2015-02-28
Leica Elmarit-M 28mm F2.8 Aspherical
この一角ももうすぐ姿を消しそうだ。 このうちの1つの建物は、駐留していた米兵相手にも定食などを出していた老舗レストランだったが、先日足を運ぶとメニュー看板が外され、開店時間となってもシャッターが開くことはなかった。
この店内を撮らせてもらうのを想像しながら購入したのが、Voigtlander Super Wide Heliar 15mm F4.5 VM IIだった。 そのレンズも昨年末に、何となく、と言った風に手放してしまった。 その時期と、このレストランが閉店したと思われる時期が、実はほぼ同じだったと知ったのは工事の告知掲示板によって。
偶然と言えば偶然だが、振り返ると、もうお店が無くなってしまうことを、レンズは知っていたのではないかという気がする。
ラベル:
elmarit28F2.8,
Leica,
M8,
Photography
2015-02-21
雑感 〜 Kodak 映画フィルム供給
映画スタジオ6社に映画フィルムを供給するという話だが、そう舵を切った理由のひとつが - 「製作者はストーリーを自分たちが思い描く通りに伝えるためにフィルムを必要としている」だそうだ。 フィルムを必要としているのは「保存」分野が最たるところと思っていたが、「製作者が必要としている」とは意外な理由であり、それなら商業的にも成り立つ可能性「大」なのだろう。
以下はKodak社のプレス・リリースより。
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2015年02月16日
コダック合同会社
[リリースNo.15-03EI]
コダック、ハリウッドの大手スタジオと映画用フィルム供給について最終合意
2015年2月4日、米国ニューヨーク州ロチェスター発
イーストマン・コダック社(以下、コダック)は、ハリウッドの主要映画スタジオ6社と映画用フィルムの供給について最終合意したことを発表しました。この合意によりコダックは、20世紀フォックス、ウォルト・ディズニー、ワーナー・ブラザース・エンターテイメント、NBCユニバーサル、パラマウント ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズ各社への映画・テレビ番組製作用フィルムの供給を継続します。
コダックCEOのジェフ クラークは次のように述べています。
「フィルムは、これまで長きにわたって培ってきた、そしてこれからも引き続き大切にしていくコダックの文化です。映画製作スタジオの支持を得て、コダックはその比類なき豊かな映像と独自のテクスチャー(質感)を誇る映画用フィルムの供給を続け、映像制作者がその芸術性とストーリーを伝えていくお手伝いをしてまいります」
フィルムを基本的な撮影メディアとして存続させることについて、コダックは、有力な映像クリエイター、スタジオ、独立系アーティスト、製作会社や現像所と幅広い議論を展開してきました。そして、昨年7月、大手スタジオがフィルムの存続について映画界で主導的な役割を果たすという意思を表明する運びとなりました。
最終合意に先立ち、オスカー候補作品、『6才のボクが、大人になるまで。』、『グランド・ブダペスト・ホテル』、『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』、『インターステラー』、『フォックスキャッチャー』、『イントゥ・ザ・ウッズ』、『リヴァイアサン』、『インヒアレント・ヴァイス』、『ジャッジ 裁かれる判事』など、高い評価を受けた映画がフィルムによって撮影されました。これに加え、2015年の公開が控えている大作、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』、『ミッション:インポッシブル5(原題)』、『バットマン v スーパーマン ドーン・オブ・ジャスティス(原題)』、『ジュラシック・ワールド』、『アントマン(原題)』、『シンデレラ』、『アントラージュ(原題)』、『トレインレック(原題)』などが、コダックフィルムで撮影されています。
コダックは本日発表の合意を受け、スマートフォンやタブレットコンピュータ用タッチスクリーン等の成長分野でフィルム生産技術を活かすなど、新しいビジネスチャンスを追求する一方で映画用フィルムの生産を継続していきます。これによりコダックは、撮影用ネガフィルム、ポストプロダクション用の中間フィルム、アーカイブフィルムおよびプリント用フィルムのトップサプライヤーとしての地位を維持することができます。
コダックのエンタテインメント&コマーシャルフィルムズのプレジデント、アンドリュー エバンスキーは、次のように述べています。
「大手スタジオの支持を得たことで、クリエイティブ業界は引き続き自信を持ってフィルムによる映画製作を継続していくことができます。私たちは映画製作サイドに、『作品をフィルムで撮影しようと思わせた決め手は何か』という問いをずっと投げかけてきました。その答えは、たぐいまれな深みから独特の粒子構造まで様々ですが、最も多い答えは“ストーリー”でした。製作者はストーリーを自分たちが思い描く通りに伝えるためにフィルムを必要としており、フィルムがストーリーの映像化に重要な役割を担い続けることを強く願っているのです。アーティストはフィルムを使うことによって映画史に残るシーンを創り出すことができます。本日発表した合意は、フィルムの力と、それを支持するアーティストのクリエイティブな考え方をはっきりと示しています」
*本ニュースリリースに掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*本プレスリリースは米国イーストマン・コダック社より2月4日付けで配信された英文のプレスリリースの日本語訳です。
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2015-02-17
雑感 〜 ソニー α7II、α7s
ソニー α7、初めてこのカメラの形を目にした感想は、「ありえないなぁ」だったが、その後に見る雑誌の記事やインターネット上に見るレビューも評判が良く、中でもライカと比較される記述には興味を引かれた。 そのα7シリーズも「α7II」と次の世代が現れたが、A7r、A7sもそれに続くのだろうか。
そうした中間的な時期、インターネット上で気になったSteve Huff氏によるα7II絡みの記事を幾つか抜粋。
上の写真はSteve Huff Photoよりα7IIによるサンプル。 α7IIは、α7と同じC-MOSセンサーが採用されているとの事だが、ユーザー設定に応じてカメラが出力するJPEGでの画質は、特にシャープネスと色味の深さが向上しているとのこと。 実際に触ってみて、背面液晶画面に表示される画像を見ての話だが、確かにα7IIは、他のα7に比べてシャープでスッキリした画に見えた。
So my enthusiasm went sky-high after taking the A7II out of the package and putting it in my hand. My A7s can not be replaced by the A7II as the II can not do low light like the A7s but it will be the PERFECT companion to the A7s (which will be moved to low light status) as the A7II now has stellar color and IQ.
