2013-12-30
2013-12-26
Cosina Carl Zeiss T* C-Biogon F2.8/35mm
実は2度目の購入となったこのレンズ、2008年に手にした時にはヌケが良すぎてなじめなかった。 そして久々に手にしたこのレンズ、程よい遠近感と質感描写。 キレもありヌケもそこそこ良く、質感も。 何より感心したのは空間表現。
6 Bit Codeは、Summarit-M 35mm f/2.5に用いられる「101011」を黒い色のテプラ・テープで貼り付けた。 Voigtländer Color-Skopar 35mm/F2.5-Cも同じコードを使用している。 このコードによっても描写が変わるのだろうか。 試そうと思いつつ、つい試さずじまいのまま。
...気になるヌケ。 経年変化でコーティングによるヌケ具合が変化するという事があるのだろうか。 Biogon 2.8/28mmも、Elmarit-M 28mm/F2.8 Asph.も、何年か経つうちに少しずつデジタル現像する手と目に馴染んで来た感があった。 製造から数年経つと持ち味が出始めるというか落ち着いてくるというか、例えばメーカーの見解としては「あり得ない」のだと思うが、やはり経年変化はあり得そうに思える。
あらためて、この小ささは、鞄を選ばない使い勝手がありがたい。
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2013-12-24
2013-12-23
2013-12-22
2013-12-20
Cosina Carl Zeiss T* Biogon F2.8/28mm
朝だからか... なんか違う気がする。 シャッターが降りたままのお店が点在してる気がする。 奥に見える幌で覆われたところは、つい先々週くらいまで青い瓦屋根の木造の建物に焼肉屋の看板があった。 通りの雰囲気はひっそりしてゆくようにも感じ、同時に新たな展開への期待もうっすらと近寄って感じる。 そうした「変化」と「日常」は、案外 何の違和感も無く同居している。
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2013-12-16
2013-12-10
2013-12-08
Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 Classic
初めてこのお店で買い物をしたのは、たぶん小学校2年生の時。 もちろん親に連れられての買い物だが、真空管ラジオの部品を買い集めたその中の1つがここで購入した「トランス」だった。 そのあと何度か足を運ぶ機会もあり、「TOEI」というラベルのトランスが手元にいくつかある。
そしてその10年ちょっと後、アメリカへ渡る時にここで「ステップ・ダウン・トランス」を購入した。 117Vの電灯線を100Vに変換する変圧器と呼ばれる道具である。 渡航する飛行機では、スーツ・ケースの類いではなく、ボストン・バッグのような中に諸々を詰め込んだ。 中にはラジカセとこの変圧器も入っていて、振り返ってみると、あの1年で使った様々な持ち物では、室内で使う物の中ではダントツに重い一品だったのだろうと思う。 ずっしりした鉄芯と導線の存在感は、実に頼もしかった。
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2013-12-07
Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 Classic
秋葉原駅の一角でみつけた、たぶん「原風景」的な手摺り?
