何気なくネット検索をして出て来たスバル「エル・テン」の画像。 下の写真は1997年のモーター・ショーに出展されたものとの事。
初めて「スバル360の復刻版を作るんだ」という話を聞いたのは1987年頃のことだったと思う。 そのずいぶん後にコンセプト・カーとして発表されたのがこの「エル・テン」。 最終的には「エル・テン」に似た顔つきの、「Nicot(ニコット)」という軽自動車プレオの派生車種が世に送り出された。
モーリス/オースティン/ローバー等の「mini」はBMWによって現代風に復刻され、フィアット500も復刻され人気を博している。 進歩した現代のクルマ作りに乗っかった古いデザインの継承は面白い。
スバル360の正当進化はおそらく「R1」だろう。 スバル360の愛称である「てんとう虫」っぽく、テレビCFでもR1がスバル360を「先輩」と呼んでいたが、デザインにはまるで「スバル360」っぽさは無い。 その意味では目立たないながら、隙のない設計に頼もしさを見るクルマだ。 そして新旧の「R2」もまたリバイバルではなく全く別物の新設計で、その姿には元来の設計思想と最新技術とを突き詰めた結論という気持ちよさを思う。
この、原点と言っても過言ではない軽自動車だが、経営の都合から資本が移り、2012年2月29日を以って撤退となった。
スバル360、R2の後には、スバルff、1000、1300、レオーネと普通乗用車が生産され、これらは前輪駆動、普通乗用の四輪駆動、ツーリング・ワゴンの、国内での先駆け的な存在となった。 欧州でも、雪道の走破性が重宝だという話や、ベルリン交響楽団の指揮者であるヘルベルト・フォン・カラヤン氏が乗っていたという噂もある。 北米ではGSR、GL、Loyaleと呼ばれ、寒冷な北西部で需要が高かったようだ。
技術屋集団は、時に「個性」が突出する。 「アルシオーネ」(1.8L「XT」、2.7L「XT6」)や「アルシオーネ SVX」は、主に北米向けにデザインされたと言うが、日本ではなかなか異色な存在だった。 XTはラリーにも出、XTもSVXも「500マイルを駆け抜けるために」が開発の合い言葉。 これが三者三様に「グラン・ツーリスモ」を追求した結果なのだろう。
B11s、B9はコンセプト止まりであったが、発表された2003年頃ではなく、2010年頃にこれが世に出ていたら市場動向は面白かったのではないかと思う。
北米と言えば「BRAT」や「BAJA」(バハ)。 ふた昔ほど前の1999年、アメリカ西海岸北部の町を2時間も走ると100台以上のレオーネ・ワゴンに遭遇した。 寒冷地で四輪駆動が実用的なのは頷けるし、農業が元気で、自然を楽しむ遊びが好まれるアメリカで、BRATのような「ピックアップ・トラック」が買われるのもよくわかるが、1990年、初めてBRATを見たのはニューヨークの市街地だった。
北米で需要が高いのがミニバン。 それを享けてスバルが日本で販売したのが、ドイツ・オペルのザフィーラをベースにしたトラヴィック。 スバルだがAWD車がない。 だがギアやシートの設定が日本向けに改変されデザインもシンプルで、「よく見るとスバルっぽい」不思議なクルマだった。
スバル製のミニバン - B9トライベッカ。 北米向けの車種で、日本で走っていたのは三鷹工場で社販された10数台と言われる。
とりとめのない、雑感未満の雑感。