2015-12-27

雑感 〜 Kodak Film Cleaner (for Motion Pictures)

   至極意外な製品の発表 - と思ったが、古いフィルムからデジタル・データを起こすという需要は、案外多そう。
   テレビは4K・8Kという時代になり、 過去に --- と言ってっも10年は経っていないと思うが、光学式のテレシネで作成した動画データでは解像度が足りないのだろう。 ここに来て映画フィルムをクリーニングする機材が、2015年12月21日にKodakから発表された。

   フィルムは、保管が不十分ならカビが生える。 スキャン中にフィルムに埃が付着すれば、そこには黒く埃の形が映り込む。 例えば「レコード」に埃が着くと、そこをレコード針が通った時に「プッツ」とノイズになって現れる。 念入りにクリーニングしたり、埃の少ない部屋を用意したりと、アナログものには共通してこの手の手間がついてまわるが、手をかけた分、映画フィルムの映像もレコードの音も、不思議と非常に目・耳馴染みはよい。

KODAK Introduces Innovative Film Cleaning System

Easy to Use, Digitally Controlled Method Redefines Vital Process

Rochester, NY, Monday, December 21, 2015 --
Kodak has announced the release of a new, groundbreaking P-200 Film Cleaning System that transforms the traditional film cleaning process. The revolutionary design allows the cleaning solvent to be dispersed on the film surface in a unique way. This economical, compact and digitally controlled system, which uses KODAK HFE 7200 Film Cleaner Solution, makes it ideal for today's archives and libraries.
http://www.kodak.com/ek/US/en/corp/Press_center/KODAK_Introduces_Innovative_Film_Cleaning_System/default.htm

   「フィルム」と言うと時代遅れな響きを感じる昨今だが、例えば35mm(フィルム幅)の映画フィルムは、近年一般化しつつある"4K"よりも概して情報量が多い。 解像度で言えばようやくデジタルがフィルム並の数値になってきたところ。 解像度だけでなく、色も光の強弱も、無段階に情報が焼きこまれている、実は桁違いに広大な世界なのではないだろうか。
   そして、最も画像や音といった情報の「保存性」への可能性を持つ媒体でもある。 デジタルの媒体が、実際的には早ければ記録直後、長くても10年・20年といった寿命と言われるのに対し、保存条件が整えばフィルムの寿命は1,000年と言われる。
   デジタルの記録媒体のなかにも、「M-DISK」のように長寿を謳うものもある。 ガラスや石に記録するという話もあり、材料だけを聞いていると、まるで石器時代に戻るかのよう。 デジタル媒体の競争相手はデジタル媒体ではなく、まだまだフィルムなのだなぁと思う今日この頃。 FUJIFILMもKODAKも、長期保存用フィルムをなるべく長く作り続けて欲しいと願う。

2015-11-30

雑感 〜 Panasonicの特許

   ブログ「エンジニアの嗜み」より不思議な記事。 解説を読みながら、なんとなく分かったような...、やっぱりわからないこの仕組み。 映画「007」で、「変わり者風な科学者が嬉々としてボンドに手渡す」といった設定が似合いそうなこのカメラ。 感想も何も浮かんでこず、自分用メモとして「まんま」(点線の間) 掲載させて頂きます。

   記事のタイトル -  「Panasonic 見えないカメラの特許」
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   “パナソニックが人の目に認識できないカメラの特許を出願中です。



   光がONの時にはカメラが見えず、カメラも撮影をしません。 光がOFFの時にはカメラが見えるようになり、カメラは撮影を行います。 人の目に認識出来ない周期で光のONとOFFを切り替えれば、実質的に見えない状態で撮影を出来るわけですね。

   赤外光も人の目には見えませんが、デジタルカメラで撮影すれば見えることがあります。 ライブビューのフレームレート次第では、特許申請にある見えないカメラを見ることも可能でしょう。 これからはカメラの存在をカメラによって確認するようになるのかもしれませんね。”
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2015-11-02

雑感 〜 ERAS of LENSES

   I visited a website of MAP CAMERA. They write reviews for lenses and cameras as a website "Kashapa". "Kashapa" might be from the sound of shutter. The articles sound a little bit like chronicles.
   They picked up a lens named "KISTAR 55mm F1.2". First, I wasn't interested in it, but the words of "Tomioka Optical" let my hands stop and let me read the article.