趣味でカメラを使う機会は、自分で思う以上に「晴れた日の日中」が多いのではないかと思う。 だが並外れた高感度のα7sの登場は、これまでは「暗いから」と諦めていた景色をも切り取る期待を誘う。 そして手ぶれ補正を搭載して暗所に強いα7IIの登場があり、市場はちょっとだけざわめいた。
ソニー・ビルのスタッフ曰く「α7IIとα7sを比較したいという方が多いですね」と。 たしかに、特に高感度には造られていない画像センサーに高度な手ぶれ補正の組み合わせと、カメラ本体に手ぶれ補正はないが高感度なセンサーとで、同程度に光の条件の悪いシーンを撮り比べれば、前者の方が高精細なのではないかなどの憶測がもくもく湧いて来る。
Steve Huff氏の見解は -「α7IIでの高感度撮影には少し神経を使う。 α7sではISO102,000でも印刷に耐えうる画質を得られるが、α7IIではISO12,800、時に25,600が上限」と。 氏にとっては、実質的な高感度狙いよりも実際の高感度の方が使い勝手も面白さも勝っているようだ。
かつてKodachrome 64で長時間露光をした時の事を思い出す。 「相反則不軌」という言葉も近年は聞かなくなったが、ISO64ではどんなに頑張っても多くの光は集められなかった。 単純にラチチュードの話に結びつくわけではないが、聞いた話では、α7sは日中の撮影でも今まで出し得なかったシャドーの階調を写し留められるという。 例えばH.D.R.(ハイ・ダイナミック・レンジ)という手法の1つでは、露出の異なる写真を組み合わせるなどしてハイライトとシャドー部を得るのだが、そうした、より「ヒトの目」に近い光の情報量を1枚の画像データに写し込める可能性があるならばと、α7sの存在感の大きさを思う。
ちなみにSteve Huff氏は、「α7IIの比較はα7sとではなく、α7(Mk I)とされるのが順当ではないか」とα7IIの立ち位置を評している。
Back in the day I had a ikon D2hs that was 4 MP and I printed 20X30’s from that camera all the time (was in a print frenzy at the time to prove that yes, a good 4MP cam print large) so the Sony A7s will never leave me wanting for Megapixels unless I am looking for that 100% screen viewing WOW moment, which you will not get with the A7s as you will with an A7r. I also really love the little Nikon V1 which is 10 MP. Never had an issue with images or the few prints I made. I think I have a 16X20 from the V1 that is gorgeous.
12 MP is a good number for me. May not be for you but for me, I really do not need more than 12 and the A7s is what has showed me this fact. I may not see every super fine detail or hair in a full size image but what I do see is good enough for 99.6% of anything I will ever shoot.
最初の項は、α7に魅せられ「ライカはもういいかな」と思ったという記事。 最終的には思い直したと言うが、実際にライカMシリーズのデジタル・カメラが写し取る画は比類ない。 なので「完全に」とは行かないまでも、α7シリーズを、その「置き替え」に適任と考えるのは分かる気がする。
そしてα7sの"12メガ・ピクセル"についての見解も - 結論は「趣味での普段使い、また仕事用としても言うほどの高画素が求められる場面は想像に難い。 個人的には16メガ・ピクセルが最もしっくり来るが、"12MP"で何の不足もない」。と。
以下は、Steve Huff氏によるα7sと広角レンズの組み合わせの話。
「ここであの新レンズの"1.4"というのが生きてくるわけだよキミぃ」と、輝く目で生き生きと「写真」を語られていた細江英公先生の表情を思い出す。 若き日の細江先生、世に出たばかりの明るいレンズを手に、「この暗い状況下でも僅かな光をも捉えることが出来る!」、「その瞬間瞬間が自分の世界観に焼き込める!」と、それは快感だったことだろう。 フィルムに収めきったあと、アタマの中では思いっきり、得意の「どじょうすくい」を踊りまくっていたに違いない。
「デジタルには陰がない。 何でもかんでも見えちゃう」とは荒木経惟氏の言葉。 そこから、α7sのダイナミック・レンジの話とはまた違う、フィルムが感光し現像液によって銀粒子が育ち、光を透過してその「影」が印画紙に描き現れる「写真」の、「心象」というダイナミック・レンジが、実は「写真」の写す「真」の部分の領域って気がしてくる。
「ゾーン・システム」と言われる、ハイライトからシャドーまでをフィルムと印画紙のラチチュードを目一杯活かして表現する手法がある。 アンセル・アダムス氏の開発した手法だが、シャッターを切る瞬間の情熱が、冷静で着実なフィルム現像・プリントの行程を経て圧倒的な「階調」という完成度をもって顕わされる「ファイン・プリント」と言われる世界。
「デジタルでそうした世界を表現する」・「デジタルならではの世界を表現する」・「いやその区別はもはや無いよ」・「デジタルとかって、最初から気にしてないかも」 - 意見は様々と思うが、これもまた「写真」の面白さなのかも。
そうした中間的な時期、インターネット上で気になったSteve Huff氏によるα7II絡みの記事を幾つか抜粋。
*My opinions are in Japanese only. Sorry!