この駅は40〜50年前に新たに出来たと思っていた。 以前は現在の場所よりもやや東に位置し、移転されたと思っていた。 だが、調べてみると、どうやら旅客用の駅は以前から現在の位置だったらしい。 だとすれば、この手摺りにもそれなりの歴史があるのだろう。 こうした「古いもの」は近年どんどん無くなり、ここ数年は特にそれが加速して感じられる。
電気部品を買いに何度となく足を運んだこの駅舎だが、いつも「電気街口」と表示された案内表示めがけて突き進んでいたので、あらためて駅舎に目を向けたのはたぶん初めて。 30年ほど前はまだまだ自作ラジオが流行り、製品を売る電気街の店先は、ラジオやテープレコーダーといった顔ぶれだった。 オーディオの世界もなかなかの隆盛で、音楽を入手する手段はFMラジオという時代でもあった。 FMラジオを録音する事を「エア・チェック」と呼んでいたが、おそらく'60年代から'90年代初頭くらいまでは愛好家的な利用者は数多かった。 録音の機材は「オープン・リール」から「カセット・デッキ」に移り、なかでも高嶺の花だったNakamichiのデッキを置く店は一目置かれるような存在だった。
オーディオ製品を買い求める客と、電気部品を買う客と、アマチュア無線と、だいたい秋葉原の客はこの3つに大分されていたように思う。 飛び交うのは、集まって来る人々の合い言葉のような流行言葉の類ではなく、もっぱら機械の型番と電気部品の仕様と数値である。
2013年11月一杯をもって、電気部品を売る小さなお店が並んでいた「ラジオ・ストア」が閉店となった。
いまはJRのガード下は、「ラジオ・センター」が営業を続けている。 言ってみればこれらは「モール」と言えなくもないが、電気部品の独特の匂いと、休日などは行きたいお店になかなか辿り着かないくらいの人で賑わう幅1.5m程度の通路の熱気、そして旧い都心のどこか埃っぽい匂いが立ちこめ、「電気」という一つの共通項を持つ人々の好むこの空間は、まさに要塞のような体であった。
そうした風景を想起しつつ、この手摺りから見えた風景は、かつて電車の車内にタバコの煙が立ちこめる風景だった。
今では想像もできない風景でもあり、思えば「本当に見た風景だったのだろうか」と疑念も浮かぶような光景だが、そうした電車で秋葉原から帰路についた記憶はたぶん本当だ。
そういえば、秋葉原駅から少し東、昭和通り... というのかな、の手前には、その昔、運河を引き入れた流通の一拠点だった名残として、堀と橋の形跡が見てとれる小さな公園があったのだが、今回足を運んだ際にはその公園は無くなり、工事中だった。 運河だったためにやや窪んでいたその公園は段差無く平らになり、やがて通路にでもなってしまうのだろう。
なかなか急速に移り変わってゆく。
さて、秋葉原駅。
どうも現在の位置はずっと動いていないようで、とすると、'90年代半ばにはまだ取り壊されずに残っていた「旧秋葉原駅」と呼ばれる、現秋葉原駅のやや東にあったそれは、かつて青果市場だった時代の貨物専用駅という事になりそうだ。 「旧」というのは、今の駅舎が「現在の位置に動いた」のではなく、旅客用と貨物用の2つの駅のうち、貨物用が無くなったという意味なのだろう。 貨物駅が無くなったのは1975年頃の事のようだ。 現在の駅舎の原型は戦後間もなく作られたという説もあり、幾多の改装も経ていようが、思うにこの「手摺り」はそれなりの年代物なのだろう。
こうして時代を映し、なお現役であり。 この、様々に背景を擁する佇まいに尊敬の想いを馳せる。
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2013-12-02
2013-12-01
Cosina Carl Zeiss T* Biogon F2.8/28mm
東京駅の八重洲地下街での1枚。
なんとなく気になって、「このあたりにイノシシの銅だか真鍮でできた大きな像があったんだけど..」とウロウロしていたのだが、記憶の場所とは微妙に違う場所に。 近くにあったイタリアン・レストランもなんとなくその面した通路の雰囲気が違っている。 そういえば有楽町の駅を銀座方面に出た右手にあるレストランを見て、同じ名前なんだなぁと思った覚えがある。 有楽町のそれに比べて八重洲地下街の店舗はどことなくレトロというか、年季の入った風である。
そうした風景を見届けて、さて地上に出ようかと向かった階段の風景。
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2013-11-30
Cosina Carl Zeiss T* Biogon F2.8/28mm
ゆっくり淡々と歩を進める午後の散歩。 画面中の紳士は年齢80手前と言った風貌。