   It says, ---


   Kashapa will introduce a lens named "KISTAR 55mm F1.2" by Kishita Optical Laboratory. This lens is a exactly reproduced of "TOMINON 55mm F1.2" which is made by Tomioka Optical. Old lens fan might have heard the name of "Tomioka Optical Co., Ltd." The Original "TOMINON" is able to be called as an ORIGIN of CONTAX Carl Zeiss lenses made in Japan.
   A bright and rare "TOMINON 55mm F1.2" which is made in around 1970 is a kind of legend and it STILL fascinates lots of old lens fans.

   Kishita Optical Laboratory which made "KISTAR 55mm F1.2" is founded by a optical designer Kishita, Saburo who have designed "TOMINON 55mm F1.2". And the mechanical part of this brand new "KISTAR 55mm F1.2" is designed by his son Kishita, Tsutomu, and the optical design is by a engineer since they have made as Tomioka Optical Lab. So, the spitits of TOMINON handed over to this lens.

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   The front lens took my breath away. (Photos below are from Steve Huff Photo)


   I have heard from a staff of ZEISS. He have told me about Loxia and some Carl Zeiss lenses. He said, "Loxia series is the ZEISS designed as ZEISS by ZEISS". It might mean the other Sony ZEISS lenses are reflected Sony's intentions a lot.
   Since that, I feel not like Cosina, not like Tamron and not like Sony for Loxia. On the some samples by Loxia 21mm on some websites shows the atmosphere just like CONTAX T* Distagon 2.8/25mm. It's so clear and cool, and the objects are steady in the picture. Totally solid.
   Now some kinds of ZEISS photographical lenses are released and they are characteristic in each series. My criterions for "Carl Zeiss" are from CONTAX Carl Zeiss in 1980's and 1990's. Most of them have been made by Tomioka Optical and the looking of Loxia sometimes make me feel looking at the CONTAX Carl Zeiss over or back the some decades.

   Once I thought enough lenses for usual use were gathered for me. But, in these years, most of lens vendors re-design the lenses for full(35mm)-sized digital cameras, so a new era of lenses is comming, and they give us so sophisticated quality.
   Sometimes kind of the old fashioned lenses which I have let me consider to replace to newer designed lenses.
   But, sometimes the old fashioned lenses give me images just as I imagined. That's interesting - these lenses show differences on some not full sized sensor cameras or full sized cameras, and they are well amiable.
   I expect having fun a little for the feelings of New but not only New for New era lenses.

2015-10-22

雑感 〜 LEICA SL


   35mm判フルサイズのミラーレス・カメラが2015年10月21日に発表された。 価格はボディが税抜92万円。 レンズ・マウントは「Lマウント」と呼ばれる新規格ながら形状は「Tマウント」互換とのこと。
   このネーミングから、かつての「M型ライカとR型ライカ」のようなことを思う。 M型を作り続けていたライカだが、一眼レフ主流の世の中に送り出したのが"R型"だと記憶している。
   この「SL」は、「ミラーレス一眼」で「35mm判フルサイズ・センサー」、そしてこの形状と、海外のサイトでは専ら「ソニー α7の競合相手」として取り上げられている。 そうは言ってもあまりに価格差が大きく、そのまま「競合相手」とは呼びにくい。
   同社の中判デジタル・カメラである「Sシリーズ」はコマーシャルの世界をターゲットとしているのだろう。 そこからひと回り小さく、価格も半分以下となるのがこの「SLシリーズ」で、かつて欧米のファッション雑誌が35mm判フィルムを多用していた事を思うと、あくまで上位機種「Sシリーズ」と比較してという話だが、「SL」もそれなりにリーズナブルな価格に見え、仕事カメラの枠には入りそう。 「SL」は2,400万画素なので中判カメラとは捉えにくい。 うまく中判カメラとの棲み分けで利用してもらうイメージだろうか。
   ライカと言えばまず「M型」を思い浮かべるのだが、こちらは2009年頃からじわじわと値を上げ、現行「M」(Typ.240)はざっくり軒並み100万円ほど。 「SL」の方が気持ち安価な設定となる。
   ライカの、画質・独創的な世界ともに比類なく、どこか「絶対感」を思う存在なのだが、機械的・電気的・電子的な信頼性には疑問が残る。 というのは、もう7〜8年前の買い物になるが、今も多用するM型デジタルの初代「M8」が購入直後から不調続きで、この不安から仕事場での「Sシリーズ」導入を見送った事がある。 短命で高価では、「ここ一番」という場面での不具合発生と、その対処の可否に不安がついてまわりそうだからだ。
   市場全般的にも「SL」の斬りこむ先はどこだろうか? カメラの安定性は"競合"と言われるソニー α7シリーズに軍配があがるだろうが、同シリーズには「仕事カメラ」の匂いがあまりしない。 いずれにしても、ライカは新世界の開拓に踏み出したと言えそう。さて、「SL」の行方は...。

