2013-08-03

Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 Classic


   このレンズ、コシナにピントの調整をして頂いてから、性格が変わったかのように空間の描写に変化が出たような気がする。 まさに「ピント外れ」ではなくなった、この感触は心地よい。
   レンズがスクリュー・マウントであるためか、バヨネット・マウントであればピタっと合うハズの位置にズレが生じるのだろう、その旨をお伝えしての調整依頼だったのだが、調整後は非常に感覚的・感触的にレンズとの対話にシャープな手応えが出てきた。 それまではややまったりと、空間の不思議な「間」を得意とするレンズだと感じていたが、それに足して対象物への眼差しが強くなったと思う。

   夏とはいえ夏至をひと月半弱も過ぎ、あたりの植物の中には秋の準備をしているのか? と思える季節感が混じって来ている。 これからまた猛暑がやってくるとの予報だが、トンボの優雅に飛ぶ姿や、まもなく薄茶色になりそうなフサフサのネコジャラシや、日差しの赤っぽさなど、夏が去ってしまった虚しさを思う日は、もうそう遠くはなさそうだ。

   ベンチに目がゆき、撮り終えて川沿いを歩く。 「ノスタルジックな思い出」という言葉がぼんやり浮かぶ - 今日ここで撮った写真の全体的な印象の事だ。 よく考えると妙な言葉なのだが - この光線具合によって束ねられた記憶が... くすぶって出て来た感想だ。