慣れたペースなのだろう、表情には重ねた年輪と今現在の気持ちのゆとりのような笑みが見てとれ、その足取りには楽しささえ感じられた。 ゆっくりと思いきや、後をついてゆくとこれが案外速い。 どんどん風景の奥へ遠くへ進み入ってゆく。 季節の移ろいを撮影しようと訪れた公園。 思いがけず遭遇する人の移ろい。
「自分らしさ」、「自分探し」 - よく聞く言葉だけれど、これを主観的に進めることは、思えば奇妙なことなのかも。
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2013-11-29
2013-11-28
2013-11-21
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
まったりと小川沿いの散歩。 今年何度となく訪れた場所で、小川と、周囲の木々と、季節ごとにさまざまに表情を見せてくれた。
季節ももう冬の域になり、心なしか流れる水も夏に比べてゆっくりとして見える。 黄色とオレンジの多い紅葉で、まだまだ緑色の葉も多く、空は青空。 しばらく空に向いて木々の様子を撮影していたのだが、ふと気になった水面に目をやると、また違って見える木々の姿が。 どことなく冬支度中といった印象の風景だった。
2013-11-20
2013-11-19
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
セミナーを受講し終えて建物を出、隣の商業施設へ足を運んだ。 さっきまでの白い壁一色の景色とは一変、クリスマスの間近さを思わせる装飾があちらこちらに。 冬という感触がいまひとつ薄いためか人の足もまばら。 サンタさんにもまだ「メリー・クリスマス」慣れしていない ぎこちなさを感じる。
2013-11-18
2013-11-17
2013-11-15
雑感 〜 ZEISSの大口径55mmレンズ (Otusの発表)
touitシリーズを大きくしたようなデザインのレンズ。 最初にこの形が発表されたのは2年前の夏頃だったように記憶している。
"Zeissの大口径"を特徴として発表されたこのレンズの焦点距離は55mmである。 F値は1.4で、この数値からはどうにも筐体の大きさが不釣り合いに見えていた。 レンズの配置はDistagonで、そう思うと大きくなってしまったのは結果論としてはアリなのだろうとも思うところ。 と同時にPlanarで良かったのでは? とも思ってしまう。
手にとった感触は、手に馴染み、ピント・リングの操作感もちょうどよい重さと、ピントを掴んでヘリコイドを停止した瞬間の自然な手応えと、持ってて楽しい1本という印象だった。 写りの第一印象は、「コシナのBiogon 2.0/35mm ZMに似てるなぁ」だった。 思うにレンズの原料と研磨方法が同じなのだろう。
Biogon 2/35mm ZMは、暗いトーンの描写には優れるが、画面のちょっと明るい場所がふわっと「飛び気味」を連想させるように、微妙に余分に明るくなってディティールを失い気味になる。 そしてハイライトにかけてやや色が濁る印象、これはあくまでも印象だが、そうしたクセを感じる。 そして残念ながらこのクセを活かせるほどの腕を持ち合わせていない。
このDistagon 1.4/55mm、そうしたBiogon 2/35mm ZMに似た描写の傾向を示しつつ、その質感の作り込みの完成度が高く、見事に特色づけされ全体的にもよくまとめられていた。 ポートレイト - それも人の年輪を映すような撮影によいだろうなぁと思う。 細部や立体感、質感の描写は、そうした「深度」の表現に発揮されそうだ。
値段を訊くと$3,999だという。 出処は失念してしまったが、発売元はコシナだそうだ。
touitはSIGMA製と噂され、それと似た鏡筒の形状からこのDistagonも同社製かと思ったが、一瞬「まさかソニーZEISSか?」との考えも頭をよぎり、風貌からはどうも製造元がつかめない。 とは言えソニー製Zeissのズーム・レンズの昨今のコーティングにはZeiss独特の色彩を見いだすのが難しく、同社"DT"レンズと差異の少ないそれはホントに"T*"なんだろうか? としげしげと見入ってしまう事もある。 近年は "Carl Zeiss"はすっかり混血の進んでしまったドイツ・ブランドという印象も無くはない。
欲を言うと... 現行Carl Zeissレンズ群には、「唯一無二」というような個性を求めたい。 デジタル・カメラ向けに収差を追い込むと、どうしても均一的な描写になってしまうのだろうが、かつての "Made in West Germany"と刻印された Planar 1.4/85mmや、最近多用しているVario-Sonnar 3.3-4.0/28-85mmなど、「このレンズでないとあの雰囲気は撮れなかっただろうなぁ」という独特な世界観こそがCarl Zeissと。
