2012-12-02

Leica Elmarit-M 28mm F2.8 Aspherical


   東京は多摩地区のとある街。 はじめてこの地を訪れたのは、もう20年ほど前のこと。
   当時の駅前のバス・ロータリーや、ひと時代前のデザインといったデパートの建物は、随分と姿を消していた。 前に撮った写真を見ると、行き交う人々の表情には「土地の色」が色濃く見て取れるのだが、最近はそれがだいぶ薄れて見える。
   さてこの街、新しくなろうとしているのだろうが、"地"の彩りを希薄にしてどのような方向を見いだすだろうか。


   たしかどこかに、この酒屋さんが営業していた頃の写真があるはずだ。 この中華料理屋さんもずっと変わらぬ佇まい。
   青梅線の延びる地域は、いま急速に変化を試みている。 街の使い勝手はよくなり、建物は似たような建材をまとってピカピカ。 これも"今"の街の風景だ、だからこれはこれで写真に収めようと思う。 ただ少し、ひとりごとのように「多摩遺産」と呼んでいる風景たちが消えてゆくのは、何とも名残惜しい。