   ● 以下はImpress デジカメWatchより:
   撮像素子は、35mmフルサイズの2,400万画素CMOSセンサー。APS-Cクロップ時は1,000万画素記録となる。光学ローパスフィルターレス構造。感度設定範囲はISO50~50000。超音波式のセンサークリーニング機構を搭載する。
   画像処理エンジンはLEICA MAESTRO II。バッファメモリーは2GB。連続撮影枚数はDNGで33枚、DNG+JPEGで30枚。DNGは14bit記録。
   動画は4K解像度に対応。4,096×2,160/24fps、3,840×2,160/25fps・30fpsに対応。1080pおよび720pでは24fps・25fps・30fps・50fps・60fps・100fps・120fpsで記録できる。記録形式はMP4とMOV。
440万ドットの電子ビューファインダー。

   EVFは0.66型440万ドットの「EyeResファインダー」を搭載。高解像度と表示タイムラグの短さを特徴とする。倍率は0.8倍。表示フレームレートは60fps。ライカSL専用に独自開発したという。
   (オリンパスE-M1: 0.74倍、富士フイルムX-T1: 0.77倍、ソニーα7R II/α7S II: 0.78倍 )
   液晶モニターはタッチパネル式の2.95型104万ドット。カメラ上面に、情報表示用のモノクロ液晶ディスプレイも備える。
   バッテリーによる撮影可能枚数は約400枚。
   外形寸法は147×104×39mm。重量は約771g(本体のみ)、847g(バッテリー含む)

   ● 以下は「デジカメInfo」より
   - AFは49点、コントラストAF
   - 価格は6,900ユーロ

   ● 以下は「デジカメInfo」(上記と別記事)より
   Made in Germanyのミラーレスシステムカメラ「ライカSL」は、ライカならではの高品質な革新技術を取り入れたカメラ。2400万画素のフルサイズCMOSセンサーや高性能な電子ビューファインダーを搭載し、高性能なレンズ群との相乗効果により、圧倒的な描写力を発揮する。
   0.11秒未満の高速オートフォーカスを実現。「ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL f2.8-4/90-280mm」との組み合わせなら、一眼レフを含むプロ仕様のデジタルカメラでオートフォーカス性能は最速。
   プロフェッショナル水準の4K動画が撮影できるので、本格的なビデオカメラとして映像制作者の厳しい要求にも応える。インターフェースにはHDMI1.4端子を採用しており、4:2:2 10bitの4K画質のプロ水準の映像を伝送できるほか、HDMIレコーダーと組み合わせることでプロ水準の映像を撮影・収録できる映像制作機材として活用できる。
   Tレンズもマウントアダプターなしで使用可能。また、過去から現在までのライカの他のカメラシステムの高性能なレンズでも撮影できるように、各システム専用のマウントアダプターを用意。

   ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.: 最短撮影距離はワイド端で0.3m、最大撮影倍率はテレ端で1:3.8。光学式手ブレ補正機構(OIS)も内蔵しており、シャッタースピード換算で最高3.5段分の補正効果が得られる。
   ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL f2.8-4/90-280mm: 新開発のダブルインナーフォーカス方式により、プロ仕様のカメラシステムで最速のオートフォーカス性能を実現。
   ライカ ズミルックス SL f1.4/50mm ASPH.: 最高水準の光学性能と新たな基準を打ち立てるシャープな描写が特長のレンズ。光学系にはインナーフォーカス方式を採用しており、フォーカシングを行っても全長は変わらない。2016年末に発売予定。

2015-10-09

雑感 〜 Voigtländer auf E-mount


   フォクトレンダーからEマウントのレンズが発表された。
   あれは1年ほど前だったろうか、デジタル版のレンジファインダー型ツァイス・イコン・カメラの噂があったがその予兆だろうか。 ソニー製との事だったので、もし実現するならば、所謂「オールド・レンズ」への対応を考慮してソニー α7Sに近しいスペックになるのだろう。
   今回は「フォクトレンダーからコンパクトなEマウント・レンズが発表される」という噂で、近年どんどん大型化するレンズのトレンドから一線を画した新しい流れかと期待したが、発表されたラインアップには標準レンズ付近の焦点距離はなく、以下の超広角レンズが。 LoxiaやBatis、ソニー系ZEISSにもラインアップの無いレンジなので、「事始め」としては「なるほど」な参入。

   • 10 mm F 5,6 Hyper-Wide-Heliar
   • 12 mm F 5,6 Ultra-Wide-Heliar
   • 15 mm F 4,5 Super-Wide-Heliar

   Voigtländerは、その独特な明暗の表現や、Color-Skopar 35mm F2.5 Type-Cのように空間表現の世界観が面白く、筐体がコンパクトに収まるならば28〜75mmあたりのEマウントへの参入も期待したいところ。
   市場に登場するのは「2016年春」。 日本での発表は夏前頃か。 10mmのHyper-Wide-Heliarは、VMマウントも発表されるようだ。

2015-10-08

雑感 〜 キヤノンの技術

   覚書として以下の2つの技術を。 Impress デジカメWatchより。



2015-09-16

Voigtländer Color-Skopar 21mm F4 P


   この日はたぶん、映画「Paris, Texas」を観に行った日。 何気なく立ち寄った公園での1枚。 白い花をつけているのはキミガヨランという不思議な名前の植物で、ひと昔前は、なぜか公共施設の植え込みにこれを目にする機会が多かったように思う。 ヤツデやシュロも同様の印象だが最近は目にすることが減ったようにも感じる。 たぶん何となく - 歳月を遡る深層心理からの1カットなのかも。

   「Paris, Texas」は、1984年の公開以来ずっと興味はあったのだが観る機会は無く、あまりにその「ずっと」感が長くなってゆく分、VHSでもDVDでも借りる気も遠ざかっていた。
   そうしたある時、劇場で上映されることを知り、東京・高田馬場の映画館「早稲田松竹」へ向かった。

   映画は西ドイツ(制作当時)とフランスの共同制作だそうだ。 音楽はライ・クーダー。 ボトルネック奏法で知られるテネシーの... と言いたいところだが、出身はロスアンゼルスのギター奏者。

   映画の舞台はアメリカだが、所謂アメリカ映画とはひと味ちがった空気感と後味だった。
   近い雰囲気と言えば、あまり趣味ではないが「Rain Man」あたりだろうか。 不思議な空気感の映画で思い出すのは「Bagdad Cafe」や「Fandango」、「In the Valley of Elah(告発のとき)」とか。

2015-09-12

雑感 〜 ZEISS Milvusの発表

   「秋の新商品」的な、
   ...時期なのだろう。 写真をまとめて多めにアップ・ロードしたいと思っているところにZeissの新製品(2015-09-11発表) の記事が目に入ってしまった。 ...のでアップ。