The A7II Sharpness and Detail
While I love the Sony A7s and have used it ever since its launch, almost daily, the A7II will obviously have more detail due to the 24MP sensor (vs the 12mp sensor of the A7s). The bonus? For the most part, the A7II gives us the color, AWB and more pop of the A7s, which improved from the A7 and A7r. Below take a look at simple OOC JPEGS, yes Out of Camera JPEGs showing how sharp this camera can be without any muss of fuss of RAW processing.上の写真はSteve Huff Photoよりα7IIによるサンプル。 α7IIは、α7と同じC-MOSセンサーが採用されているとの事だが、ユーザー設定に応じてカメラが出力するJPEGでの画質は、特にシャープネスと色味の深さが向上しているとのこと。 実際に触ってみて、背面液晶画面に表示される画像を見ての話だが、確かにα7IIは、他のα7に比べてシャープでスッキリした画に見えた。
So my enthusiasm went sky-high after taking the A7II out of the package and putting it in my hand. My A7s can not be replaced by the A7II as the II can not do low light like the A7s but it will be the PERFECT companion to the A7s (which will be moved to low light status) as the A7II now has stellar color and IQ.
趣味でカメラを使う機会は、自分で思う以上に「晴れた日の日中」が多いのではないかと思う。 だが並外れた高感度のα7sの登場は、これまでは「暗いから」と諦めていた景色をも切り取る期待を誘う。 そして手ぶれ補正を搭載して暗所に強いα7IIの登場があり、市場はちょっとだけざわめいた。
ソニー・ビルのスタッフ曰く「α7IIとα7sを比較したいという方が多いですね」と。 たしかに、特に高感度には造られていない画像センサーに高度な手ぶれ補正の組み合わせと、カメラ本体に手ぶれ補正はないが高感度なセンサーとで、同程度に光の条件の悪いシーンを撮り比べれば、前者の方が高精細なのではないかなどの憶測がもくもく湧いて来る。
Steve Huff氏の見解は -「α7IIでの高感度撮影には少し神経を使う。 α7sではISO102,000でも印刷に耐えうる画質を得られるが、α7IIではISO12,800、時に25,600が上限」と。 氏にとっては、実質的な高感度狙いよりも実際の高感度の方が使い勝手も面白さも勝っているようだ。
かつてKodachrome 64で長時間露光をした時の事を思い出す。 「相反則不軌」という言葉も近年は聞かなくなったが、ISO64ではどんなに頑張っても多くの光は集められなかった。 単純にラチチュードの話に結びつくわけではないが、聞いた話では、α7sは日中の撮影でも今まで出し得なかったシャドーの階調を写し留められるという。 例えばH.D.R.(ハイ・ダイナミック・レンジ)という手法の1つでは、露出の異なる写真を組み合わせるなどしてハイライトとシャドー部を得るのだが、そうした、より「ヒトの目」に近い光の情報量を1枚の画像データに写し込める可能性があるならばと、α7sの存在感の大きさを思う。
ちなみにSteve Huff氏は、「α7IIの比較はα7sとではなく、α7(Mk I)とされるのが順当ではないか」とα7IIの立ち位置を評している。
The Sony A7s Digital Camera Review by Steve Huff (Jul 01, 2014)
I was very close to dumping my Leica M 240 for an A7 or A7r at that time but ultimately decided that would not be a good idea. But I was SO CLOSE. The AF speed and file size and loud shutter of the A7 and A7r soon made me realize even more the beauty of the Leica M system, even if the IQ of the Sony was just as good, and in many ways it was and in some ways it was even better.Only 12MP? Is that enough for larger prints?
I have been getting the megapixel question on this camera at least 5X a day. So, is 12MP enough for todays hobbyist, enthusiast or even pro? OF COURSE IT IS! Many get hung up on viewing images at 100% on screen, a way that NO ONE views your photos. We get “addicted” in a way to looking at the files at 100% and saying “WOW, look! I can see every eyelash on her face in extreme detail”! But in reality, none of that makes a good photo! All it does is make for a good WOW moment to YOU when viewing at 100% or sharing crops. In actual photography, 10MP is plenty and 12 is more than enough. My favorite sweet spot is 16MP but the Sony’s 12 MP here is a very very good 12mp.Back in the day I had a ikon D2hs that was 4 MP and I printed 20X30’s from that camera all the time (was in a print frenzy at the time to prove that yes, a good 4MP cam print large) so the Sony A7s will never leave me wanting for Megapixels unless I am looking for that 100% screen viewing WOW moment, which you will not get with the A7s as you will with an A7r. I also really love the little Nikon V1 which is 10 MP. Never had an issue with images or the few prints I made. I think I have a 16X20 from the V1 that is gorgeous.
12 MP is a good number for me. May not be for you but for me, I really do not need more than 12 and the A7s is what has showed me this fact. I may not see every super fine detail or hair in a full size image but what I do see is good enough for 99.6% of anything I will ever shoot.
