2015-04-14

雑感 〜 とあるウェブサイトのソニーZEISS評

   ウェブサイト「デジカメinfo」を観ていて気になった記事があったのでメモ的に「雑感」。
   Photozoneというウェブサイトで、ソニーZEISS Vario-Tessar T* 16-70mm F4 ZA OSS "SEL1670Z"の評価が芳しくないという。


   言われてみればこのレンズ、ズーミングしたときの画面の歪み方が気になり、展示会(2014年2月)のソニー・ブースへ再確認に行ったことがある。 それは単純にタル型・糸巻型という歪みではなく、ズーミングするに従い、波紋が広がるように画の面が凹凸に波打つように歪んで見えたというもの。 後日の再確認では歪みは確認出来なかった現象だが、なんとなく引っかかっている。
   さてその「Photozone」での評価記事では --- 「レンズの造作は精巧で堂々としたもの」、「シャープネスは画面中央では良好だが、周辺ではお粗末(流れが生じる)」、「16mm側でタル型収差が出るがこのクラスでは標準的」、「色収差(または"像ズレ": エッジに青やマゼンダ色の滲みが出るなどの現象)は悪くない」など。 そして"this Zeiss lens is both heavily overpriced and below average by today's standards. As such we can only conclude ... not recommended."と。「今日の標準的な数値を下回り、そうした割に高価であり、結論としては... おススメできないとしか言えない」- なのだそうだ。
   ソニーZEISSは、レンズとしては総じてオール・ラウンドな造りで比較的安心して使えるという印象があるので、評価にはちょっと意外な手厳しさを思った。

   この「Photozone」の記事にある撮影サンプルを見ているうちに、思い出した事があった。 CONTAX時代のCarl Zeissレンズの話になるが、1本だけOEM供給されていたズーム・レンズがあったと記憶している。 撮影していて、シャドウの黒が締まりきらず滲んで見える感じ、シャープに見えながらもエッジに丸みを感じる、中間〜ハイ・ライトの階調の少ない感じ、Photoshop上でデータがあまり粘らないなどが段々に気になり出した。 それが某社からのOEMと知ったのは、このレンズを手放してから随分と後だったが、このOEM元のレンズにありがちな像の滲みも見られず、更にはT*コーティングの底力なのだろう、シャドウでの階調や逆光への耐性、色の濃さにCarl Zeissらしい特徴があったため、ずっと京セラ-CONTAX製だと思っていた。
   そのOEM提供元が自前ブランドで販売するレンズも幾つか使ってきたが、1990年頃を最後に以降は使っていない。

   レンズ選びは面白いもので、購入には、昔ならカタログを隅々まで、今ならインターネットで作例を見て当たりをつけて「これ」という1本に辿り着く。 時に展示会やメーカーのショールームで感触を試す。 でも、そこにたっぷり時間をかけ、懐具合も追いついてようやく手にしたとしても、意外に自分と反りが合わなかったりもする。
   撮りたい風景には「!」と共感する一瞬があるように、気の合いそうなレンズには、ファインダー越しに覗いたときに「はっ」と息をのむような瞬間がある。 この手応えがあってホントは初めて画応え(エゴタエ)をあれこれ想像出来るのかもしれない。
   ちなみに同じソニーのZEISS銘ズーム・レンズ Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSMは、ファインダー越しに覗いた瞬間に息をのんだ。 同社のT* Planar F1.4/50mmしかり、たっぷりと気合いが注がれた製品なのではないだろうか。


   ソニーの"FE"シリーズはロードマップ上の役者がほぼ揃い、ZEISSは今年中にLOXIAの広角レンズが登場しそうとの噂もあり、様々楽しませてもらえそう。
   レンズ選び、数値云々や評判も大事だが、レンズ越しに、作り手の「気合」と「物語」と「哲学」を感じ取るのも大事かな、と、あらためて思った次第。

   2015.04.24追記:
   何だこれ!? 4月23日付のDPReviewの記事にSony ZEISS T* Vario-Sonnar 2.8/24-70mm ZA SSM IIが載っていた。 Aマウントのレンズとのこと。


   何に驚いたかって、Carl Zeissのレンズが「バージョン・アップ」しちゃうところ。 Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM IIも発表されたようで、記事には「画質とAFの向上」とある。
   ライカのレンズにしても同名レンズが世代を重ねる事はあるし、普通に考えたら約7年半でのモデル・チェンジはあり得る話なのだが、今件から受ける印象にはどこか違和感が... .. Ver.Iの光学系は完成品ではなかっ...? いやいや単にAF機構との関係で再設っ.け..。 長いことそのままに性能を発揮し続けるCONTAX時代のVario-Sonnar 28-85mmのイメージがあるためだろうケド んー、...なんかどこかが不思議。 ただ - AF速度約4倍、防塵防滴化はなかなか魅力的な進化。