2012-11-29

Cosina Carl Zeiss Biogon T* F2.8/28mm


   弱い日差しをうけるやや古びた壁。 無意識ながらこうした色調を「東京の風景」のひとつと感じていたようだ。 こうした、世帯ごとの生活を尺度とする風景を街並みに見ることも、また随分と少なくなったように思う。
   コシナ製ビオゴンのなかでもこのBiogon 2.8/28mmは遠近感や抜けが柔らかく感じられるが、その醸す懐古感は独特。これも... "レトロ・フォーカス"とは言わないのかな...。

   ちなみに"レトロ・フォーカス"タイプのレンズとは、結像する位置(フィルム面)を後方(レトロ)にしているという意味で、レンズ構成として見るとレンズ群が全体的に前寄りに配置されるという状態になる。 1950年にアンジェニューによって市販されたのが初めとのこと。 Carl Zeissでは"Distagon"がこの構成に該当するようで、この銘は、レンズの後玉とフィルム面の間にミラー・ボックスという一定の空間を必要とする一眼レフ・カメラ用に多く用いられている。
   以前、ヤシカ製のCarl Zeiss Distagon F2.8/25mmを使っていたが、画面周辺に向かって強まる程よい広角系の歪みも心地よく、ヌケ・色調・画面の奥行きともに描かれる空気感は秀逸で、その記憶を辿りつつ、いつかDistagonを手にBiogonとの特質比べをしてみたいと思う近頃である。
 
    参照: Wiki Pedia