最初の項は、α7に魅せられ「ライカはもういいかな」と思ったという記事。 最終的には思い直したと言うが、実際にライカMシリーズのデジタル・カメラが写し取る画は比類ない。 なので「完全に」とは行かないまでも、α7シリーズを、その「置き替え」に適任と考えるのは分かる気がする。
そしてα7sの"12メガ・ピクセル"についての見解も - 結論は「趣味での普段使い、また仕事用としても言うほどの高画素が求められる場面は想像に難い。 個人的には16メガ・ピクセルが最もしっくり来るが、"12MP"で何の不足もない」。と。
以下は、Steve Huff氏によるα7sと広角レンズの組み合わせの話。
Shooting with the Voigtlander 15 VM Leica Mount Lens
The one lens that is pretty popular due to its small size and price and total lack of wide distortion is the Voigtlander 15mm Vm Lens. It is one of my faves and I have used one since my Leica M 7 days. On the M8, M9 and previous Sony A7’s the lens was virtually unusable due to color shifts and edges but here on the A7s the color shifts are 98% gone. This means that this is the first full frame digital that this lens will work on! - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
低輝度下での撮影能力の話から思い出した、 光・陰・影の話 ---「ここであの新レンズの"1.4"というのが生きてくるわけだよキミぃ」と、輝く目で生き生きと「写真」を語られていた細江英公先生の表情を思い出す。 若き日の細江先生、世に出たばかりの明るいレンズを手に、「この暗い状況下でも僅かな光をも捉えることが出来る!」、「その瞬間瞬間が自分の世界観に焼き込める!」と、それは快感だったことだろう。 フィルムに収めきったあと、アタマの中では思いっきり、得意の「どじょうすくい」を踊りまくっていたに違いない。
「デジタルには陰がない。 何でもかんでも見えちゃう」とは荒木経惟氏の言葉。 そこから、α7sのダイナミック・レンジの話とはまた違う、フィルムが感光し現像液によって銀粒子が育ち、光を透過してその「影」が印画紙に描き現れる「写真」の、「心象」というダイナミック・レンジが、実は「写真」の写す「真」の部分の領域って気がしてくる。
「ゾーン・システム」と言われる、ハイライトからシャドーまでをフィルムと印画紙のラチチュードを目一杯活かして表現する手法がある。 アンセル・アダムス氏の開発した手法だが、シャッターを切る瞬間の情熱が、冷静で着実なフィルム現像・プリントの行程を経て圧倒的な「階調」という完成度をもって顕わされる「ファイン・プリント」と言われる世界。
「デジタルでそうした世界を表現する」・「デジタルならではの世界を表現する」・「いやその区別はもはや無いよ」・「デジタルとかって、最初から気にしてないかも」 - 意見は様々と思うが、これもまた「写真」の面白さなのかも。
ラベル:
Leica,
Photography,
Sony
2015-02-10
2015-02-04
雑感 〜 非テレセントリック
コシナ製Carl ZeissのC-Biogon T* F4.5/21mm ZMとDistagon T* F4/18mm ZMの2機種の生産終了の案内が2014年12月に発表された。
ふと連想したのは、最近よく言われる「フルサイズ・デジカメと広角レンズの組み合わせ」での「マゼンダ被り」。 2つのレンズの生産終了とこの現象との関連性は分からないが、35mm判フルサイズ・センサーのカメラでフィルム時代のレンズを使う人口が増えれば無視できない現象ではある。 諸収差のことも含め、これまでフィルム用に設計されていたレンズをデジタル・カメラ用に設計し直すのはそう不思議なことでもないだろう。
現にZEISS Distagon T* F1.4/35mm ZMの設計や、Voigtlander Super Wide Heliar 15mm F4.5 VM IIからVer. IIIへの再設計は、周辺被りを大いに意識したものと言われる。
非テレセントリック... 「非 長い焦点(結像)位置」あたりの意味だろうか。
これまた機材選びの上でどの組み合わせが「吉」なのか、実に悩ましい課題である。
以下、Impress デジカメWatchの記事: 「ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!?」からの引用(一部省略)
フランジバックの短い非テレセントリックの広角オールドレンズ、端的に言うとレンジファインダー機用の広角オールドレンズをα7/7Rに装着すると、周辺部にマゼンタの色かぶりが発生することが多い。α7は28mm、α7Rは35mmがボーダーラインで、これより焦点距離が短いレンズではマゼンタかぶりと周辺光量落ちが顕著だ。また、周辺像が流れがちで、フルサイズで広角レンズを使えるとは言うものの、画質面で満足とは言い難い状況だった。
それでは何故α7Sに期待するのか。それは画素ピッチが大きくなっているからだ。画素ピッチが大きくなり、周辺部までたっぷり受光できる可能性を示唆している。これによってマゼンタかぶりが解消されるのではないかと期待されているわけだ。
もうひとつの理由はα7Sのサイレント撮影モードだ。同機能を有効にすると自動的に電子シャッターに切り替わる。対称型の広角オールドレンズは後玉が突き出るが、α7Sでサイレント撮影モードを使えば、α7/7Rで内部干渉したレンズでも使える可能性が高い。
今回はα7でマゼンタかぶりが顕著だった広角オールドレンズをα7Sで実写してみた。結論から言うと、大半のレンズはマゼンタかぶりが解消している。 ただし、逆にシアンかぶりが発生し、色かぶりがゼロというわけではない。青系の色かぶりはマゼンタほど不自然さがないため、色がかぶりつつも写真として成立している。特に背景が青空の場合はさして気にならないレベルだ。周辺像の流れは相変わらずだが、それでもショートフランジの広角オールドレンズを「使える」という実感は十分に得られるだろう。
参照元: http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20140718_658298.html
ソニー α7シリーズなら「カメラ内アプリ」の利用で周辺被りの補正が出来る。
以下はソニーのウェブ・サイトからの案内:
・動画撮影時も使用できるようになりました。〈NEX-5R、NEX-6、NEX-5Tは非対応〉
・プロファイルのインポート、エクスポートができるようになりました。
・従来はExifに情報が反映されなかったレンズでも、本アプリのプロファイルに設定した値を
使ってExif情報に反映することができるようになりました。〈対応機種はILCE-7M2です〉
アプリをダウンロードして補正するって、根本的なところは未解決なまま小手先の技で何とかというのは違和感あるなぁと思ったのだが、考えてみれば「レンズごとに6 bit codeで対応させてファーム・ウェアで周辺被りを補正する」のと変わらないじゃないか! と思い直し、更に補正量を自由に変えられるとなれば却ってその方が便利なのかも。
とは言え、やはり「そもそも周辺被りや画像流れが発生しないレンズ設計」が望ましい。 今後発表される広角レンズは前述の例のように設計にはそれなりの留意が成されるのだろう。
2021.09.14追記: - - - - - - - - - - - - - - -
「テレセントリック」、「奥行き方向の倍率誤差を小さくした」を意味するらしい。
レンズの前、後、その両方と、いくつか種類があるようで、この記事で言う「テレセントリック」は「像面テレセントリック」が該当しそう。 受像素子に対して、ざっくり言うと直角に光線が入ってくる(光軸に平行)ように調整された状態ということになるだろうか。
シアン被りなどは 受像素子に斜めに光が入って起きる現象なので、これをなるべく垂直にすれば問題は起きにくくなるわけで、「ならばぜーんぶそういう設計にしたらいい」と単純に思っていたのだけど、何にだって「あちらを立てれば...」があるようようにこれも例外ではなさそう。
写真用の撮影レンズにテレセントリック性を持たせると、どうも遠近感が弱まる作用があるらしい。 検査用機器の光学系の場合はここに検査の誤差を少なくする効果があるようなのだが、写真用ではベタッと遠近感のない画になってしまうのではないか? という心配が。
おそらく写真を相手にするレンズの設計者は、画の立体感(味・個性など)も表現できないといけないしと、この色被り対策がために受像素子に届く光線の寝せ具合など、相反するギリギリのせめぎ合いを詰めているのではないか? と勝手ながら心労を思ってしまう。 特にビオゴンのような左右対称で 受像素子までの距離が短い構成の場合は打つ手があるのだろうか? とまた心配になってしまう。 ZEISSのLoxia 21mmなどは案外「ウルトラC」(古い言い方だけど...)な技の連発なのではないだろうかと ...ただ想像に過ぎないのだけど勝手ながら感動してしまう。 あれ? あれはディスタゴンだから、後玉と 受像素子との距離が取れる分はちょっと手の入れようがあるのかな? というか、だからこそのディスタゴンなのかもしれないけれど、やはり「せめぎあい」は「テレセン」性... 的な諸々.. に限らず多々あったことだろう。
ある方曰く「テレセントリックと言うと魔法のように思われている方も多いようです。」と。
写真レンズにとって簡単な話ではなさそう。 と言うよりは、そもそも写真レンズの分野にはあまり縁のない話なのだろう。
「ある方」による詳しい解説動画へのリンク(この行)。
追記ここまで - - - - - - - - - - - - - - -
Leica M (Typ.240)のセンサーはソニー製C-MOS 「ベルギーに拠点を置くCMOSIS社製2400万画素CMOSセンサーを富士通とライカの共同開発による画像処理システム「LEICA MAESTRO」で制御」(MapCamera "THE MAP TIMES"より)、α7も同じ (ソニー製C-MOS)。 両者センサーの造りは大きく異なると言われるが、どちらもRAW現像すれば近似の画質が得られるのではないかとの期待から、現、そして潜在的なライカ・ユーザーにとってα7の存在感はかなり大きい。 しかし、 Leica M (Typ.240)、α7の店頭デモ機を触った感触としては、Leica Mは、CCDセンサーを持つLeica M8・M9シリーズからすると画はやや薄く感じ、α7の画もやはり薄く感じる。 だいぶ大雑把な言い方で恐縮ながら、M8・M9で感じる厚みや瑞々しさは、実は大事な手応えになっていると思う。 その観点から、個人的にはα7の画はどこか物足りない。
ただ、α7IIに関しては、色のり・シャープネスともに向上との話もあり、その描写にいつか手応えを覚える日がくるのかもしれない。 (2015.08.05訂正)
α7には現在、α7、α7 II、α7S、α7Rの4機種があるが、インターネット上に見る作例ではどれも豊かな階調と色再現、質感描写が見て取れる。 そして少しずつ差異が見られ、最もしっとりと見えるα7R、やや重厚感を感じる描写のα7Sというのが感想なのだが、メーカーの関係者曰く「どれも言われるほどの差はないですね」とのこと。 ただ、α7Sが捉えるシャドー部の情報量はズバ抜けているという。 曰く「高感度に目が行きがちだが、ISO400程度の中庸感度を積極的に使い、高精細でなおかつデジタル現像で驚くほど起きて来るシャドー部とで比類の無いダイナミック・レンジを楽しめる」と。 しかも「手ぶれ補正で1/15秒くらいなら十分手持ち撮影は実用的」という。
α7Sにはもうちょっと画素数が上がってほしいし、α7Rにはプレ・シャッターが不要になって「レリーズ・タイムラグ」に相当する時間が短くなってほしいのだが、α7シリーズの特徴でもある画素数の見た目の差はと言えば、4Kパネルに表示してやっと分かる程度だという。
充電池がすぐに容量抜けしてしまうライカ、時に「SDカードに書き込みできません」とスネるライカ、気がつくとカバンの中で発熱して電池を使い切ってしまうライカ - 妙なところに手のかかるライカよりも、そうした心配の要らないソニー αがいいと思うのも自然なこと。 でもやっぱり今のところ、Kodak製CCDセンサーのライカの画には代わるものがない...。
...悩ましすぎる。
更に最近、ソニーが、かつてコシナが製造していたZEISS IKONのボディーを使ってか、類似する筐体を用意してなのか、ZEISS IKON的なデジタル・カメラを企画しているという噂もある。
但し、ファインダーはEVFになりそうだと言うので、残念ながらレンジ・ファインダー機独特の、素通しガラス越しのように被写体との距離感を楽しむ世界観は味わえない可能性が高い。 つまり普通のミラーレス一眼を作る話なわけで、更には「背面液晶画面ナシ」のようで、瞬間 -「レンジ・ファインダー機を作るなら『光学ファインダー + 背面液晶』では?」と延髄で反応してしまった。 けれどもピント合わせの「ピーキング機能」を活用するにはEVFが有利だろうし... と、楽しみだけど、性質がα7と多々重複しそうな分でワクワク度はやや低空飛行。 いつか「噂」ではなくなったら、早くトータルの完成度を見てみたい。
選択肢... なぜそういたずらに増える...?