   Zeissについては「Loxiaに新しく広角レンズが加わる」との噂に脳みその90%方を因われていたところにキヤノン・ニコン向け新レンズの発表。 興味はもっぱらMマウントとFEマウントなのであまり触手は動かなかったが、Impress デジカメWatchの記事の見出しが気になった。
   それが、「コシナは、カールツァイスと共同開発した...」という言い回し。 レンズのキャラクターとしてより「コシナ色」が強いのか、「コシナが作った」を強調したいのか。 「ZEISSがそう言った」わけではないのでどちらでもよいと言えばそうなのだけど...、と思いながらも軽く違和感。
   Batisシリーズ発表時の「NEW PRO ERA」というフレーズに感じた「挑戦」や「意気込み」とは少し異なり、「ごくスタンダードなライン・アップですよ」といった空気を感じる。
   収差を追い込み、逆光の光源さえも写し取り、コントラストで瞬間を魅せる、ZEISSらしい完成度を持つ「スタンダード」、な、ラインアップである。
   ニコン・キヤノンのボディで当たり前のようにZEISSの世界を体感出来る、これら新設計・または"Classic"シリーズからブラッシュ・アップされた"Milvus"の存在は実に意義深くある。 後にZEISS Milvus 1.4/50のウェブ・サイトへ行ってびっくり。 コンセプトは"More Than a Standard Lens"と。 まさに「標準を超える標準」という堅実さ・精彩さを連想させる語感。
   ちなみにグランド・コンセプトは「AMBITION」。 "Milvus"とは、欧州に生息する「トビ」の一種らしい。

Milvus 2.8/21(20万8,000円) Milvus 2/35(12万4,000円)
Milvus 1.4/50(14万8,500円) Milvus 1.4/85(20万5,000円)
Milvus 2/50M(15万1,000円) Milvus 2/100M(21万4,500円)

   以下の画像はflickerのZEISSのページより。
 

   小さなサイズで観る画像ながら、6K対応という解像度が描き出す緻密さはZEISSの「新境地」を思わせる。 「レンズの味」が売りのひとつであるZEISSだが、案外「味 = 収差」だったりもする。 その収差を極限に抑えつつZEISSらしいトーンをしっかり表現するところはまさに技術力。
   ZEISSと言えば"Planar"や"Distagon"といったレンズ構成ごとの名称だが、Milvusではこれがデータ・シートにちょこっと表記されている程度であまり前に出てこない。 レンズ構成の表示を見ると、例えば「1.4/50」はDistagonなのだが、Planarっぽさが同居し、加えてDistagon 1.4/35 ZMやUltron 35/1.7 Vintage Lineで用いた手法が顔をのぞかせている風で、コシナのアイディアが多分に盛り込まれているようにも感じるが、これは「35mm判フルサイズ・センサー」という時代的な事情を反映した故のレンズ設計なのだろう。 収差を抑える工夫満載であろうそのレンズ構成から、実は"Milvus"は - ZEISSがいよいよ新たな時代に入ったという象徴的なシリーズなのではないだろうか。
   Yashica-CONTAXの頃のCarl Zeissに似た手応えの"Loxia"、新たな挑戦を試みる"Batis"、新時代を拓きはじめた"Milvus"。 そうしたイメージを持った。
   特に新設計だという、Milvus 1.4/50mm (Distagon)、1.4/85mm (Planar) の今後の評判が楽しみ。

    *ZEISS MilvusとSony A7SIIの話題を、両者同日の発表事項だった事もあり本Blogで同日枠で掲載させて頂いておりましたが、性質が大きく異るため別項とさせて頂きました。(2015年10月17日)

2015-09-11

雑感 〜 ソニー α7SII 発表

   楽しみにしていたソニー α7SIIが海外で発表された。 (2015-09-11)