そうした意味では、最近使ってみたいZeissレンズとしては - C-Sonnar 1.5/50mm ZM、C-Biogon 4.5/21mm ZM、Biogon 2.8/25mm ZM、Distagon 2/25mm (SLR)、Distagon 2/28mm (SLR) 、そして Distagon 1.4/55mmあたり。
もう1つ欲を言うと... ソニー以外からもCarl Zeissのズーム・レンズが欲しいところ。 ソニーのDSLR機が電子ビュー・ファインダーでなく光学式のファインダーならば、ソニーで1セット、既に購入しているところなのだけど。
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2013-11-10
2013-11-09
2013-09-25
Cosina Carl Zeiss T* Biogon F2.8/28mm
久々にBiogon T* F2.8/28mmを付けている最近。
なんとなく苦手な描写だなぁと思っていたLeica Elmarit-M 28mm F2.8 Asph. が、意外にもここのところ手に馴染みだして付けっぱなしにしていたのだが、そうなると対で気になるのがこのBiogon。 これもまた描写のクセがしっくり来ないところがあって、実はこの2本の28mm、自分にとっては微妙なコンビ。
Summicronを手にしてしまえば多分それで一件落着とは思うが、価格がべらぼーだし、もし手にする機会があるにせよ、その前に現行のSummicron 28mmではなく、ひと世代前のものを使ってみたい。 Summicron 50mm F2.0がそうだったが、一世代古いレンズの方が、質感描写、色のり、シャドーの陰らしさが人懐こかった経験から、同28mmにもその期待があり、傾向を見てみたいと思う。
この一枚は、Biogon T* F2.8/28mmの控えめな描写が「吉」と出た気がする。
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2013-09-17
Leica Elmarit-M 28mm F2.8 Aspherical
日に日に日が短くなるごとに、憂うような気持ちが混じりはじめていた。 「秋の陽はつるべ落とし」と言われるように、夕方からあっという間に夜がやってきて、冬至の頃などは「夕方」を感じる間もない午後5時で真っ暗になる。
空一面の夕焼け、これは2日続けてのこと。 これだけ大きな夕景と筋雲の広がる空を見せられたら、日の短くなるのも「仕方ないか」と思えた気がした。 と同時に、体が冬支度を意識したのも感じた。
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2013-09-12
2013-09-03
2013-08-31
Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 Classic
横田基地の南東の角あたり。 この上空を「ジャンボ・ジェット」の愛称を持つボーイング747や、「ギャラクシー」と呼ばれるロッキード C5などが飛来する。 近く「オスプレイ」も配備されるという話もあるが、軍事基地であるという以上に、すぐそこがアメリカ合衆国のカリフォルニア州であるところに惹かれる。
これだけ近いのに、本来は遥か海を越えた異国。 この法的な絶対的距離感は、もしかしたらアメリカ本土のカリフォルニア州よりも遠いのではないか。
まだ基地の脇を走る国道16号線が、片側1車線で路肩の土けむりを巻き上げてバスやトラックが走っていた頃のヨコタとは、周囲も基地も時代とともに様変わりしてきたが、この距離感だけは如何ともし難い。
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2013-08-26
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.5-4.5/28-70mm
芙蓉の涼しげな花と葉が目に入ってちょっと寄り道。
ひと月前は、夕方には萎れてしまっていた花だが、この日は夕方にも花が開いていた。 暑さがそれだけ和らいだという事だろうか。
芙蓉で、「酔芙蓉」というのがある。 朝に開花したときには白い花が、時間が経つにつれてだんだんに赤っぽく変化し、夕方には鮮やかな濃いピンク色になる。 その少しずつ赤らんでくる様が、酔ってゆくように見えるのだ。 「酔芙蓉」とは可笑しな、大胆な名前にしたものだ。
2013-08-19
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