2015.04.16追記:
Sony Alpha Rumors 4月3日の記事によると、ソニーが新たなセンサーを開発中という。
従来の「ベイヤー配列」と言われる、平面上にRGB各色の受光素子を並べたものではなく、階層構造状にタテに各色の素子が並んでいるのだと言う。 構想は以前からあったとも聞くが、いよいよ「開発」が噂されている。
記事には「2つのセンサー革新」とある。 もうひとつは、同じくタテ配置のセンサー表面にレンズを置き、画面周辺部でも、光がセンサー面に直角に近く当たるためシアン被りやマゼンダ被りが改善されるだろうというもの。 記事を読む印象では、"レンズ"はセンサー1枚に対しての設置ではなく、素子1つ1つに付けられる感じ。 レンズによってセンサーへの光の入射角度も違うだろうし、ピントによっても変化するだろうし、これだけ「被り」を言われる今、最適化にはかなり高度な技術を要すると思うが、いつごろ実用化されるだろうか...。
2015.07.16追記:
ブログ「エンジニアの嗜み」に気になるソニーのセンサーの記事 ←センサーの記事へのリンク
ふと連想したのは、最近よく言われる「フルサイズ・デジカメと広角レンズの組み合わせ」での「マゼンダ被り」。 2つのレンズの生産終了とこの現象との関連性は分からないが、35mm判フルサイズ・センサーのカメラでフィルム時代のレンズを使う人口が増えれば無視できない現象ではある。 諸収差のことも含め、これまでフィルム用に設計されていたレンズをデジタル・カメラ用に設計し直すのはそう不思議なことでもないだろう。
現にZEISS Distagon T* F1.4/35mm ZMの設計や、Voigtlander Super Wide Heliar 15mm F4.5 VM IIからVer. IIIへの再設計は、周辺被りを大いに意識したものと言われる。
Voigtländer Color-Skopar 21mm F4 P + Leica M8にて撮影 (周辺光量など特に補正なし)
非テレセントリック... 「非 長い焦点(結像)位置」あたりの意味だろうか。
これまた機材選びの上でどの組み合わせが「吉」なのか、実に悩ましい課題である。
以下、Impress デジカメWatchの記事: 「ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!?」からの引用(一部省略)
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特別企画 検証:ソニーα7Sは広角オールドレンズの救世主か!? (2014.7.18)フランジバックの短い非テレセントリックの広角オールドレンズ、端的に言うとレンジファインダー機用の広角オールドレンズをα7/7Rに装着すると、周辺部にマゼンタの色かぶりが発生することが多い。α7は28mm、α7Rは35mmがボーダーラインで、これより焦点距離が短いレンズではマゼンタかぶりと周辺光量落ちが顕著だ。また、周辺像が流れがちで、フルサイズで広角レンズを使えるとは言うものの、画質面で満足とは言い難い状況だった。
それでは何故α7Sに期待するのか。それは画素ピッチが大きくなっているからだ。画素ピッチが大きくなり、周辺部までたっぷり受光できる可能性を示唆している。これによってマゼンタかぶりが解消されるのではないかと期待されているわけだ。
もうひとつの理由はα7Sのサイレント撮影モードだ。同機能を有効にすると自動的に電子シャッターに切り替わる。対称型の広角オールドレンズは後玉が突き出るが、α7Sでサイレント撮影モードを使えば、α7/7Rで内部干渉したレンズでも使える可能性が高い。
今回はα7でマゼンタかぶりが顕著だった広角オールドレンズをα7Sで実写してみた。結論から言うと、大半のレンズはマゼンタかぶりが解消している。 ただし、逆にシアンかぶりが発生し、色かぶりがゼロというわけではない。青系の色かぶりはマゼンタほど不自然さがないため、色がかぶりつつも写真として成立している。特に背景が青空の場合はさして気にならないレベルだ。周辺像の流れは相変わらずだが、それでもショートフランジの広角オールドレンズを「使える」という実感は十分に得られるだろう。
参照元: http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20140718_658298.html
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ソニー α7シリーズなら「カメラ内アプリ」の利用で周辺被りの補正が出来る。
以下はソニーのウェブ・サイトからの案内:
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レンズ補正ver.2.0(¥952+税)でコントロール可能な項目・動画撮影時も使用できるようになりました。〈NEX-5R、NEX-6、NEX-5Tは非対応〉
・プロファイルのインポート、エクスポートができるようになりました。
・従来はExifに情報が反映されなかったレンズでも、本アプリのプロファイルに設定した値を
使ってExif情報に反映することができるようになりました。〈対応機種はILCE-7M2です〉
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アプリをダウンロードして補正するって、根本的なところは未解決なまま小手先の技で何とかというのは違和感あるなぁと思ったのだが、考えてみれば「レンズごとに6 bit codeで対応させてファーム・ウェアで周辺被りを補正する」のと変わらないじゃないか! と思い直し、更に補正量を自由に変えられるとなれば却ってその方が便利なのかも。
とは言え、やはり「そもそも周辺被りや画像流れが発生しないレンズ設計」が望ましい。 今後発表される広角レンズは前述の例のように設計にはそれなりの留意が成されるのだろう。
2021.09.14追記: - - - - - - - - - - - - - - -
「テレセントリック」、「奥行き方向の倍率誤差を小さくした」を意味するらしい。
レンズの前、後、その両方と、いくつか種類があるようで、この記事で言う「テレセントリック」は「像面テレセントリック」が該当しそう。 受像素子に対して、ざっくり言うと直角に光線が入ってくる(光軸に平行)ように調整された状態ということになるだろうか。