   まずはソニーのウェブ・サイトより:
   記事のタイトルは "Sony expands range of compact full-frame mirrorless cameras with the launch of the ultra-sensitive α7S II"、キャッチフレーズは"Out of darkness cometh light" 〜 暗闇の中から光を見出す、あたりの意味だろうか。
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   以下にスペック:
・Ultra-high sensitivity up to 409600i with low noise across the whole range
・Wide dynamic range across entire ISO range delivering smooth tonal gradation from dark to bright conditions
・In-camera 5-axis optical image stabilisation for expanded shooting possibilities
・Internal 4K movie recording featuring full pixel readout without pixel binning in full-frame format
・Wide range of professional movie functionality including S-Gamut3.Cine/S-Log3, new Gamma Assist Display, enhanced Zebra Function, Full HD 120fps recording and 4x/5x slow motion recording and full pixel readout without pixel binning in full-frame format
・High-speed AF with enhanced accuracy in wide ranging scenes and advanced shooting functions
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   そしてImpress デジカメWatchのウェブ・サイトより(抜粋):
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   ソニーは9月11日、ミラーレスカメラ「α7S II」を欧州で発表した。11月に3,400ユーロで発売する。国内での発売は未定。
   2014年6月に発売した「α7S」の後継とみられるモデル。α7Sは、α7シリーズのうち画素数を抑えてダイナミックレンジや高感度画質を高めたモデルで、α7S IIは35mmフルサイズの1,220万画素センサーや最高ISO409600の高感度撮影機能などを継承している。 その上で、α7 IIやα7R IIと同じ5軸手ブレ補正機構を新搭載した。
   AFはファストインテリジェントAFで、AFポイントは従来の25点から169点に増えた。動体に対するAF速度は従来比2倍になったという。
   EVFは約0.71倍から約0.78倍のOLED(有機EL)になった。
   従来は外部レコーダーが必要だった4K動画を本体のみで撮影可能になった。動画は全画素読み出しとしている。120fpsの高速度撮影にも対応した。
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   強化・追加されたのは: 手ブレ補正、AF速度、4K動画記録、EVFなど、一方で1,200万という画素数はそのまま。
   多くの人が期待していたのが画素数のUPだとして、その点では「α7S (Mk I)で十分かな」と感じてしまうのはごく自然な流れ。 もしα7Sとの比較でα7SIIに価値を見出せと言われれば、ペンタプリズム部の形状と質感、より光学ファインダーっぽい視界が期待できそう、且つ目の疲れ具合の緩さも期待出来そうなEVF、新開発に見えるシャッター・ユニット(α7Sの写真機的な音も捨てがたいが、「高耐久性」と「高精度な作り込み」を思わせるα7RIIのシャッター音はすこぶる気に入った - おそらくA7SIIも同様の造り)といったあたり。
   手振れ補正の搭載については、まんま「手ぶれ補正」であるほか、これまで「撮影感度をとにかく上げてシャッター速度をかせぐ」撮り方から、「より低感度で撮影し、低ノイズでダイナミックレンジをかせぐ」へのシフトと捉えると、撮影に向ける心持ちが「じっくり」になるという印象。 それは被写体への気持ちの移入 - 例えば "Stop, Look and Listen. ..Spend time looking at things and admiring them. Do not rush. Take your time and stop look and listen..." といった風で、正当進化と受け止めた。 もちろん暗所での撮影チャンス、表現チャンスが広がるのだから、それだけでも「α7S」の正当進化であるのは間違いない。

   そして €3,400という価格は、今時点のレート換算で¥464,674となり、はじめの印象は「この値段だと他にも選択肢はありそうだなぁ」と。 動画に強い「α7M」とかを別に作ったほうが良かったような...。 そもそも動画撮るなら、やや高価にはなるがFS5やFS7で良いような...。 本来は要らぬ悩みが頭をかすめ飛ぶ。
   米B&H Photoでの価格表示は$2,999で、$1=¥125で換算すると¥374,875。 α7Sが$2,498なので¥312,250。 その差¥62,625となり、これはこれで「なるほど」。 ちなみにα7RIIの発表はボディ価格$3,200で当初の実売は¥426,800前後。
   さて一方、東京・中野のフジヤカメラでは、α7Sの、Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS [SEL2470Z]とのセット販売で¥274,800。 これに先ほどの差額をざっくり¥62,625足すと¥337,425。 レンズは約¥110,000。 と考えると、その対比がそのまま成り立つわけではないと思いつつ、それほどベラボーな価格にはならなそうな気配も。
   とりあえず国内発表と店頭価格を待ってみてからアレコレ考えることにして。 とりあえずどこかで実機を体感してみたい。

