2015-05-17

雑感 〜 カメラ・メーカーの

   ちょこちょこCarl ZeissだLeicaだソニーα7シリーズだと触れておきながら、オリンパスの"OM-D E-M1"を購入。
   カメラの選択にあたっては幾つかのウェブ・サイトを参考にさせて頂いた。 以下の写真はSteve Huff PhotoBuchan Grant Photographyより。 多くのカメラ・レンズのレビュー記事を書かれているSteve Huff氏は、 E-M1を「2013年 今年一番のカメラ」に選んでいる。 また「ZUIKOレンズはライカ・レンズに次ぐ好描写」との記述も。


   "OM-D E-M1"を手にしてみて、これを選んだ理由にぼんやりと思いを巡らしてみると、ざっと5つの要素が思い浮かんできた。

   1つ目は、何と言っても自分がかつてオリンパス・ユーザーだったから。 初めて手にしたカメラが"OLYMPUS-PEN EE-3"という「ハーフ判」で、よくこれで電車の写真を撮りに行っていた。 駅員さんに「どこのカメラだい?」と訊かれ、それは小学生の自分にとって初めて「カメラ・メーカー」を意識した瞬間であり、「んー、おりゅむぷす??」と様々妙な発音をさせられるカメラのメーカー名に初めて挑んだ時であった。 ある意味"OLYMPUS"には馴染みもあり、勝手な思いながら気心知れた相手でもある。

   2つ目は色味。 オリンパスがデジタル・カメラを始めた頃は、なんだか青白い写真がたくさん撮れた。 青白い写真は見た目にキレイだが、フィルムの色調からは随分と遠く感じた。 その色調に合った絵柄を選べば撮影は楽しいが、思うにちょっとイタダケナいクセだ。 ところがE-P1が出た頃からかニュートラルな色再現をするようになり、かつてフィルムの発色を楽しんだように、カメラ任せで画作りを楽しめそうだと思うようになった。
   ちなみに「オリンパス・ブルー」とも言われる独特の蒼色に惹かれ、E-620 (2009年3月20日発売)という「フォー・サーズ」機が気になっていた時期もある。


   3つ目は「カメラ・メーカーのカメラを手にしてみたい」で、これは気持ちの片隅にくすぶる、ある人に言われた言葉 ---「カメラ・メーカーの作るカメラと家電メーカーのそれとでは、画作りはちょっと異なるかな」に起因している。 2011年頃の話。
   例えば4K動画のLog(RAW)ファイルのカラー・グレーディング、また映画フィルムのスキャン・データのカラー・コレクトなどは、オペレーターによってややビデオ調だったりフィルム調だったりと仕上がりの傾向が異なる場合がある。 同じようにフィルムの発色を相手にしてきたメーカーとビデオ信号を相手にしてきたメーカーとでは、キレイだと感じる基準の差異などから画作りが異なるのだろう。
   レンズの設計もしかり、京セラ製Carl Zeissや現行Carl Zeissの「持ち味」と、ソニー製Carl Zeissの「特性」のように、"ZEISS"という一つの道を踏みながら、似て非なる在り方を「市場」に見る不思議さがある。
   詰まるところ、「『フィルムの色』で目を鍛えてきた積み重ねへの期待」というあたり。

   4つ目は、写真家John Isaac氏の存在である。
   氏は、16歳で単身インドからアメリカへ、歌手になるためにやって来た。 TVのオーディション番組では好成績だったが以降職は無く、ニューヨークの街でU.N.(国連)スタッフから「暗室技師をやってみないか?」と誘われ写真の道に入る。 John Isaac氏とオリンパスの接点は、2005年頃だったかオリンパスの広告向けの写真を手がけた事による氏自身、オリンパス・ユーザーである
   2011年2月にお会いした時で、「写真人生も40年になるよ」と言っていた。 暗室で培った技術とカメラマンの経験を土台とする写真家の生み出すトーンは実に心地よい。 そうした氏の過ごした時間に敬意を表する意味でも、オリンパスを手にしてみたかった。


   5つ目は、昨年の秋、写真を山ほど撮ろうと意気込んだ旅先でライカM8がまさかの故障。 完全に撮影できない状態にまで陥ったので、サブ機をある程度充実させる必要が出てきたため。


   おかしなもので、なぜ急速にオリンパスを手にしようと思ったのかが不明。 というのも、Mマウントのレンズを使いたい都合から、ずっと頭に浮かんでいたのはフルサイズ機のソニーα7シリーズだったし、オリンパスは展示会等で試写してみてもあまり「ピン」と来なかった。 唯一、OM-D E-M1は画が力強くて「これはいいな」と思ったが、Photoshopで画像をいじってみると案外スッと決まらない。 他、OM-D E-M5、PEN、PEN Liteシリーズを試すも、何となくコンパクト・カメラ風に中間トーンの弱い感じに頷けず、しかしPhotoshop上での反応は素直で扱いやすそう。
   後で知ったのだが、前者はパナソニック製のイメージ・センサー、後者はソニー製なのだそうだ。 うむ。中身はソニー・パナソニックなのかとちょっと苦笑い。

   近年は、僅かながらそうした収まりの悪さを感じ、オリンパスはやや遠目に観ていた。 その距離を縮めたひとつが、旧来の刻印に似せたE-P5の"OLYMPUS-PEN"のロゴで、なんとなくオリンパスに気が向きはじめた当初はE-P5の入手を考えていた。 それから数ヶ月ほどで加速度的に購入計画へと膨らみ、更にE-M1への変更を考え出したのは購入5日前のこと。 その画像の立体感と質感、しっとり感に代え難いものを感じ、E-M1購入に至った次第。
   最終的にはE-P5、E-M1だけでなく、E-M5 MkII、そして2016年10月頃の発売が噂され始めたE-M1 MkIIも視野に迷い、それは例えば電子ビュー・ファインダー内蔵の手軽さや、E-M1の画を性格付けていると思われるパナソニックのセンサーへの期待(E-M1 MkIIではソニーのセンサーが採用されると考えた)、手に馴染むグリップの形など。 また、旅のお伴として時に無機的に、時に叙情的に、自分が風景を写す場面を想像できるかは大きな選定ポイントとなった。

   今回は購入に至らなかったOLYMPUS-PEN E-P5 --- Steve Huff氏は「マイクロ・フォーサーズ機としてはE-M1に次ぐお気に入り」とし、記事ではその実力に好評価である。 以下はSteve Huff Photoに掲載されたE-P5による作例。(フラミンゴの写真はE-M5 mkII + M.Zuiko 40-150mm Pro)


   当面は手持ちのMマウント・レンズを使い、近くアダプターを入手しContax G T* Planar F2.0/45mmを、機会があればM.Zuiko 12-40mm F2.8 PROやM.Zuiko 17mm F1.8かF2.8、John Isaac氏が「殊に素晴らしい」と評するM.Zuiko 40-150mm F2.8 PRO、汎用レンズとして14-150mm F4.5-5.6 IIなどを手にしてみたい。 --- 実際に撮影した画像はいずれ。


   以下は、今年2015年4月にソニーのウェブ・サイトにあった表で、同社が提供する"商品一覧"の一部。 ここには新たなマイクロ・フォー・サーズのイメージ・センサーが載っている。 E-P5あたりの後継機が発表されるのもそう遠くはないのだろう。 やや高精細に、高感度に、どんな「画力」(エヂカラ)を持ったオリンパス・カメラが登場するのか楽しみなところ。