近くに水源があるらしい。 湧水だというのだが、考えられるのは7〜8kmほど北にある「水なし川」。 地中に潜った水が湧き出す場所がこの小川の水源だという。
数十年ほど前は水源近くには池があり、ボート遊びが出来たという。 その200mほど下流のこの写真の地点は特に護岸も整備されていない小さな川だったのだろう。 今は川底や護岸を石で造り、この周辺約300mほどの長さは浅めに出来ている。 夏にはよく子供が水遊びをしている。 大きな鯉、小魚、アメリカ・ザリガニ、水鳥もくる。
川底の大小の石によって、水面には様々な模様が作り出される。
2013-08-18
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
雲のきれいな夕景に出会うと、ちょっと得した気分。
カメラを持ち歩いていて夕焼けに遭遇するというのは、夏がいちばんチャンスが多い。 夕景を追いかけるように電車に飛び乗って移動しても、着いてみたら期待が外れてオレンジやピンクの空にならないなんて事も。 台風の後には広大な夕景が広がる事も多いが、台風はあまり歓迎という感じでもない。 穏やかに暮れて行く広い夕景が、いちばん贅沢な1日の締めくくりかな。
むかーし、アイダホで見た、遥か遠くの山並みを浮き上がらせる柔らかいピンク色に向かって、空高く藍色から、それこそ天の半球全てを使って描き出された、夕刻から夜にかけての大きなグラデーションに身震いしたことを、時々思い返す。
2013-08-09
2013-08-03
Voigtländer Color-Skopar 35mm F2.5 Classic
このレンズ、コシナにピントの調整をして頂いてから、性格が変わったかのように空間の描写に変化が出たような気がする。 まさに「ピント外れ」ではなくなった、この感触は心地よい。
レンズがスクリュー・マウントであるためか、バヨネット・マウントであればピタっと合うハズの位置にズレが生じるのだろう、その旨をお伝えしての調整依頼だったのだが、調整後は非常に感覚的・感触的にレンズとの対話にシャープな手応えが出てきた。 それまではややまったりと、空間の不思議な「間」を得意とするレンズだと感じていたが、それに足して対象物への眼差しが強くなったと思う。
夏とはいえ夏至をひと月半弱も過ぎ、あたりの植物の中には秋の準備をしているのか? と思える季節感が混じって来ている。 これからまた猛暑がやってくるとの予報だが、トンボの優雅に飛ぶ姿や、まもなく薄茶色になりそうなフサフサのネコジャラシや、日差しの赤っぽさなど、夏が去ってしまった虚しさを思う日は、もうそう遠くはなさそうだ。
ベンチに目がゆき、撮り終えて川沿いを歩く。 「ノスタルジックな思い出」という言葉がぼんやり浮かぶ - 今日ここで撮った写真の全体的な印象の事だ。 よく考えると妙な言葉なのだが - この光線具合によって束ねられた記憶が... くすぶって出て来た感想だ。
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2013-07-29
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
雨が降ったり止んだりの1日となった。
最近よく足を止める小川沿いの散歩道にて、ちょっと小休止。 水面に周囲の木々から落ちる水滴が、次々と波紋を描くのを眺めてみた。 風が吹くとまた違った紋様を描く。 ごく小さな面積でのちょっとした出来事なのだが、これが案外飽きない。
このレンズを持ち出したのは初めてではないだろうか。 ついふた月ほど前に入手したもので、かつてフィルム・カメラ全盛期とも言える1980年代から1990年代に発売された、アブラの乗った型である。 さっきCONTAXのカタログを引っぱり出してみたところ、定価で¥154,000とあった。 この手のズーム・レンズなら、今時は3万円ほどから手に入る事を考えると、値段からしても"モノ作り気合度"は"強"である。 その頃には手が出なかったこのレンズも、今では中古で3分の1以下の価格で手に出来る。
手元にあるデジタル・カメラの受像素子はフル・サイズではなくAPS-Cサイズなので、残念ながら28mmの広さは体験できないものの、35mm判相当で約44.8mm〜という標準ズーム的な位置づけと割り切ればそれなりに使い勝手は悪くない。
現在Carl Zeissと言えば、ソニー、コシナが一般的なカメラ用レンズを製造している。 どれもそのメーカーなりのクセは出てしまうが、総じてCarl Zeissの味付けの方向は見事に踏襲されている。 ソニーの単焦点Zeissレンズに興味ありなのだが、ソニーのボディ意外との互換性が無く、カメラ・ボディーから揃え直しというのもちょっと...。