   ○2015.09-17追記 ---
   ブログ「デジカメInfo」にて、α7SII・α7RII向けの14bit RAWと、Loxia 21mmと思われる新レンズの噂が掲載された。 Bit数の増加は表現出来る色の数に直結する。 Loxiaは21mmとの事だが、撮影画像の周辺光量落ちや偏色・滲みをどうZEISSが作り込んだのかに興味津々。 ということで以下に転載。

   参照元: http://www.dpreview.com/articles/7665355870/sony-brings-uncompressed-raw-to-a7s-ii-and-a7r-ii

   参照元: http://www.sonyalpharumors.com/sr5-new-sony-fe-and-zeiss-fe-lenses-coming-in-1-month-exactly-one-is-the-21mm-loxia/

   ○2015.09-18追記 ---
   フジヤカメラのウェブ・サイトに価格デマシタ --- ¥407,160。 Oh Myyy...。 10月16日発売予定とのこと。

    *ZEISS MilvusとSony A7SIIの話題を、両者同日の発表事項だった事もあり本Blogで同日枠で掲載させて頂いておりましたが、性質が大きく異るため別項とさせて頂きました。(2015年10月17日)

2015-08-12

Voigtländer Super Wide Heliar 15mm F4.5 Aspherical III


   「もう60年くらい経ってるのよ。 もう直し直し使ってるけどねー。 そこの天ぷら屋さんもやめちゃったし。 古いばっかりでねー。」と、「闊達」・「女将さん」といった言葉の似合う、ここに住まわれているのだろう方のことば。 長い年月を経た「愛着」が柔かくその場をくるむように感ぜられたひとときだった。

   はじめてここを訪れたのは2002年頃だっただろうか。 体調を崩し、なんとか長時間の外出ができるようになってリハビリのつもりで、以前から気になっていた東京モノレールの天王洲アイルという駅を目指した日のこと。
   夏の暑い日で、川辺でお昼を食べて歩き出した。 街でもあれば写真を撮ってみようと、海側ではなくとりあえず内陸をめざした。 これと言った目的のない外出ではあったが、歩くうち遠く目線をやっても特に目標物はなく、手元には地図もなく、体力も心許なく、さてこの先どうしたもンかと少々不安になってきた。
   そこに向こうからやってきたのがイギリス人風の、黒っぽい服装で短かめのブロンド・青目でやや小柄な白人男性。 訊いてみた。

   「すみません、ここからいちばん近い駅はどこですか?」
   「あー、たちあいがワでしョぅ?」- と、アメリア英語訛りっぽい日本語で返ってきた。
   「わたしはこの場所は初めてなのでわからないんです」
   「あぁ。そーしたらぁ、ケーキューの立会川ね。 この道をマっすぐ行って、信号がぁ... 4、5つ目の信号を右に曲ガって、100mくらい先を左に行くとスぐに駅デすよ」
   「はい。わかりました。 行ってみます。 ありがとうございます」
   「いえいえ、どぉいたしましテ」

   と、お互い軽く会釈をして別れ、駅を目指したのだった。
   まるで中学校の英語の教科書を和訳したような会話が面白く、その後しばらくニヤニヤが止まらずに歩いた。
   そして「右に」折れる手前にあったのがこの建物。 まだ天ぷら屋さんもやっていたし、女将さんのお店は寿司屋だったのではないだろうか。 今は全てのお店は閉まってしまい想像でしかないものの、最初に訪れて以来、競馬場への通り道にあるこの一角の食堂・料理屋・一杯呑み屋と、長い月日に交わされたであろう立寄り客とお店の人との笑い混じりの会話や賑わう様子を時々思い浮かべてはホッとすような、そうした場所になっている。