参照: Mu Tron Japan
シアン被りなどは 受像素子に斜めに光が入って起きる現象なので、これをなるべく垂直にすれば問題は起きにくくなるわけで、「ならばぜーんぶそういう設計にしたらいい」と単純に思っていたのだけど、何にだって「あちらを立てれば...」があるようようにこれも例外ではなさそう。
写真用の撮影レンズにテレセントリック性を持たせると、どうも遠近感が弱まる作用があるらしい。 検査用機器の光学系の場合はここに検査の誤差を少なくする効果があるようなのだが、写真用ではベタッと遠近感のない画になってしまうのではないか? という心配が。
参照: Edmund Optics
おそらく写真を相手にするレンズの設計者は、画の立体感(味・個性など)も表現できないといけないしと、この色被り対策がために受像素子に届く光線の寝せ具合など、相反するギリギリのせめぎ合いを詰めているのではないか? と勝手ながら心労を思ってしまう。 特にビオゴンのような左右対称で 受像素子までの距離が短い構成の場合は打つ手があるのだろうか? とまた心配になってしまう。 ZEISSのLoxia 21mmなどは案外「ウルトラC」(古い言い方だけど...)な技の連発なのではないだろうかと ...ただ想像に過ぎないのだけど勝手ながら感動してしまう。 あれ? あれはディスタゴンだから、後玉と 受像素子との距離が取れる分はちょっと手の入れようがあるのかな? というか、だからこそのディスタゴンなのかもしれないけれど、やはり「せめぎあい」は「テレセン」性... 的な諸々.. に限らず多々あったことだろう。
ある方曰く「テレセントリックと言うと魔法のように思われている方も多いようです。」と。
写真レンズにとって簡単な話ではなさそう。 と言うよりは、そもそも写真レンズの分野にはあまり縁のない話なのだろう。
「ある方」による詳しい解説動画へのリンク(この行)。
追記ここまで - - - - - - - - - - - - - - -
Leica M (Typ.240)のセンサーは
ただ、α7IIに関しては、色のり・シャープネスともに向上との話もあり、その描写にいつか手応えを覚える日がくるのかもしれない。 (2015.08.05訂正)
Voigtländer Color-Skopar 21mm F4 P + Leica M8にて撮影 (周辺光量など特に補正なし)
α7には現在、α7、α7 II、α7S、α7Rの4機種があるが、インターネット上に見る作例ではどれも豊かな階調と色再現、質感描写が見て取れる。 そして少しずつ差異が見られ、最もしっとりと見えるα7R、やや重厚感を感じる描写のα7Sというのが感想なのだが、メーカーの関係者曰く「どれも言われるほどの差はないですね」とのこと。 ただ、α7Sが捉えるシャドー部の情報量はズバ抜けているという。 曰く「高感度に目が行きがちだが、ISO400程度の中庸感度を積極的に使い、高精細でなおかつデジタル現像で驚くほど起きて来るシャドー部とで比類の無いダイナミック・レンジを楽しめる」と。 しかも「手ぶれ補正で1/15秒くらいなら十分手持ち撮影は実用的」という。
α7Sにはもうちょっと画素数が上がってほしいし、α7Rにはプレ・シャッターが不要になって「レリーズ・タイムラグ」に相当する時間が短くなってほしいのだが、α7シリーズの特徴でもある画素数の見た目の差はと言えば、4Kパネルに表示してやっと分かる程度だという。
充電池がすぐに容量抜けしてしまうライカ、時に「SDカードに書き込みできません」とスネるライカ、気がつくとカバンの中で発熱して電池を使い切ってしまうライカ - 妙なところに手のかかるライカよりも、そうした心配の要らないソニー αがいいと思うのも自然なこと。 でもやっぱり今のところ、Kodak製CCDセンサーのライカの画には代わるものがない...。
...悩ましすぎる。
更に最近、ソニーが、かつてコシナが製造していたZEISS IKONのボディーを使ってか、類似する筐体を用意してなのか、ZEISS IKON的なデジタル・カメラを企画しているという噂もある。
但し、ファインダーはEVFになりそうだと言うので、残念ながらレンジ・ファインダー機独特の、素通しガラス越しのように被写体との距離感を楽しむ世界観は味わえない可能性が高い。 つまり普通のミラーレス一眼を作る話なわけで、更には「背面液晶画面ナシ」のようで、瞬間 -「レンジ・ファインダー機を作るなら『光学ファインダー + 背面液晶』では?」と延髄で反応してしまった。 けれどもピント合わせの「ピーキング機能」を活用するにはEVFが有利だろうし... と、楽しみだけど、性質がα7と多々重複しそうな分でワクワク度はやや低空飛行。 いつか「噂」ではなくなったら、早くトータルの完成度を見てみたい。
選択肢... なぜそういたずらに増える...?
2015.04.16追記:
Sony Alpha Rumors 4月3日の記事によると、ソニーが新たなセンサーを開発中という。
従来の「ベイヤー配列」と言われる、平面上にRGB各色の受光素子を並べたものではなく、階層構造状にタテに各色の素子が並んでいるのだと言う。 構想は以前からあったとも聞くが、いよいよ「開発」が噂されている。
記事には「2つのセンサー革新」とある。 もうひとつは、同じくタテ配置のセンサー表面にレンズを置き、画面周辺部でも、光がセンサー面に直角に近く当たるためシアン被りやマゼンダ被りが改善されるだろうというもの。 記事を読む印象では、"レンズ"はセンサー1枚に対しての設置ではなく、素子1つ1つに付けられる感じ。 レンズによってセンサーへの光の入射角度も違うだろうし、ピントによっても変化するだろうし、これだけ「被り」を言われる今、最適化にはかなり高度な技術を要すると思うが、いつごろ実用化されるだろうか...。
2015.07.16追記:
ブログ「エンジニアの嗜み」に気になるソニーのセンサーの記事 ←センサーの記事へのリンク
2015-02-01
雑感 〜 Subaru El Ten・360・北米
何気なくネット検索をして出て来たスバル「エル・テン」の画像。 下の写真は1997年のモーター・ショーに出展されたものとの事。
