2014-03-05
CONTAX Carl Zeiss T* Vario-Sonnar F3.3-4.0/28-85mm
画像をいじっている時に、ふと「ソラリゼーション」をしてみたくなっての1枚。
ソラリゼーションは擬似的なポジ・ネガの反転を狙う手法で、暗室作業としては古い。 像を焼き付けた印画紙を現像液に浸け、それに何も焼き付けられていない印画紙を、像面同士を合わせて密着させる。 その状態で、赤い「セーフ・ライト」ではない、通常の蛍光灯や白熱球の暗室内の照明を一瞬点ける。 時間にして0.5~1秒程度。 昔の、グロー・ランプを使う蛍光灯であれば「んジー、ペコペコン」と音がしてチカチカ点滅し、本点灯は僅かに0.数秒くらいでスイッチをOFFにする。 簡単な手法なのだが、この点灯時間によって効果が大きく変わるため、このON/OFFはなかなか緊張度が高い。
2枚の印画紙は、現像液の中だから光を浴びれば感光して黒く変色するわけで、像を焼き付けた印画紙が下、サラの印画紙が上で、室内灯の点灯によって上にある印画紙の像面は紙の厚みによる光の遮りのほか、黒く変色して光の透過を僅かに遮り、下にある印画紙にはわずかに光が届く。 どうもこの黒く変色する分の影響で微妙なネガ反転具合を得られるというのだが、実は感覚的には、その短時間の露光でサラの印画紙を変色させるほどの影響があるのだろうかと、なんとなくしっくり来ない。 然しながら元々露光された絵柄の他に、そうした要素の結果として僅かに浴びる光で不完全なネガ反転を起こすのは事実で、慣れれば傾向は掴めるもののこの偶然性の高い技法はなかなか楽しい。
Photoshopではそれを演算で行うわけで、この露光のバランスを演算に落とし込んだ開発者の脳ミソに感動である。
アメリカでは「サバディエ」と言うのだそうだ。 はじめ、頑張ってそれらしい発音を当てて「おぉ! ソラリゼーションだ!」っと言ったら、キョトンとされ、何度か言い直したがついに通じなかった。 30分くらいだったか、引伸機で印画紙に画を焼付け、1枚の新しい印画紙を手に現像液に浸けて室内灯をパチパチするそれを、暗室にいた2人で「こんどはこうなった!」なんて言いながら面白がった。 30分で終わったのは、印画紙が通常のペースの倍のペースで消費され、あっという間に無くなってしまったからだ。
白黒ネガに見るグラデーションのきれいさが好きで、これは正像(ポジ)のデータをPhotoshopで「階調を反転」してもなかなかネガ・フィルムに現れるあのグラデーションを得られないのだが、今回はサバディエなどによって花の質量や花弁の厚みなど、ネガ・フィルムを光に透かして見る印象に近い画が得られたため白黒にて再アップ・ロード。