Kodak Technical Pan (TP2415)
シカゴ・ダーメン駅にて。ワシントン D.C.のカーペット敷の地下鉄車内や、きれいに作り込まれた駅舎とは対照的に見えてしまう、ややシカゴの郊外の駅。
1990年の夏、始めてここに降り立った時は、改札とホームを結ぶ階段の両脇には鉄条網が巻かれ、ホームから見下ろす街は、暑さのせいもあったろうが殺伐として暴力的な光景だった。
それからどのような変化が起きているだろうか。 1990年当時、アメリカの多くの風景について「100年後に来てもおんなじ風景なんだろうな」と友人と話したのを覚えている。
それが1998年頃からアメリカの各所で大きく街並は変わり始め、チャコール・グレーの似合う街だったニューヨークですら色彩豊かに安全な場所へと変化を遂げた。 その時代その時代で、個々の主観的に「懐かしい風景」は遷り変わるものだとは思う。 自分にとっての「古き良きアメリカ」はこの1990年で、とりわけ人なつこく、旧きも新しきも馴染みよさそうだと印象を持った街、シカゴ --- そうした心象に見る温かさと、ホームにぽつんと取り付けられた裸電球が「はっ」と結びついた。