東京都の西のほう、青梅の山のなかにパン屋さんがあった。小麦粉の味が主役で、ほんのり薪で焚いた火の風合いが残るような、街の舌にはもしかしたら味気ないけど、素材の薫るなかなかに贅沢な味わいのパン。
朝の3時頃に火をおこして窯をあたためる。 午後3時頃まで続くというその余熱で焼かれるパンの素朴さに魅せられる。
もとは山の管理をしている会社で、 山を手入れするときに出る木や枝を使い、パンを焼くことにしたのだそうだ。
オーストリアから石窯職人が来て石窯が造られた。 パン焼き職人がきて伝統を伝授した。 オープンの日には舞踊団がやってきて、民族衣装で歌と踊りがあったという。
訪れる都度耳にする - 「この近くに住んでるんだけど、こういう処があるなんて知らなかった」 - そういう感じのパン屋さん。