性質が大きく異るため別項とさせて頂きました。(2015年10月17日)