2016-02-29

雑感 ~ フジ FP-100C

   FP-100 - カラー、白黒、カラーの4x5サイズとがあり、その昔、営業写真館にいた頃はこれで証明写真を撮ったり記念写真の露出の確認をした。 フジのインスタント・フィルムの総称は多分「フォトラマ」。 大体はMamiya RZに「ポラ・バック」を付けて使った。 「バック」は多分カメラのフィルム面、つまり背面に取り付けるから「バック」なのだろうと勝手に思っていて、「ポラ」は「ポラロイド」から来ているのだろう。 富士フィルム製なので名称に「ポラ」は無いだろうが商品名は失念。 フィルムもフジ製なのに、みんな「ポラ引いとこうか」と言っていたような...。 インスタント・フィルムのパイオニアであるポラロイド、この浸透具合はさすが。
   「バック」にフィルムを装填し、ブローニーやシノゴのカメラに取り付け撮影。 カートリッジからピラっと出ている紙片を真横に引っ張り「フィルム」を取り出す。 その過程で「バック」内にある2つの金属ローラーでフィルムに仕込まれた薬品が押し出されて均一に印画面に広がる。 あとは約1分で現像が完了し、遮光紙を剥がせば印画面の画が出てくる。
   一見単純なものなのだが、以前見学した富士フィルム・足柄サイトにあるインスタント・フィルム「チェキ」の製造工場では、なんと10数層の薬剤を一度に樹脂のベースに塗布していた。 一層ずつ塗るのではない。 「チェキ」と「FP-100」が同様の工程なのかはわからないが、そこでは、例えば13層なら13コのノズルから同時に出てくる全ての薬液が粘度調整され、お互いが混じる事なく層を成したまま最終的にはミクロン単位の薄さに伸びながら、流れるように「ベース・フィルム」上に一体化して行くラインが稼働していた。
   この製造技、製品の撮影感度の安定、色再現性、耐光性と、今でもそれらは驚きの領域であり、その技術が幕を降ろしてしまうのは何とも残念。 時折、Mamiya RZやFUJIFILM GX680などでこれを使う手の感触を思い出す。

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インスタントカラーフィルム「FP-100C」販売終了のお知らせ
2016年2月29日
富士フイルム株式会社

     富士フイルム株式会社(社長: 中嶋 成博)は、インスタントカラーフィルム「FP-100C」を、当社の在庫がなくなり次第販売終了いたします。

     富士フイルムは、インスタントカラーフィルム「FP-100C」の提供を継続するため、これまで企業努力を続けてまいりましたが、販売数量が年々大幅に減少しており、これ以上の生産ができない状況です。このため、やむを得ず下記のとおり販売終了させていただきます。

     今回インスタントカラーフィルム「FP-100C」の販売は終了いたしますが、富士フイルムは今後も製品ラインアップの見直しや生産効率化を行いながら継続して写真フィルムをご利用いただける体制づくりを進めてまいります。

     今後とも富士フイルム製品に変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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   このフィルム、色再現性が高いながら独特の発色をする。 並んでゆく試し撮りに、「いいね、これ!」となる場面も時々あるくらい。
   ここ数年は多くのフィルムが市場から姿を消してしまい、KodakのKodachrome、Ektachrome、Technical Pan、Recording Film、Ektar 125など、つい懐古的な心持ちを思い起こす銘柄も多々。
   FP-100はと言えば、何度も試し撮りができるデジタル時代の今では有用性は薄れ、さすがに普通のフィルムほどの保存性はないだろう「いつか消えてしまいそうな画」には永年性を期待するでもない。 需要からすれば、もうとっくに製造が終わっていても不思議ではないと思える。 それが映画フィルムよりも、幾つかのプロ用写真フィルムよりも長く作られていたのはちょっとした驚きでもあった。
   「露出や構図のアタリを見たい」ためなら、デジタル撮影に見る「NGコマは消してしまえばいい」という手軽さに類する性質はあるが、「インスタント・フィルム」というのはまた特異な存在で、実はその1枚1枚には、例えばフィルム撮影に入る直前の、その緊張感を写しとめる特別な時間の流れがある。 こうした「時間の流れ」・「期待と緊張」・「即結果」・「特異な色調」から来る写真観は、今あらためて唯一無二の面白さではないかと感じる。


Polaroid 195 & Fuji FP100C by Adam Laws on Steve Huff Photo (Mar. 18, 2016)

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       http://www.adamlaws.com/