5ヶ月も経って急に気になった理由もわからないが、思えばPRESTOは初めて現像した白黒フィルムだ。
確か1987年の6月頃、在籍していた高校の文化祭に出展するため、現像道具と薬品を買い込み、ぶっつけ本番でフィルム現像を行った。
富士フィルムからは「スーパー・プロドール (SPD)」という「万能現像剤」が発売されて間もない頃で、増感特性に優れると言われる標準感度でISO400のPRESTOとSPDで、ISO1,600への増感現像を行ったのが1本目と記憶している。
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135サイズ「ネオパン400 PRESTO」および
120サイズ「フジカラーPRO400」販売終了のご案内
2014年2月28日
富士フイルムイメージングシステムズ株式会社
富士フイルムイメージングシステムズ株式会社
富士フイルムイメージングシステムズ株式会社(社長:小島 正彦)は、写真フィルムの一部製品につきまして、需要の減少によりご提供の継続が困難となりましたため、下記の通り、販売を終了させていただきます。
誠に勝手ではございますが、何とぞ事情をご賢察の上ご容赦賜りますようお願い申し上げます。
今後とも富士フイルム製品に変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
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結局このフィルムはあまりしっくり来ず、フジの白黒フィルムは、ISO100の「NEOPAN SS」やISO50の「NEOPAN F」と使ってみたがやはりピンと来ず、最も多用したのはKodakの「Tri-X」と「Plus-X」で、現像液は「Microdol-X」と「D-76」を使う事が多かった。 それらは超微粒子に処理しても、粒子を荒らしてみても、なかなか幅広くトーンを作ってくれた。
過去形なのは、近年ほとんどフィルム撮影をしなくなってしまったため。
やや話は変わり --- つい先日、ずいぶん前に撮影した写真を眺めて妙な気分になった。 使い捨てカメラ風な仕様のプラスチックのカメラに一般的なカラー・ネガ・フィルムを詰めて撮ったものだ。
周辺光量が、シャープさが、ハイライトが、と言ったらキリが無いくらい色々と目につきだすが、写真としては「心象」をよく映して見える。
1コ 3千円ほどのカメラでパチッと撮った画を妙に気に入ってみたりするが、一方、カメラ本体の性能がどうの作りがどうの、レンズの描写がどうのという世界で創り出す画もまた愛着がある。 時に、どちらも撮った画への思い入れは差異なく強いことがある。 ヘタをすると前者のほうが、まんまイメージ通りだったりもする。 ふと我に返り、大枚はたいて「いいカメラ」を手にする意味って何だ!? という妙な心持ちになる。
フィルムで写真を撮る時は、フィルム選びが実に面白い。 異なるフィルムそれぞれの描写力が画作りに直結するからだ。 カメラ・ボディーも操作感や重量といった要素が大事だが、基本的には光を調整してフィルムに届かせる箱である。 レンズはどうだろう? これはメーカーや銘柄や時代という個性が出るのでこれもまた楽しい選択である。
デジタルでは、今度はカメラ・ボディーに光を受ける仕組みがあるので、ボディーがフィルムの役割を担うことになる。 レンズ選びの楽しみはフィルムの時と同じくである。 となると、どれだけ幅広い映像表現を得られるかという意味でのボディー選びが、フィルム選びと同じく重要になってくる。
そう考えると、「やはり良い機材で撮影に臨みたい」という気合いの入る話になるのだが、やっぱり、手軽な機材で「あっ!」「ぱチッ」と撮る写真という感触は捨てがたい。
もっとも、「カメラ」を使いこなせていれば、どんな撮影道具であっても「あっ!」の瞬間に「ぱチッ」なのかもしれない。
いろんなところがもどかしい。