初めて「スバル360の復刻版を作るんだ」という話を聞いたのは1987年頃のことだったと思う。 そのずいぶん後にコンセプト・カーとして発表されたのがこの「エル・テン」。 最終的には「エル・テン」に似た顔つきの、「Nicot(ニコット)」という軽自動車プレオの派生車種が世に送り出された。
モーリス/オースティン/ローバー等の「mini」はBMWによって現代風に復刻され、フィアット500も復刻され人気を博している。 進歩した現代のクルマ作りに乗っかった古いデザインの継承は面白い。
スバル360の正当進化はおそらく「R1」だろう。 スバル360の愛称である「てんとう虫」っぽく、テレビCFでもR1がスバル360を「先輩」と呼んでいたが、デザインにはまるで「スバル360」っぽさは無い。 その意味では目立たないながら、隙のない設計に頼もしさを見るクルマだ。 そして新旧の「R2」もまたリバイバルではなく全く別物の新設計で、その姿には元来の設計思想と最新技術とを突き詰めた結論という気持ちよさを思う。
この、原点と言っても過言ではない軽自動車だが、経営の都合から資本が移り、2012年2月29日を以って撤退となった。
スバル360、R2の後には、スバルff、1000、1300、レオーネと普通乗用車が生産され、これらは前輪駆動、普通乗用の四輪駆動、ツーリング・ワゴンの、国内での先駆け的な存在となった。 欧州でも、雪道の走破性が重宝だという話や、ベルリン交響楽団の指揮者であるヘルベルト・フォン・カラヤン氏が乗っていたという噂もある。 北米ではGSR、GL、Loyaleと呼ばれ、寒冷な北西部で需要が高かったようだ。
技術屋集団は、時に「個性」が突出する。 「アルシオーネ」(1.8L「XT」、2.7L「XT6」)や「アルシオーネ SVX」は、主に北米向けにデザインされたと言うが、日本ではなかなか異色な存在だった。 XTはラリーにも出、XTもSVXも「500マイルを駆け抜けるために」が開発の合い言葉。 これが三者三様に「グラン・ツーリスモ」を追求した結果なのだろう。
B11s、B9はコンセプト止まりであったが、発表された2003年頃ではなく、2010年頃にこれが世に出ていたら市場動向は面白かったのではないかと思う。
北米と言えば「BRAT」や「BAJA」(バハ)。 ふた昔ほど前の1999年、アメリカ西海岸北部の町を2時間も走ると100台以上のレオーネ・ワゴンに遭遇した。 寒冷地で四輪駆動が実用的なのは頷けるし、農業が元気で、自然を楽しむ遊びが好まれるアメリカで、BRATのような「ピックアップ・トラック」が買われるのもよくわかるが、1990年、初めてBRATを見たのはニューヨークの市街地だった。
北米で需要が高いのがミニバン。 それを享けてスバルが日本で販売したのが、ドイツ・オペルのザフィーラをベースにしたトラヴィック。 スバルだがAWD車がない。 だがギアやシートの設定が日本向けに改変されデザインもシンプルで、「よく見るとスバルっぽい」不思議なクルマだった。
スバル製のミニバン - B9トライベッカ。 北米向けの車種で、日本で走っていたのは三鷹工場で社販された10数台と言われる。
とりとめのない、雑感未満の雑感。
初めて「スバル360の復刻版を作るんだ」という話を聞いたのは1987年頃のことだったと思う。 そのずいぶん後にコンセプト・カーとして発表されたのがこの「エル・テン」。 最終的には「エル・テン」に似た顔つきの、「Nicot(ニコット)」という軽自動車プレオの派生車種が世に送り出された。
モーリス/オースティン/ローバー等の「mini」はBMWによって現代風に復刻され、フィアット500も復刻され人気を博している。 進歩した現代のクルマ作りに乗っかった古いデザインの継承は面白い。
スバル360の正当進化はおそらく「R1」だろう。 スバル360の愛称である「てんとう虫」っぽく、テレビCFでもR1がスバル360を「先輩」と呼んでいたが、デザインにはまるで「スバル360」っぽさは無い。 その意味では目立たないながら、隙のない設計に頼もしさを見るクルマだ。 そして新旧の「R2」もまたリバイバルではなく全く別物の新設計で、その姿には元来の設計思想と最新技術とを突き詰めた結論という気持ちよさを思う。
この、原点と言っても過言ではない軽自動車だが、経営の都合から資本が移り、2012年2月29日を以って撤退となった。
スバル360、R2の後には、スバルff、1000、1300、レオーネと普通乗用車が生産され、これらは前輪駆動、普通乗用の四輪駆動、ツーリング・ワゴンの、国内での先駆け的な存在となった。 欧州でも、雪道の走破性が重宝だという話や、ベルリン交響楽団の指揮者であるヘルベルト・フォン・カラヤン氏が乗っていたという噂もある。 北米ではGSR、GL、Loyaleと呼ばれ、寒冷な北西部で需要が高かったようだ。
技術屋集団は、時に「個性」が突出する。 「アルシオーネ」(1.8L「XT」、2.7L「XT6」)や「アルシオーネ SVX」は、主に北米向けにデザインされたと言うが、日本ではなかなか異色な存在だった。 XTはラリーにも出、XTもSVXも「500マイルを駆け抜けるために」が開発の合い言葉。 これが三者三様に「グラン・ツーリスモ」を追求した結果なのだろう。
B11s、B9はコンセプト止まりであったが、発表された2003年頃ではなく、2010年頃にこれが世に出ていたら市場動向は面白かったのではないかと思う。
北米と言えば「BRAT」や「BAJA」(バハ)。 ふた昔ほど前の1999年、アメリカ西海岸北部の町を2時間も走ると100台以上のレオーネ・ワゴンに遭遇した。 寒冷地で四輪駆動が実用的なのは頷けるし、農業が元気で、自然を楽しむ遊びが好まれるアメリカで、BRATのような「ピックアップ・トラック」が買われるのもよくわかるが、1990年、初めてBRATを見たのはニューヨークの市街地だった。
北米で需要が高いのがミニバン。 それを享けてスバルが日本で販売したのが、ドイツ・オペルのザフィーラをベースにしたトラヴィック。 スバルだがAWD車がない。 だがギアやシートの設定が日本向けに改変されデザインもシンプルで、「よく見るとスバルっぽい」不思議なクルマだった。
スバル製のミニバン - B9トライベッカ。 北米向けの車種で、日本で走っていたのは三鷹工場で社販された10数台と言われる。
とりとめのない、雑感未満の雑感。
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