2015-08-10

Voigtländer Super Wide Heliar 15mm F4.5 Aspherical III


   「不思議な性格のレンズだなぁ」というのが今のところの印象。
   Ultron 21mmのようにコントラストで描き分ける画というよりは、光と影で描き分ける画という印象がある。 え? それって両方とも「コントラスト」では? という話になりそうなのだけど...、Ultron 21mmは、ハイキーに振れば素直にハイキーに、ローキーに振るとグッと明暗差が際立って黒く締まったシャドーには実には豊かな階調もあり、影で光を描いてゆくような面白さがある。 3号くらいのバライタ紙で焼いているのに近い感触を思う。 Super Wide Heliar 15mm F4.5 Asphelical VM IIIは、中間調に豊かに階調が乗り、光を捉えてゆくことで緩やかに暗部へ向いつつ影をうまく引き立てる面白さを思う。 デジタル・カメラでの使用を意識したとのことで後玉からセンサー面への光の入射角が考慮されたと言われる。 まさにデジタル・カメラの受像センサーに、画面全域で均一に階調豊富な光が降り注いでいる様子が思い浮かぶ。

   このSuper Wide Heliar 15mm F4.5 Asphelical VM IIIは、Ver. IIから構成するレンズ数も多くなり筐体も大きくなり価格も上昇した。 発表されてから、これらがどのような変化に結びつくのかが非常に気になっていたのだが、「新たな設計の甲斐あって」と諸々に納得。

   かつてのジャジャ馬感、Ultra Wide Heliar 12mmでは周辺の色被りは全く気にならないとの声を聞く一方で、S.W.H. 15mm Ver. IIは画像周辺の色被りの話を随分聞いた。 結論としては - Ver. IIIもシアン被りは出る。 しかし、Leica M8の話だが6 bit codeを認識させれば、殆どの条件下で全く気にならないレベルまで色被りは無くなる。
   M8は、6 bit codeによってTri-Elmarとしてこのレンズを認識し、「16mmか、18mmか、21mmか?」 とのダイアログが電源ONで現れる。 16mmを選択しても、18mmを選択しても、両者の補正の差異は大差ない。 Ver. IIでは18mmをうっかり選んでしまうと補正が強すぎ、シアン被りはギットリ気味の赤-マゼンダに変わってしまったが、そうした極端に感じられる場面に遭遇することがなくなり、思う性質は「極めて素直」。

   M8での設定は、レンズ検出: ON、UV/IRフィルター: ONにしている。

   道端で目にした草の葉は、わりとまんま表現されたと思う。 シャープネスも心地よく、色味も中庸、葉と夕陽の関係はよく馴染んで見える。

2015-08-06

Voigtländer Ultron 21mm F1.8


    メモ: UV/IR Cutフィルタ使用、6bit codeあり。レンズ検出:ON、UV/IRフィルタ:OFF。

2015-08-05

Voigtländer Super Wide Heliar 15mm F4.5 Aspherical III


    メモ: UV/IR Cutフィルタ使用、6bit codeナシ。レンズ検出:ON、UV/IRフィルタ:ON。

2015-08-04

Voigtländer Super Wide Heliar 15mm F4.5 Aspherical III


    メモ: UV/IR Cutフィルタ使用、6bit codeナシ。レンズ検出:ON、UV/IRフィルタ:ON。

2015-08-03

Voigtländer Super Wide Heliar 15mm F4.5 Aspherical III


    久しぶりに銀座の路地に入り込むと、いくつか建物が取り壊されていた。
    ビルが立ち並ぶ今に古い路地をたくさん有し、時に雑多なこれら路地裏の風景はこの街の原風景でもある。 そうした風景ならではの人なつこさは、老朽化で役割を終えて行くビルと共に街から消えてゆく。 ピカピカの小径に作り替えられるのも悪くないのだが、少しであっても面影が残っていると嬉しいかも。

    メモ: UV/IR Cutフィルタ使用、6bit codeナシ。レンズ検出:ON、UV/IRフィルタ:ON。