そうしたあたりを出発点に、とりあえずボディ選びを始めてみた。 そして長いこと第一候補だったソニー製カメラは購入に至らず。 その最大の理由はマウント、次いでファインダーが電子ビュー・ファインダーだったことで、これだとレンズの素性も、覗いた時の空気感もわかりにくく、目も疲れそうだ。 おまけに水準器やハイライトのピークが表示されたりと、盛りだくさんのデータ表示が親切すぎて、"考え落ち"な写真が量産されそうにも思う。 キヤノンのフル・サイズ機"6D"も視野に入れたのだが、ボケ味がクルクルとカーリーであまりキレイに見えなかったので候補から外れた。 "カーリー"はレンズのクセではない。 見る限りは受像素子のクセである。 似た位置づけのカメラでニコンのD600があるがこれは秀逸な出来だった。 が、レンズ・マウントを自力で交換しないとニコンのボディにはCONTAXマウントのレンズは付かない。 マウントを交換してしまうと、手元にあるCONTAX Ariaでは使えなくなってしまう。 それで... キヤノンのEOS Kiss X6iを安価に入手してしまった次第。
"Zeiss"の製造といえば、今年市場に出て来た"touit"というシリーズはSigmaが製造しているという噂がある。 Sigmaの単焦点は、やや薄味な傾向を感じるが繊細さとヌケは好感が持てる。 "Zeiss"の要のひとつはレンズのコーティングで、Sigmaのレンズ製造技術にZeissのコーティングが施されると、コッテリとした色味や高コントラストかつ、より豊富な階調により独特な空間表現が得られることだろう。 その組み合わせはなかなか興味深い。 勢いに乗って各社マウントのAPS-Cサイズ向けCarl Zeissのズーム・レンズも作ってくれないだろうか? とは望み過ぎか。 尤も、そもそもが噂のレベルなので取りとめのない話ではあるが。
さてこのVario-Sonnar 28-85mm、さすがに気合いの入った設計・製造で、CONTAXブランドを冠する製造・販売元であった京都セラミックと、そのカメラ部門の前身であるヤシカ(八州光学)、そしてレンズの製造をしていた更に前身(?) である富岡光学の技術の傾注を感じる。 見た目に堂々とした風貌にも、惜しみなく"高画質"を追求した意気を思う。
Sonnarは優れた質感描写が特色の一つではあるが、Planarの精細さからすると何処となく大雑把さを感じてしまい、どこかしっくり来ない事が多い。 Planarでズームというのはレンズ設計的にあり得ないのか、あっても複雑怪奇な構成になってしまうのか、現実的な落ち着き処としてはVario-Sonnarという事になるのだろう。
しかしこのVario-Sonnar 28-85mmは、どこかPlanarを思わせる立体感と繊細さを持っているように感じる。 同じくVario-Sonnar 35-70mmは、立体感というよりはまったりとした場の雰囲気を得意としていたし、同じく28-70mmは、そこそこのキレとマクロが使えるという利便さがあるものの、立体感が弱く、画がベタっとして見えてしまうというのが今のところの感想だ。
最近、ヤシカから出ていたYashica ML 28mm F2.8という玉がなかなかの描写力だと知った。 富岡光学がZeissレンズと同じ製造ラインで、技術屋根性込めて密かにドイツの技術者にライバル心を燃やしていたのでは? と言われるレンズだ。
そうしたエピソードを聞いてしまうと、数社でライセンス生産品が存在する"Carl Zeiss"のなかでは、殊「写り」に独特の探究心をもって具現化されてきたであろう --- "CONTAX"贔屓になってしまう。
2013-07-20
2013-07-19
2013-07-03
雑感 〜 Elliott Erwitt展
銀座ライカで行われているエリオット・アーウィット展。
カメラのメンテナンスに出かけたのだが、サービス受付窓口を奥に控えたちょっとした空間がギャラリーになっていて、ついでとでも言うように有名どころの写真を眺めることができる。 変に構えずに写真と向き合えるという事で言えば、ある意味お互いに素で接することの出来る贅沢な空間でもある。
もう6年ほどまえだろうか、同じ写真(サイズ違い)を、同じく銀座に位置するシャネルのネクサス・ホールで目にする機会があった。 不思議なとこに、どこか高級感の漂う空間で見るElliottの写真には、すごーく"いたずらっ子"な目線を感じた。 見る空間によっても印象は大きく違うようだ。
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2013-05-31
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