2013-11-15
雑感 〜 ZEISSの大口径55mmレンズ (Otusの発表)
touitシリーズを大きくしたようなデザインのレンズ。 最初にこの形が発表されたのは2年前の夏頃だったように記憶している。
"Zeissの大口径"を特徴として発表されたこのレンズの焦点距離は55mmである。 F値は1.4で、この数値からはどうにも筐体の大きさが不釣り合いに見えていた。 レンズの配置はDistagonで、そう思うと大きくなってしまったのは結果論としてはアリなのだろうとも思うところ。 と同時にPlanarで良かったのでは? とも思ってしまう。
手にとった感触は、手に馴染み、ピント・リングの操作感もちょうどよい重さと、ピントを掴んでヘリコイドを停止した瞬間の自然な手応えと、持ってて楽しい1本という印象だった。 写りの第一印象は、「コシナのBiogon 2.0/35mm ZMに似てるなぁ」だった。 思うにレンズの原料と研磨方法が同じなのだろう。
Biogon 2/35mm ZMは、暗いトーンの描写には優れるが、画面のちょっと明るい場所がふわっと「飛び気味」を連想させるように、微妙に余分に明るくなってディティールを失い気味になる。 そしてハイライトにかけてやや色が濁る印象、これはあくまでも印象だが、そうしたクセを感じる。 そして残念ながらこのクセを活かせるほどの腕を持ち合わせていない。
このDistagon 1.4/55mm、そうしたBiogon 2/35mm ZMに似た描写の傾向を示しつつ、その質感の作り込みの完成度が高く、見事に特色づけされ全体的にもよくまとめられていた。 ポートレイト - それも人の年輪を映すような撮影によいだろうなぁと思う。 細部や立体感、質感の描写は、そうした「深度」の表現に発揮されそうだ。
値段を訊くと$3,999だという。 出処は失念してしまったが、発売元はコシナだそうだ。
touitはSIGMA製と噂され、それと似た鏡筒の形状からこのDistagonも同社製かと思ったが、一瞬「まさかソニーZEISSか?」との考えも頭をよぎり、風貌からはどうも製造元がつかめない。 とは言えソニー製Zeissのズーム・レンズの昨今のコーティングにはZeiss独特の色彩を見いだすのが難しく、同社"DT"レンズと差異の少ないそれはホントに"T*"なんだろうか? としげしげと見入ってしまう事もある。 近年は "Carl Zeiss"はすっかり混血の進んでしまったドイツ・ブランドという印象も無くはない。
欲を言うと... 現行Carl Zeissレンズ群には、「唯一無二」というような個性を求めたい。 デジタル・カメラ向けに収差を追い込むと、どうしても均一的な描写になってしまうのだろうが、かつての "Made in West Germany"と刻印された Planar 1.4/85mmや、最近多用しているVario-Sonnar 3.3-4.0/28-85mmなど、「このレンズでないとあの雰囲気は撮れなかっただろうなぁ」という独特な世界観こそがCarl Zeissと。
そうした意味では、最近使ってみたいZeissレンズとしては - C-Sonnar 1.5/50mm ZM、C-Biogon 4.5/21mm ZM、Biogon 2.8/25mm ZM、Distagon 2/25mm (SLR)、Distagon 2/28mm (SLR) 、そして Distagon 1.4/55mmあたり。
もう1つ欲を言うと... ソニー以外からもCarl Zeissのズーム・レンズが欲しいところ。 ソニーのDSLR機が電子ビュー・ファインダーでなく光学式のファインダーならば、ソニーで1セット、既に購入しているところなのだけど。
ラベル:
Carl Zeiss,
Photography